最終更新日:2026年7月28日|改正建設業法(承継認可制度・法第17条の2〜4)および埼玉県 建設業許可申請・届出の手引き(令和8年4月版)に基づく

この記事の結論(先に要点だけ):春日部市の建設業許可は、「承継認可」を受ければ許可番号ごと次の代へ引き継げます。取り直しではありません。

ただし引き継ぎ方は4類型で期限が違います。事業譲渡・合併・分割は効力発生日の前日までに認可(事前認可)、相続は被相続人の死亡後30日以内に申請です。

春日部市内のみに営業所がある事業者は埼玉県知事許可で、提出先は埼玉県庁 県土整備部 建設管理課 建設業担当。埼玉県は手引きで「承継の事実発生日の30日前までに申請完了」を求め、持参による受付のみ・郵送や電子申請は不可・申請手数料は無料です。

「代表を息子に替えるなら、建設業許可は取り直し」——そう思われがちですが、実際は違います。

建設業法には、許可そのものを次の経営体へ渡す承継認可という手続きが用意されています。取り直しではなく「引き継ぐ」。ここが出発点です。

誤解には第二段があります。「引き継げるなら、代表交代のあとで届け出ればいい」という思い込みです。

事業譲渡・合併・分割は効力発生日の前日までに認可を受けていなければ成立しません(建設業法第17条の2)。後から遡って認可を受けることはできず、相続だけが死亡後30日以内の事後申請という例外です(同法第17条の3)。

この記事では、春日部市の建設業者に向けて、4類型ごとの期限・窓口・必要書類と、後継者が見つからない場合の選択肢を順に整理します。

この記事でわかること(先に結論):

  • 春日部市の建設業で「代表者の高齢化・後継者不在」が承継の入口になる背景(粕壁宿以来の街道筋の商家・工務店の代替わり、2005年の庄和町との合併で広がった市域、春日部駅付近連続立体交差事業に伴う沿線の世代交代)
  • 「許可は引き継げない」は誤解——承継認可で許可も許可番号も経審の結果も引き継げること
  • 4類型ごとの期限の違い(譲渡・合併・分割=効力発生日の前日までに認可/相続=死亡後30日以内に申請、加えて埼玉県は「事実発生日の30日前までに申請完了」、更新は「満了日の30日前まで」)
  • 春日部市の申請窓口と提出先(埼玉県庁 建設管理課/大臣許可は地方整備局/越谷県土整備事務所・春日部市役所は許可の窓口ではない)
  • 承継認可の必要書類(様式第22号の5・7・8・10と誓約書)と費用(県への申請手数料は無料
  • 後継者がいないときの選択肢(親族内・従業員承継〈MBO〉・第三者M&A・廃業)と、着手時期の目安

目次

春日部市の建設業で承継が動き出すとき|粕壁宿から続くまちの代替わり

春日部市の旧街道沿いで白壁の蔵造り商家を足場を組んで改修する2人の職人

春日部市は埼玉県東部の市で、総面積は66.00平方キロメートルです。人口は228,879人・115,571世帯(令和8年〈2026年〉7月1日現在)で、県東部では最大級の規模にあたります。

数値は基準日で動くため、最新値は市公式でご確認ください(春日部市公式「今月の人口・世帯数」)。

まちの歴史の核は、日光道中の宿場町「粕壁宿」です。江戸日本橋を基点に千住・草加・越谷に続く4番目の宿場町として栄えました(春日部市公式「日光道中と粕壁宿」)。

日本橋からは9里2町(約36キロメートル)。江戸から歩いて一日の距離にあたります。

元禄2年(1689年)の『おくのほそ道』の旅で、松尾芭蕉は粕壁宿に一泊しました。随行した曽良の日記に残る一文は、市内の碑に刻まれています(春日部市公式「歴史に触れる」)。

泊まった場所は小淵山観音院のほか諸説あり、東陽寺も候補のひとつとされています。街道の記憶が、いまも市内に点在しています。

宿場の範囲は、現在の春日部駅東口の旧街道一帯にあたります。

街道筋の商家・蔵・寺社は、代々の大工や左官が手を入れて残してきたものです。宿場の時代から続く「その家の仕事を誰が引き継ぐか」という問いが、いまは会社の承継という形で経営者の前に置かれています。

市域の成り立ちも押さえておきましょう。昭和29年(1954年)7月1日に市制を施行し、平成17年(2005年)10月1日に旧春日部市と北葛飾郡庄和町が合併して現在の市域になりました。

そのため春日部市は、駅を中心とした市街地と、庄和地域の田園・河川沿いという二つの顔を持ちます。住宅の建替えから水路・農業インフラの補修まで、地元業者が扱う仕事の幅が広いのが特徴です。

交通は鉄道が主軸です。東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)と東武アーバンパークライン(東武野田線)が春日部駅で交差し、市内には武里・一ノ割・北春日部・豊春・八木崎・藤の牛島・南桜井の各駅があります。

道路は国道4号・新4号国道・国道16号が通ります。一方で市内に供用中の高速道路インターチェンジはなく、職人は国道と東武線を頼りに越谷・さいたま・都心方面の現場へ通う働き方が定着しています。

いま市の中心部では春日部駅付近連続立体交差事業が進んでいます。東武伊勢崎線 約1.4km・東武野田線 約1.5kmを高架化し、踏切10箇所を除却して春日部駅を4面8線にする事業です。

平成31年3月に都市計画決定、令和元年12月に事業認可が告示され、埼玉県・春日部市・東武鉄道が事業主体を務めます(埼玉県 事業パンフレット)。

沿線では、この長期事業と並走できる体制を持つ会社と、そうでない会社の差が開きます。「工事は続くのに、続ける人がいない」という形の相談が、春日部の承継案件の典型です。

市内には国土交通省 江戸川河川事務所が管理する首都圏外郭放水路(春日部市上金崎720)もあります(首都圏外郭放水路 公式サイト)。

中川・古利根川・江戸川が流れる低平地であることから、護岸・排水・水路の維持は地域の継続需要です。牛島のフジ(国の特別天然記念物)や庄和地域の大凧あげ祭りといった地域資源まわりの営繕も、地元業者の仕事につながります。

全国的にも、建設業は経営者の高齢化率が高く、後継者不在による「黒字廃業」が問題視される業種です(中小企業庁 事業承継・引継ぎ支援)。

国土交通省も建設業者の地位の承継について(建設業法第17条の2・3)として、事前の認可で許可を承継できる制度を整備しました。承継認可は、その中心にある仕組みです。

技能者の見える化とCCUS登録については春日部市のCCUS登録代行で解説しています。

建設業許可は「取り直し」ではなく「引き継ぐ」|承継認可の4類型と期限

建設業許可を次の代へ引き継ぐイメージ。年配の手から若い後継者の手へプレートを手渡す

2020年10月施行の改正建設業法により、事業譲渡・合併・分割・相続による建設業許可の承継は、許可行政庁の承継認可を受ける仕組みになりました(建設業法第17条の2〜4)。

認可を受けて承継の事実が発生すると、承継先は承継元の「建設業者としての地位」を承継します。ここには許可だけでなく、承継元が受けた経営事項審査の結果や監督処分も当然に含まれます(埼玉県手引き第12章)。

公共工事に参加してきた会社にとって、経審の結果を引き継げることの意味は大きいものがあります。ゼロから積み直す必要がないからです。

4類型で「期限の性格」がまったく違う

最も事故が起きやすいのが期限の取り違えです。事業譲渡・合併・分割は「あらかじめ」認可を受ける事前認可で、効力発生日(承継予定日)の前日までに認可が下りている必要があります。

埼玉県の手引きは「承継の事実が発生した後に遡って認可することはできません」と明記しています。代表交代の登記を先に済ませてから相談に来ても、そこから戻すことはできません。

相続だけが例外です。被相続人の死亡後30日以内に認可申請をする事後認可で(建設業法第17条の3)、起算点は死亡日です。

期限内に申請すれば、死亡の日から認可・不認可の通知を受ける日までは、被相続人に対する許可が相続人に対してしたものとみなされます。無許可の空白を避けられる仕組みです。

ここに埼玉県の運用がもう一つ重なります。県の手引き(令和8年4月版・第12章 許可の承継)は「遅くとも、承継の事実発生日の30日前までに申請を完了させてください。不足書類がある場合、受付は一切できません」と定めています。

これは「認可」の期限ではなく「申請完了」の期限です。法律が30日前の申請を義務づけているわけではありませんが、埼玉県では30日前に書類がそろっていなければ受け付けてもらえません。

さらに通常の更新は、有効期間満了日の30日前までに申請が必要で、埼玉県では満了日の2か月前から受け付けています(埼玉県 建設業許可の手引き 第7章)。

数字はどれも「30日」ですが、意味は別物です。下の表で必ず区別してください。

承継の類型・手続き 期限 ポイント
事業譲渡 効力発生日(承継予定日)の前日までに認可 事前認可(法定)。個人事業主の生前の事業承継・法人成りを含む
合併 効力発生日の前日までに認可 事前認可(法定)。消滅法人・存続法人の許可を整理して引継ぎ
分割(会社分割) 効力発生日の前日までに認可 事前認可(法定)。承継対象の事業・許可の範囲を明確に
【埼玉県の運用】譲渡・合併・分割 承継の事実発生日の30日前までに申請を完了 「申請」の期限であって「認可」の期限ではない。不足書類があれば受付は一切不可(手引き第12章)
相続 被相続人の死亡後30日以内に申請 個人事業に限る。申請すれば認可・不認可の通知までは許可を承継したものとみなされる
(参考)通常の更新 有効期間満了日の30日前まで 承継とは別の手続き。埼玉県は満了日の2か月前から受付(手引き第7章)

承継認可が通るための5つの条件

埼玉県の手引き第12章 許可の承継は、承継認可の要件を次のように整理しています。日程だけでなく中身の条件も早めに点検してください。

  • 承継の事実発生前に申請し、認可を受ける(相続を除く。遡っての認可は不可)
  • 建設業の全部を承継させる(一部の業種だけの承継は不可。申請前に一部業種を廃業して残り全部を承継させるのは可)
  • 一般・特定の重複が生じない(同一業種で一般と特定の両方を持つことはできない)
  • 承継後の全業種で承継先が許可要件を満たす(営業所技術者等の配置を含む)
  • 承継予定日まで許可要件が途切れていない(常勤役員等・営業所技術者等の常勤性。法人成りでは社会保険の資格取得日にも注意)

承継予定日に営業所技術者等を入れ替える場合は、承継の日から2週間以内に変更届が必要です。認可が下りて終わりではない点に注意してください。

もう一つ、見落とされがちな落とし穴があります。承継の申請を取り下げたり、事業譲渡契約の解除などで承継が発生しないことが確定したりした場合です。

その時点で承継元・承継先の許可の有効期間が満了していると、従前の許可を更新することはできません。承継と更新が近接する日程は、それ自体がリスクになります。

承継後の許可期間は「5年と1日」・許可番号は原則承継元

承継日から承継先の許可が有効になります。有効期間の起算点は残存期間にかかわらず承継の日の翌日となるため(法第17条の2第7項)、最初の更新までの許可期間は5年と1日です。

許可番号は原則として承継元のものを使用します。承継前から承継先も埼玉県知事許可を受けている場合はどちらを使うか選択できますが、一度選択した許可番号は変更できません

認可通知書はすべての申請者に郵送されます。再発行はできないため、保管方法まで含めて後継者に引き継いでください。

承継の事実発生後であれば、窓口で「建設業許可証明書」を発行できます(手数料400円/枚)。

制度の詳細は建設業許可の事業承継認可(譲渡・合併・分割・相続)、類型別には建設業の事業譲渡による承継建設業の合併と承継認可建設業の会社分割と承継認可建設業許可の相続による承継で解説しています。

春日部市の申請窓口と提出先|県庁 建設管理課が受付、越谷県土整備事務所ではない

承継認可の申請書類一式を持って行政庁舎の待合ロビーで順番を待つ行政書士

春日部市内のみに営業所を置く事業者は埼玉県知事許可に該当します。承継認可の提出先は埼玉県庁 県土整備部 建設管理課 建設業担当(さいたま市浦和区高砂3-15-1 埼玉県庁第2庁舎3階/電話048-830-5176・5177)です。

申請先が埼玉県になるのは、ア 承継元が埼玉県知事許可を受けている、イ 承継後の営業所がすべて埼玉県内にあるの両方を満たす場合です(手引き第12章)。

承継先がすでに埼玉県知事以外の建設業許可を受けている場合、提出先は承継後の主たる営業所を管轄する国土交通省の地方整備局に変わります。

春日部市は千葉県野田市と接する県境の市です。野田方面に営業所を構えるなど県外にも営業所を置くと大臣許可の世界に入るため、承継の設計では営業所の配置が論点になります。

手続き面では、承継認可は持参による受付のみで、郵送および電子申請による受付は行われていません。提出部数は正本1通・副本1通(副本は正本の複写でも可)です。

建設業許可の申請・変更届・経営事項審査は電子申請(JCIP)も利用できますが、承継認可はJCIPの対象外です。「許可申請が電子でできるから承継も電子で」と考えないでください。

受付時間は月曜日から金曜日(祝日・12月29日〜1月3日を除く)の午前9時〜午前11時、午後1時〜午後4時15分です。審査に時間がかかるため、受付終了時刻より早めの来庁が求められています。

県の手引きは事前相談も前提としています。事前相談なく申請すると、不備の補正に時間がかかり、承継の事実発生までに認可が下りないおそれがあると明記されています。

申請手数料はかかりません(承継認可)。新規許可の9万円・更新5万円・業種追加5万円とは扱いが異なります。

春日部市の事業者が取り違えやすいのが地域機関との関係です。春日部市を管轄するのは越谷県土整備事務所(越谷市越ヶ谷4-2-82 埼玉県越谷合同庁舎)で、管轄区域は春日部市・草加市・越谷市・八潮市・三郷市・吉川市・松伏町です。

ただしこの事務所が扱うのは県管理の道路・河川など公共土木施設の工事や占用許可であり、建設業許可・承継認可の申請先ではありません埼玉県 越谷県土整備事務所)。

同じく春日部市役所にも建設業許可・承継認可の受付窓口はありません。市役所が窓口になるのは市発注工事の入札・指名願いの相談で、許可そのものは県が扱います。

手続き 窓口・提出先 春日部市での進め方・注意点
承継認可(譲渡・合併・分割・相続) 埼玉県庁 県土整備部 建設管理課 建設業担当(知事許可の場合)/持参による受付のみ(郵送・電子申請は不可)/申請手数料は無料 譲渡等は効力発生日の前日までに認可+県は事実発生日の30日前までに申請完了/相続は死亡後30日以内。事前相談が前提
建設業許可(埼玉県知事許可) 埼玉県庁 県土整備部 建設管理課/電子申請はJCIP 営業所が春日部市内(埼玉県内)のみなら知事許可。新規9万円・更新5万円・業種追加5万円
大臣許可となる場合 承継後の主たる営業所を管轄する国土交通省 地方整備局 隣接する千葉県野田市など県外にも営業所を置く場合。承継直前の営業所新設は日程を圧迫する
経営事項審査(経審) 埼玉県(建設管理課が窓口)/JCIP利用可 承継で経管・営業所技術者等が交代するとP点に影響。CCUS就業履歴でW点を加点
県管理の道路・河川の工事・占用 越谷県土整備事務所(越谷市越ヶ谷4-2-82)=春日部市を管轄 公共土木施設の工事・占用の窓口。許可・承継認可の受付はしない
市発注工事の入札・指名願い 春日部市役所 契約担当部署 経審・許可の取得が前提。市役所は許可・承継認可の受付は行わない

承継認可の必要書類(埼玉県の様式)

埼玉県の様式集では、承継の類型ごとに認可申請書の様式が分かれています。譲渡・合併・分割は別紙として役員等の一覧表・営業所一覧表・営業所技術者等一覧表が付き、相続(個人事業)は営業所一覧表・営業所技術者等一覧表の2点です。

承継の類型 主な様式 あわせて提出
事業譲渡 様式第22号の5(譲渡及び譲受け認可申請書)+別紙1〜3 様式第22号の6(誓約書)
合併 様式第22号の7(合併認可申請書)+別紙1〜3 様式第22号の6(誓約書)
分割 様式第22号の8(分割認可申請書)+別紙1〜3 様式第22号の6(誓約書)
相続 様式第22号の10(相続認可申請書)+別紙1〜2 様式第22号の11(誓約書)

これに加えて、承継の事実を証する書面(契約書・合併契約書・分割計画書など)や、許可要件・常勤性を確認する資料が求められます。

必要書類は類型と会社の状況で変わるため、最新の様式と部数は埼玉県の手引き・様式集で確認し、事前相談で確定させてください。

知事許可と大臣許可の違いは大臣許可と知事許可の違い、承継の全体像は建設業許可と事業承継で解説しています。

春日部市で承継する価値|駅前と庄和、二つの顔が生む受注基盤

河川の護岸ブロックを補修する3人の作業員。春日部市の治水・水路維持の継続需要

決算書の数字だけを見て「うちは大した会社ではない」と自己評価を下げる経営者がいます。しかし後継者や買い手が見ているのは、今年の利益ではありません。

春日部市の建設業者が積み上げてきたのは、この市域で仕事を回せる体制と、呼ばれ続けてきた取引口座です。決算書に載らないぶん、廃業と同時に消えます。

残す価値①|駅前の市街地と沿線の長期事業

春日部駅付近連続立体交差事業は、高架化と踏切除却を伴う長期の公共事業です。関連工事や周辺のまちづくりは、単年度では終わりません。

この種の現場では、元請・発注者の安全管理とコンプライアンス管理が厳格です。安全書類・社会保険・技能者の資格まで整えた下請だけが、繰り返し呼ばれます。

粕壁宿以来の街道筋には古い住宅ストックが積み上がっており、建替え・改修・設備更新の需要も途切れません。この二つを同時に回せることが、春日部の地場業者の強みです。

残す価値②|庄和地域の田園・河川と、治水の継続需要

2005年の合併で加わった庄和地域は、田園と河川沿いのエリアです。中川・古利根川・江戸川が流れる低平地で、護岸・排水・水路・農道の維持が地域の重要課題になっています。

市内には首都圏外郭放水路もあり、治水は春日部にとって生活そのものに関わるテーマです。国・県が関わる工事ほど、下請の体制確認は厳しくなります。

とび・土工・重機・舗装・管工事といった土木系の技能は、担い手が全国的に減っているだけに希少です。その技能を持つ職人ごと引き継げるかが、買い手の評価軸になります。

ただし、技能も信用も現経営者に属人化しているのが通例です。技能承継と、元請担当者への顔つなぎは、早く始めるほど確実に効きます。

CCUSによる技能者の見える化は、その土台になります(詳しくは春日部市のCCUS登録代行、経審加点との関係はCCUSと経営事項審査の加点)。

後継者が決まらないときの選択肢|親族内・MBO・M&A・廃業

町工場のヤードで年配経営者が第三者承継の相手に自社の工場を案内する場面

承継の道は大きく4つです。押さえるべきは「廃業は最後の手段で、その前に3つの“残す”選択肢がある」という点です。

選択肢 内容 春日部市での向き・不向き
親族内承継 子・親族に株式と経営を引き継ぐ 後継者がいれば最有力。経管要件・株価・相続対策と、元請への顔つなぎを5〜10年計画で
親族外承継(MBO/従業員承継) 役員・幹部社員が株式を買い取り承継 駅前の現場も庄和の土木も知る番頭格・職長がいる地場業者に向く。買取資金の設計が鍵
M&A(第三者承継) 他社へ株式譲渡・事業譲渡で売却 後継者不在でも事業と雇用を残せる。許可・経審・取引口座があれば買い手がつきやすい
廃業 許可を抹消し事業を終う 最後の手段。許可抹消・解雇・取引先影響を伴う。決める前に上記3つを検討

選び方は、後継者の有無・財務状況・経営者の年齢・従業員の状況で変わります。春日部の地場業者で相談が多いのは、従業員承継(MBO)とM&Aです。

「子は別の仕事に就いたが、現場と元請を支えてくれた番頭格に継いでほしい」という形が典型で、この場合も許可は承継認可で引き継げます。

3類型の比較は親族内・親族外・MBOの比較、従業員承継は建設業の従業員承継(MBO/EBO)、廃業との損得比較は建設業の廃業とM&Aはどちらが得かで整理しています。

個人事業のまま続けてきた場合は建設業の個人事業の事業承継、公的支援は事業承継・引継ぎ補助金もあわせてご覧ください。

隣接エリアの承継事情は杉戸町の事業承継宮代町の事業承継白岡市の事業承継さいたま市の事業承継でも解説しています。

春日部市で相談すべき専門家と費用、動き出す時期

経営者と後継者が行政書士・税理士と会議室で事業承継の進め方を相談する4人の打合せ

建設業の事業承継は、1人の専門家では完結しません。許可と経審を切らさないことが起点になるため、まず行政書士に相談し、税理士・社労士・M&A仲介と連携するのが実務的です。

専門家 主な役割 費用の目安
行政書士 建設業許可の承継認可、経審の継続設計、各種届出(独占業務) 承継認可で10〜30万円程度(※県への申請手数料は無料
税理士 株価評価、相続・贈与税、退職金設計 株価評価30〜100万円程度
弁護士 M&A契約・法務デューデリジェンス・紛争予防 スポット・タイムチャージ
M&A仲介・事業承継引継ぎ支援センター 買い手探し・条件交渉(M&Aの場合) 最低成功報酬は数百万円規模が中心で機関ごとの差が大きい(依頼先が公表する手数料体系を個別に確認)/公的窓口の活用も検討

相談の順序は建設業の事業承継は誰に相談すべき?、総額の試算は事業承継の費用総額シミュレーション、税制は建設業の事業承継と税制で扱っています。

時間がかかるのは「書類」ではなく「要件」

承継認可の申請書そのものは、様式がそろえば数週間で形になります。時間がかかるのは、その前提となる要件のほうです。

  • 経管(常勤役員等)の要件:後継者が経営経験を積むには年単位の時間がかかる
  • 営業所技術者等の配置:承継後の全業種で要件を満たす人員を確保する必要がある
  • 株価対策:自社株評価の圧縮(役員退職金・利益調整など)は数年がかり
  • 経営者保証の解除:金融機関との交渉に時間を要する
  • 経審スコアの引継ぎ:決算期・技術者配置・CCUS就業履歴の蓄積を計画的に

経管・専技の引継ぎは事業承継における経管・専技の引継ぎ、経審の維持は事業承継で経審スコアを途切れさせない方法で詳しく解説しています。

準備の年次タスクは建設業の事業承継 完全ロードマップ、経営者保証は建設業の経営者保証と事業承継、避けたい失敗は建設業の事業承継 失敗パターン集にまとめています。

体調悪化や急逝で準備が間に合わず、相続トラブルや黒字廃業に至る例は今も後を絶ちません。経営者が60代に入ったら、許可・経審・株価・後継者・取引先の棚卸しから着手してください。

春日部市の建設業の事業承継に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 春日部市の建設業許可を引き継ぐ認可申請は、どこに提出しますか?

営業所が春日部市内(埼玉県内)のみの事業者は埼玉県知事許可に該当し、提出先は埼玉県庁 県土整備部 建設管理課 建設業担当(さいたま市浦和区高砂3-15-1 第2庁舎3階/電話048-830-5176・5177)です。

提出部数は正本1通・副本1通で、申請はすべて持参による受付です。郵送および電子申請による受付は行われていません。受付時間は平日の午前9時〜11時、午後1時〜4時15分で、申請手数料はかかりません。

申請先が埼玉県になるのは「承継元が埼玉県知事許可」かつ「承継後の営業所がすべて埼玉県内」の場合です。承継先が埼玉県知事以外の許可を持つ場合は、承継後の主たる営業所を管轄する地方整備局に提出します。

春日部市役所に建設業許可・承継認可の窓口はありません。春日部市を管轄する越谷県土整備事務所(越谷市越ヶ谷4-2-82)は県管理の道路・河川の工事や占用の窓口で、許可の申請先ではありません。

Q2. 春日部市の会社を後継者に継がせると、建設業許可は取り直しになりますか?

取り直しにはなりません。承継認可(建設業法第17条の2〜4)を受ければ、承継元の「建設業者としての地位」を承継先が引き継げます。ここには許可のほか、経営事項審査の結果や監督処分も含まれます

ただし自動では引き継げません。事業譲渡・合併・分割は効力発生日の前日までに認可を受ける必要があり、相続は死亡後30日以内に申請します。

承継できるのは建設業の全部を承継させる場合に限られ、一部の業種だけを引き継ぐことはできません(申請前に一部業種を廃業し、残りを全部承継させるのは差し支えありません)。

承継後の許可期間は起算点が承継の日の翌日となるため「5年と1日」になります。許可番号は原則として承継元のもので、双方が埼玉県知事許可なら選択でき、一度選ぶと変更できません。

Q3. 春日部市で建設業を承継するとき、譲渡・合併・分割・相続で期限はどう違いますか?

事業譲渡・合併・分割は事前認可で、効力発生日の前日までに認可を受けている必要があります。承継の事実が発生した後に遡って認可を受けることはできません。

相続だけが事後認可で、被相続人の死亡後30日以内に申請します。期限内に申請すれば、死亡の日から認可・不認可の通知を受ける日までは相続人が許可を承継したものとみなされます。

これに加えて、埼玉県は手引きで「遅くとも、承継の事実発生日の30日前までに申請を完了させてください。不足書類がある場合、受付は一切できません」と定めています。これは「申請完了」の期限であって「認可」の期限ではありません

さらに通常の更新は満了日の30日前までに申請(埼玉県は満了日の2か月前から受付)です。数字はどれも30日ですが意味が異なるため、日程を組む前に必ず区別してください。

Q4. 春日部市で承継認可を申請するとき、必要書類と費用はどれくらいですか?

埼玉県の様式では、事業譲渡は様式第22号の5、合併は様式第22号の7、分割は様式第22号の8、相続は様式第22号の10が認可申請書です。譲渡・合併・分割には役員等の一覧表・営業所一覧表・営業所技術者等一覧表が、相続には営業所一覧表・営業所技術者等一覧表が別紙として付きます。

あわせて誓約書(譲渡等は様式第22号の6、相続は様式第22号の11)を提出します。提出部数は正本1通・副本1通で、副本は正本の複写でも構いません。

埼玉県への申請手数料は無料です。新規許可の9万円・更新5万円とは扱いが異なります。行政書士に依頼する場合の報酬は10〜30万円程度が目安です。

M&Aを伴う場合は仲介手数料が加わります。最低成功報酬は数百万円規模を設定する例が中心ですが、機関ごとの差が非常に大きいため、依頼先が公表している手数料体系を必ず個別に確認してください。

Q5. 後継者がいない春日部市の建設業者は、廃業するしかないのですか?

廃業だけが選択肢ではありません。従業員への承継(MBO)や第三者へのM&Aで、事業と雇用を残す道があります。

春日部市は人口22万8千人規模の県東部で最大級の都市で、2005年の合併により駅前の市街地と庄和地域の田園・河川という二つの受注基盤を持ちます。街道筋の住宅ストック更新から治水・農業インフラの営繕まで、仕事の幅が広いのが特徴です。

こうした現場に呼ばれる関係は、発注者の信用と現場を知る職人で成り立つ属人的な取引で、新規参入では簡単に代替できません。許可・経審・技術者・取引口座がそろった会社には、後継者も買い手もつきやすい環境です。

廃業届を出せば許可も経審の実績も同時に消え、従業員の雇用と取引先にも影響します。決める前に承継・M&Aの可能性を専門家に相談してください。

春日部市の建設業の事業承継・許可の承継・後継者問題のご相談窓口

当事務所は春日部市(庄和地域を含む)を軸に、越谷市・さいたま市・白岡市・杉戸町・松伏町・宮代町、さらに県境を越えた千葉県野田市方面までを対応エリアとし、建設業許可の承継認可(譲渡・合併・分割・相続)、経営事項審査の継続設計、各種変更届をワンストップで承ります。

提出先である県庁・建設管理課の運用(持参受付のみ・事実発生日の30日前までに申請完了・事前相談が前提)を踏まえ、効力発生日から逆算した日程表をお作りします。

初回のご相談は無料です。「番頭に継がせたいが許可はどうなるのか」「代表交代の日取りだけ決まっている」——その段階でお声がけいただくのが、いちばん選択肢が残ります。

お問い合わせフォームよりご連絡ください。粕壁宿の街道筋から庄和の水辺まで、次の代へ渡すところまで伴走します。

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