建設業許可の料金
| サービス | 弊所報酬(税込) | 法定費用(別途) |
|---|---|---|
| 新規申請(知事・一般) | 110,000円〜 | 申請手数料 90,000円 |
| 新規申請(知事・特定) | 165,000円〜 | 申請手数料 90,000円 |
| 新規申請(大臣・一般) | 165,000円〜 | 申請手数料 150,000円 |
| 更新申請 | 55,000円〜 | 申請手数料 50,000円(知事) |
| 業種追加 | 55,000円〜 | 申請手数料 50,000円(知事) |
| 決算変更届 | 44,000円〜 | 実費のみ |
| 各種変更届 | 33,000円〜 | 実費のみ |
| 経審申請 | 別途お見積もり | 審査手数料(規模により変動) |
最終更新日:2026年7月31日|令和6年改正建設業法(2024年12月13日施行)・令和7年2月1日施行分対応済み
※令和6年(2024年)12月13日施行の改正建設業法により、「専任技術者」の法律上の名称は「営業所技術者等」に変更されました。本記事では検索される方のわかりやすさを考慮し、旧名称も併記しています。
結論:大工工事業の許可が必要かどうかは、1件の請負代金が500万円(税込)以上かどうかで決まります。建築一式工事の1,500万円・150平方メートルという枠は、大工工事業には使えません。
そして最大の関門は、「その工事は大工工事なのか、内装仕上なのか、とび・土工なのか」という業種の見極めと、営業所技術者等(旧:専任技術者)の確保です。大工工事業は、ガイドラインが線引きの手がかりを用意していない数少ない業種でもあります。
国土交通省の建設業許可事務ガイドライン(最終改正 令和7年2月1日 国不建第161号)には、「許可業種区分の考え方」という項目があります。似た工事をどちらの業種で扱うかを、行政庁の解釈として示したものです。
ただし、そこに項目が置かれているのは29業種のうち23業種にとどまります。土木一式・建築一式・左官・とび・土工・コンクリート・石・屋根……と続く一覧に、大工工事業は入っていません。
つまり大工工事業には、「隣の業種との境目はここです」と国が明示した文章が存在しないということです。判断材料は、告示に基づく工事の内容と、別表に並ぶ大工工事・型枠工事・造作工事という3つの例示しかありません。
元請から「大工工事業の許可票を出してください」と言われて初めて、自社の工事がどの業種に当たるのか調べ始める。木造住宅・造作・型枠を手がける会社が申請の入口で止まるのは、たいていこの一点です。
この記事でわかること:
- 大工工事業の定義と、ガイドライン別表の3つの例示(大工工事・型枠工事・造作工事)
- 「建築一式を持っていれば大工は要らない」が通用しない理由
- 500万円(税込)の判断基準と、手間請け・材料支給・分割契約の扱い
- 内装仕上・建具・とび・土工・屋根・板金との実務上の線引き
- 営業所技術者等になれる資格一覧(建築大工技能士・型枠施工・木造建築士ほか)と実務経験10年の証明方法
- 申請手順・費用・審査の流れ(埼玉県の手引き 令和8年4月版に基づく実例)
目次
大工工事業とは|ガイドラインが示す工事内容と3つの例示

大工工事業は、建設業法で定められた29業種のひとつです。工事の内容は昭和47年3月8日建設省告示第350号が示しており、大工工事は「木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事」と定義されています。
そして建設業許可事務ガイドラインの別表が、その具体的な例を示しています。大工工事の例示は次の3つだけです。
- 大工工事
- 型枠工事
- 造作工事
内装仕上工事業が9つ、建具工事業が7つの例示を持つのに対し、大工工事業の手がかりは3語しかありません。この短さが、後述する業種の線引きを難しくしています。
現場の呼び名と例示の対応
| ガイドラインの例示 | 現場でよく使う呼び方・具体例 |
|---|---|
| 大工工事 | 木造軸組の建方、土台・柱・梁の据付け、木造住宅の躯体工事、木製設備の取付け |
| 型枠工事 | コンクリート打設用型枠の加工・組立て・解体、合板型枠、システム型枠の設置 |
| 造作工事 | 木下地の組立て、間仕切り下地、天井・壁の下地組み、階段・棚・カウンター等の造作 |
「木材の加工又は取付け」が中心にあるため、住宅の建方だけでなく、木製の下地を組む造作も大工工事業の範囲に入ります。一方、型枠工事は素材が木材とは限りませんが、例示に明記されているため大工工事業です。
【要チェック】大工工事業には「区分の考え方」が置かれていない
ガイドラインの「2.許可業種区分の考え方について」は、(1)土木一式から(23)解体まで23業種について、類似工事の区分を示しています。
大工工事業はこの23業種に含まれていません。建具工事業・ガラス工事業・熱絶縁工事業なども同様です。
そのため、大工工事と他業種の線引きを「ガイドラインにこう書いてある」と説明することはできません。本記事の線引き表も、あくまで内容と例示から導いた実務上の整理として読んでください。
大工工事業の許可業者は29業種中9番目に多い
国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について(令和8年3月末現在)」によると、大工工事業の許可を持つ業者は82,756業者です。
許可業者全体は483,823業者ですから、そのうち約17.1%が大工工事業の許可を保有している計算になります。29業種のなかでは9番目に多い業種です。
注目したいのは伸び方です。平成12年3月末の64,368業者から28.6%増えており、直近1年でも1,103業者(1.4%)増加しています。
「建築一式を持てば大工は要らない」という誤解

木造住宅を扱う会社でもっとも多い誤解が、建築一式工事業の許可さえあれば大工工事も請け負えるというものです。これは制度上、成り立ちません。
埼玉県の建設業許可申請の手引き(令和8年4月版)第1〜5章は、次のように明記しています。
【原文】一式工事の許可は専門工事の許可を兼ねない
「一式工事に係る業種の許可があっても、各専門工事に係る業種の許可がない場合は、500万円以上(消費税を含んだ金額)の専門工事を単独で請け負うことはできません。」
建築一式工事は「規模の大きい工事」という意味ではない
建築一式工事の内容は、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」と定義されています。埼玉県の手引き表1は「一棟の住宅建設等一式工事(原則として元請)として請負うもの、建築確認を必要とする増築等」を例に挙げています。
キーワードは「総合的な企画、指導、調整」と「原則として元請」の2つです。金額の大小ではなく、建築物一棟を取りまとめる立場かどうかで判断されます。
したがって、元請から木工事だけを切り出して下請で受注しているなら、それは建築一式工事ではなく大工工事です。金額が1,000万円でも2,000万円でも、この性質は変わりません。
なおガイドラインは、一式工事について「必ずしも二以上の専門工事の組み合わせは要件でなく、工事の規模、複雑性等からみて個別の専門工事として施工することが困難なものも含まれる」としています。組み合わせの数だけで一式と判断するわけではない、ということです。
附帯工事として請け負える範囲
大工工事業の許可で受注した工事に、少量の内装や建具が混ざることはあります。このとき使えるのが附帯工事の考え方です(建設業法第26条の2第2項)。
本体工事に附帯する工事は、本体工事と併せて請け負うことができます。ただし実際に施工するには、その業種の許可業者に下請に出すか、自社にその業種の技術者を置く必要があります。
「附帯工事だから何でも自社で施工してよい」という意味ではありません。契約前に、見積書の項目を業種ごとに仕分けしておくとリスクの所在がはっきりします。
データが示す「一式離れ」
許可業者数の推移も、この構造を裏づけています。平成12年3月末から令和8年3月末までの26年間で、建築工事業(建築一式)は226,778業者から140,967業者へ37.8%減少しました。
同じ期間に大工工事業は64,368業者から82,756業者へ28.6%増加しています。元請一式の看板を降ろし、自社が実際に施工する専門工事の許可へ組み替える動きが、数字として現れている形です。
建築一式工事業の要件や他業種との関係は、建築一式工事業の建設業許可で詳しく整理しています。
500万円未満なら許可不要か|大工工事の金額ライン

建設業の許可が不要なのは、いわゆる軽微な建設工事だけを請け負う場合に限られます。基準は建設業法施行令第1条の2に定められています。
同条第1項は、軽微な建設工事を「工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事」と定義しています。
大工工事業は建築一式工事ではなく専門工事です。したがって判断ラインは1件500万円(税込)の一本だけになります。
【最重要】「150平方メートル未満の木造住宅」は大工工事業では使えない
延べ面積150平方メートル未満の木造住宅という枠は、条文上「建築一式工事のうち」と限定されています。木造住宅を扱っていても、大工工事業として請け負う限りこの枠は適用されません。
また建築一式工事では、この2つの基準が「又は」で結ばれています。1,500万円以上でも延べ面積150平方メートル未満の木造住宅なら軽微な建設工事に当たり、逆に許可が必要になるのは1,500万円以上で、かつ150平方メートル未満の木造住宅にも当てはまらない場合です。
「1,500万円以上なら常に許可が必要」と覚えると、この読み方を外します。詳しくは軽微な建設工事をご覧ください。
金額判定でつまずきやすい3つのポイント
| 論点 | 正しい取扱い(施行令第1条の2・ガイドライン) |
|---|---|
| 税込か税抜か | 消費税を含んだ金額で判断する。税抜480万円でも税込で500万円以上になれば許可が必要 |
| 注文者の材料支給(手間請け) | 注文者が材料を提供する場合は、その市場価格又は市場価格及び運送賃を請負代金の額に加えた額で判断する(同条第3項) |
| 契約の分割 | 同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づく分割を除き、各契約の請負代金の額の合計額で判断する(同条第2項) |
大工工事でとくに危ないのが材料支給です。木材やプレカット材を元請から支給される形は珍しくなく、「自分の請求は400万円だから許可は不要」と考えてしまいがちです。
しかし条文は、支給された材料の市場価格と運送賃を加えた額で判断すると定めています。請求書の金額だけを見ていると、判断は簡単に外れます。
元請が下請の許可の有無を確認する動きも強まっています。無許可業者に500万円以上の工事を出せば、元請側もコンプライアンス上の説明ができなくなるためです。
隣接業種との線引き|内装仕上・建具・とび土工・屋根・板金

大工工事業で判断に迷うのが、隣接する業種との区分です。前述のとおりガイドラインに「区分の考え方」が置かれていないため、各業種の内容と例示を突き合わせて整理することになります。
| 業種 | 工事の内容(告示第350号)・例示 | 大工工事業との実務上の線引き |
|---|---|---|
| 内装仕上工事業 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事/例示:インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事ほか | 木下地を組む造作は大工工事。その上に張るボード・クロス・床材の仕上げは内装仕上工事 |
| 建具工事業 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事/例示:金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事 | 木製建具そのものの取付けは建具工事。建具枠を含む木製設備を造作として造り込む工程は大工工事 |
| とび・土工・コンクリート工事業 | 例示:とび工事、足場等仮設工事、鉄骨組立て工事、コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事ほか | 型枠工事は大工工事の例示。型枠に流し込むコンクリートの打設・圧送はとび・土工・コンクリート工事 |
| 屋根工事業 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事/例示:屋根ふき工事。区分の考え方:板金屋根工事も『板金工事』ではなく『屋根工事』に該当する | 小屋組・野地板までの木工事は大工工事。ルーフィングから上の屋根ふきは屋根工事 |
| 板金工事業 | 金属薄板等を加工して工作物に取付ける工事/例示:板金加工取付け工事、建築板金工事。区分の考え方:「建築板金工事」とは建築物の内外装として板金をはり付ける工事 | 木部の造作は大工工事。外壁へのカラー鉄板張付けなど板金をはり付ける工事は板金工事 |
| 建築一式工事業 | 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事/例示:一棟の住宅建設等一式工事(原則として元請)として請負うもの、建築確認を必要とする増築等(埼玉県 建設業許可申請の手引き 表1) | 一棟を取りまとめる元請の立場なら建築一式。木工事だけを切り出して請けるなら大工工事 |
中央列の工事の内容は昭和47年建設省告示第350号、例示はガイドライン別表によります。ただし別表は「建設工事の種類/建設工事の例示」の2列構成で、土木一式工事・建築一式工事の例示欄は空欄のため、建築一式行のみ埼玉県の手引き表1を出典としています。
そして右列は、これらから導いた実務上の整理です。大工工事業には「区分の考え方」が存在しないため、判断に迷う契約は申請先の行政庁に工事内容を示して確認してください。
型枠専門の会社が業種を間違えやすい理由
型枠工事は現場ではコンクリート工事の一工程として扱われ、とび・土工・コンクリート工事業の職人と同じ班で動くことも多い工程です。そのため、業種もとび・土工だと思い込んでいるケースがあります。
しかし例示上、型枠工事は大工工事です。とび・土工・コンクリート工事の例示に並ぶのは、コンクリート工事・コンクリート打設工事・コンクリート圧送工事などで、型枠は含まれていません。
型枠を専門に請け負っていて500万円以上の契約があるなら、確認すべきは大工工事業の許可です。とび・土工・コンクリート工事業との違いはとび・土工・コンクリート工事業の建設業許可もあわせてご覧ください。
造作と内装仕上の境目
リフォーム工事では、木下地を組み、ボードを張り、クロスを貼るまでを1社で請けることがあります。このとき下地までが大工工事、ボード張り以降が内装仕上工事という整理になります。
両方を500万円以上の規模で継続的に請けるなら、2業種の許可を揃えるのが確実です。役割分担の詳細は内装仕上工事業の建設業許可で、対象工事の例示9種とあわせて解説しています。
屋根まわりについては、小屋組・垂木・野地板の施工と、その上の屋根ふきが分かれます。屋根工事業の建設業許可、板金工事業の建設業許可も参考になります。
営業所技術者等(旧:専任技術者)になれる資格と実務経験

大工工事業の許可で最大のハードルが、営業所技術者等の確保です。許可を受けて建設業を営むすべての営業所に、専属で常時勤務する技術者を置く必要があります(建設業法第7条第2号)。
大工は資格を持たない職人が現場を支えてきた業種で、実務経験ルートで要件を満たす会社が中心になります。まず資格ルートを確認し、該当者がいなければ実務経験ルートに進む、という順番で考えます。
一般建設業の営業所技術者等(大工工事業)
| 区分 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 施工管理技士・技士補 |
|
| 建築士 |
|
| 技能検定(職業能力開発促進法) |
|
| 登録基幹技能者 |
|
| 実務経験 | 大工工事に関し10年以上の実務経験(建設業法第7条第2号ロ) |
| 指定学科卒業+実務経験 |
|
資格の対応は、国土交通省の「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」(2025年12月18日施行)で確認できます。2級技能検定の付帯要件は、平成16年4月1日時点で合格していた者は実務経験1年以上に短縮されます。
ここで見落とされがちなのが木造建築士です。29業種のなかで木造建築士が対応するのは大工工事業だけで、他の業種では営業所技術者等になれません。
社内に木造建築士や1級建築大工の有資格者がいれば、10年分の書類集めをせずに要件を満たせます。まずは従業員の資格証を一度洗い出してみてください。
指定学科が「建築学又は都市工学に関する学科」である点も押さえておきたいところです。土木工学科の卒業では、この短縮ルートは使えません。
特定建設業の営業所技術者等(大工工事業)
特定建設業許可は、元請として一定額以上の下請契約を締結する場合に必要です。大工工事業の要件は次のとおりです(建設業法第15条第2号)。
| 区分 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 国家資格 |
|
| 指導監督的実務経験 | 一般建設業の要件に該当し、かつ発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の大工工事について2年以上の指導監督的実務経験がある者(建設業法施行令第5条の3) |
大工工事業にとって有利なのが、この2つ目のルートです。指導監督的実務経験による特定建設業の技術者は指定建設業(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)では認められませんが、大工工事業は指定建設業に含まれません。
1級の資格者がいなくても、元請としての実績を積み上げれば特定建設業の道が残ります。将来の受注規模を見据えるなら、知っておく価値のある違いです。
2つの改正を混同しない
令和6年改正建設業法(令和6年12月13日施行分)により、情報通信技術の活用など一定の要件を満たす場合、営業所技術者等が工事現場の主任技術者・監理技術者を兼務できる特例が設けられました(建設業法第26条の5)。
対象は、そもそも技術者の専任義務がかかる工事(法第26条第3項本文)のうち請負代金1億円未満(建築一式工事は2億円未満)のもので、兼務できる現場は1か所までです(国土交通省「監理技術者等の専任義務の合理化・営業所技術者等の職務の特例」)。
専任義務がかかるのは、公共性のある施設・工作物等に関する重要な建設工事で請負代金4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)のものです。少人数で複数現場を回す工務店には活用余地があります。
これとは別に、令和7年2月1日施行の政令改正では金額要件が引き上げられました。特定建設業許可が必要となる下請代金の下限は、4,500万円から5,000万円(許可を受けようとする建設業が建築工事業の場合は7,000万円から8,000万円)になっています。
あわせて、現場に技術者を専任させる基準も4,000万円から4,500万円(建築一式工事は8,000万円から9,000万円)に引き上げられました(国土交通省 報道発表資料)。
なお、前掲の指導監督的実務経験の4,500万円は施行令第5条の3の別基準で、令和7年2月1日改正の対象ではありません。専任基準の4,500万円と数字が一致するため混同しやすい箇所です。
現場側の配置技術者については主任技術者と監理技術者の要件、営業所側については専任技術者(営業所技術者等)の要件で29業種分を整理しています。
実務経験10年の証明・申請手順・費用の目安

資格者がいない場合は、実務経験10年で要件を満たします。制度としては明快ですが、証明資料を揃える作業が実務上いちばん重いのがこのルートです。
証明は「①その期間、大工工事を実際にやっていたこと」と「②その期間、証明者の下で働いていたこと」の2本立てで考えます。どちらが欠けても年数として認められません。
埼玉県の手引きが求める確認資料
| 証明する内容 | 求められる資料の例(埼玉県・令和8年4月版) |
|---|---|
| 工事の実績(証明者が当該業種の許可業者でない場合) |
|
| 工事の実績(証明者が当該業種の許可業者である場合) | 建設業許可通知書の写し等で証明期間の許可状況を確認できれば、工事実績資料の提示は省略できる |
| 在籍(勤務)の事実 |
|
| 資料の件数 | 確認資料の年月と次の確認資料の年月までの間隔が四半期(3か月)未満であれば、間の資料の提示を省略できる |
細かい取扱いは都道府県によって異なります。上記は埼玉県 建設業許可申請の手引き(令和8年4月版)第8章の記載であり、申請先が異なる場合は必ずその行政庁の手引きを確認してください。
大工工事でとくに気をつけたい3つの落とし穴
①「現場名しか書いていない注文書」は資料にならない。埼玉県の手引きは、工事内容が明記されていないもの(現場名の記載しかない等)は資料として認められないと明記しています。「○○様邸新築工事」だけでは、大工工事の実績かどうかを行政庁が判断できません。
②「一式」表記だけでは業種を特定できない。注文書に「木工事一式」とだけ書かれていると、造作なのか建方なのか型枠なのかが読み取れません。証明に使う書類は、工事の内容が言葉で分かるものを選ぶ必要があります。
③2業種を実務経験で取るなら20年が必要。実務経験で2業種以上を申請する場合、1業種ごとに10年以上の経験が必要で、期間を重複させることはできません。「大工と内装仕上を一緒に」と考えるなら、合計20年分の裏づけが要ります。
10年前の注文書と通帳が残っている会社のほうが少数派です。逆にいえば、書類が残っている会社ほど許可取得は早く終わります。
ステップ1:許可要件の確認
建設業許可の要件は、埼玉県の手引きで次の6つに整理されています(法第7条、法第8条、法第15条)。
- 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること(法第7条第1号)
- 適切な社会保険に加入していること(法第7条第1号、規則第7条第2号)
- 専任の技術者(営業所技術者等)がいること(法第7条第2号)
- 請負契約に関して誠実性があること(法第7条第3号)
- 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用があること(法第7条第4号)
- 欠格要件等に該当しないこと(法第8条)
欠格要件は第7条ではなく第8条に定められています。破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑に処せられ5年を経過しない者などが列挙されています。
ステップ2:必要書類の準備
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 建設業許可申請書(様式第一号) | 申請業種に「大工工事業」を記載 |
| 営業所技術者等証明書(様式第八号) | 大工工事業の技術者を証明 |
| 実務経験証明書(様式第九号) | 資格ではなく実務経験で証明する場合(10年分の裏づけ資料が必要) |
| 資格証明書の写し | 建築施工管理技士・建築士・技能検定合格証書等の写し |
| 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書 | 経営経験を証明する書類 |
| 常勤性の確認資料 | 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入を確認できる書類、住民税特別徴収の書類等 |
| 営業所の写真 | 外観(看板を含む)、郵便受け、内部の状況 |
| 登記事項証明書・財務諸表・納税証明書 ほか | 法人・個人で必要書類が異なる |
作業場と自宅が同じ敷地という大工の会社では、営業所の写真でつまずくことがあります。看板・郵便受け・執務スペースは、申請前に整えておく必要があります。
ステップ3:申請書の作成・提出
埼玉県の場合、提出先は県土整備部建設管理課建設業担当で、正本1通・副本1通を持参で提出します。電子申請を除き郵送受付は行っていません。
受付時間は平日の午前9時〜11時、午後1時〜4時15分です。新規申請は審査に時間がかかるため、午前9時または午後1時の提出が推奨されています。
ステップ4:費用
| 申請区分 | 知事許可 | 大臣許可 |
|---|---|---|
| 新規申請 | 9万円(手数料) | 15万円(登録免許税) |
| 業種追加 | 5万円 | 5万円 |
| 更新 | 5万円 | 5万円 |
| 行政書士報酬(依頼する場合) | 10万〜20万円程度(目安) | 15万〜30万円程度(目安) |
知事許可・大臣許可の金額は国土交通省「許可申請の手続き」および埼玉県の手引き第7章で確認できます。総額の見通しは建設業許可の費用もあわせてご覧ください。
埼玉県では、証紙による手数料の支払いが令和6年3月末で終了しました。令和6年4月からは原則キャッシュレス決済(クレジットカード・電子マネー・コード決済)です。
ステップ5:許可通知書の受領とその後
審査を通過すると許可通知書が郵送されます。埼玉県では窓口交付を行っておらず、転送不要扱いで営業所の所在地に送られます。
すでに他業種の許可を持っている会社が大工工事業を足す場合は、業種追加(5万円)で申請できます。埼玉県内の手続きの流れは埼玉県の建設業許可申請ガイドにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 大工工事業の建設業許可はいくらから必要ですか?
1件の請負代金が500万円(消費税を含んだ金額)以上になる大工工事を請け負う場合に必要です(建設業法第3条第1項ただし書、建設業法施行令第1条の2)。
大工工事業は専門工事なので、建築一式工事の1,500万円や「延べ面積150平方メートル未満の木造住宅」という枠は使えません。材料支給がある場合は市場価格と運送賃を加えた額、分割契約は合計額で判断します。
Q. 大工工事業に含まれる工事は何ですか?型枠工事も入りますか?
入ります。ガイドライン別表の大工工事の例示は大工工事・型枠工事・造作工事の3つです。工事の内容は「木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事」と定義されています。
型枠を専門に請け負う会社は、とび・土工・コンクリート工事業ではなく大工工事業が対象です。コンクリート打設工事やコンクリート圧送工事は、とび・土工・コンクリート工事の例示になります。
Q. 建築一式工事業の許可があれば大工工事も請け負えますか?
請け負えません。埼玉県の手引きは「一式工事に係る業種の許可があっても、各専門工事に係る業種の許可がない場合は、500万円以上(消費税を含んだ金額)の専門工事を単独で請け負うことはできません」と明記しています。
建築一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」で、原則として元請の立場で一棟を取りまとめる工事です。下請で木工事だけを請けるなら大工工事業の許可が必要になります。
Q. 大工工事業の営業所技術者等(専任技術者)になれる資格は何ですか?
特定建設業・一般建設業のいずれにも対応するのは1級建築施工管理技士と一級建築士です。一般建設業では、2級建築施工管理技士(種別:躯体/仕上げ)、二級建築士、木造建築士、1級建築大工、1級型枠施工が追加の実務経験なしで認められます。
2級建築施工管理技士(種別:建築)は取得後5年、1級建築施工管理技士補は3年、2級建築施工管理技士補は5年、2級建築大工と2級型枠施工は合格後3年の実務経験が必要です。
登録建築大工基幹技能者・登録型枠基幹技能者・登録建築測量基幹技能者も対象ですが、講習修了だけでは足りません。大工工事に関し10年以上の実務経験を有する場合に限られます(国土交通省一覧 注7)。
Q. 資格がなくても実務経験10年で大工工事業の許可は取れますか?
取れます。大工工事に関し10年以上の実務経験があれば一般建設業の営業所技術者等になれます(建設業法第7条第2号ロ)。指定学科(建築学又は都市工学に関する学科)を修めていれば、大学・高専卒で3年、高校卒で5年に短縮されます。
ただし証明の負担は重く、埼玉県では工事内容が明記された契約書・請求書・注文書等の写しと入金記録のある預金通帳の写し、さらに当時その証明者の下で勤務していたことを示す資料が求められます。現場名の記載しかない資料は認められません。
Q. 一人親方の大工でも建設業許可は取れますか?
取れます。建設業の許可は元請・下請、個人・法人の区別なく必要とされる制度で、個人事業主のまま大工工事業の許可を受けられます。要件は法人と同じで、経営業務の管理・営業所技術者等・社会保険・誠実性・財産的基礎・欠格要件をすべて満たす必要があります。
許可取得後に法人成りする場合は、あらかじめ認可を受けることで法人が建設業者としての地位を承継できます(建設業法第17条の2)。認可を受けずに法人を設立すると、新規申請をやり直すことになります。
まとめ:大工工事業は「例示3語」と「技術者の証明」で決まる
大工工事業の建設業許可は、木造の建方・造作・型枠を500万円以上の規模で受注するために必要な許可です。本記事のポイントを整理します。
- 許可の要否は1件500万円(税込)以上かどうかで決まる(建設業法施行令第1条の2)
- 建築一式工事の1,500万円・150平方メートルの枠は大工工事業には使えない
- 材料支給は市場価格+運送賃を加算、分割契約は合計額で判定する
- ガイドライン別表の例示は大工工事・型枠工事・造作工事の3つだけ
- ガイドラインの「区分の考え方」は23業種にしかなく、大工工事業は対象外。線引きは実務上の整理として扱う
- 下地までが大工工事、ボード・クロス以降が内装仕上工事。型枠は大工工事、打設・圧送はとび・土工・コンクリート工事
- 営業所技術者等は建築施工管理技士・建築士(木造建築士を含む)・建築大工/型枠施工の技能検定・登録基幹技能者・実務経験10年で充足できる
- 大工工事業は指定建設業ではないため、指導監督的実務経験で特定建設業の技術者になれる
- 手数料は新規9万円(知事許可)、業種追加・更新は各5万円、大臣許可の新規は登録免許税15万円
大工工事業の手続き自体は、要件さえ整理できれば難所の少ない部類です。ひっかかるのは、自社の工事が29業種のどこに入るのかという判定と、10年分の書類を積み上げる作業のほうにあります。
とくに大工工事業は、国が線引きの解釈を用意していない業種です。だからこそ、注文書1枚の書きぶりが業種判断を左右します。
当事務所は朝霞市・志木市・新座市・富士見市・ふじみ野市・三芳町・和光市を中心に、埼玉県の建設業許可申請をサポートしています。
「この工事は大工で申請できるのか確認したい」「型枠専門だが業種の選び方が分からない」「10年分の書類が足りるか見てほしい」——申請書を書き始める前の30分が、補正のやり直し数か月分を節約します。要件の確認から書類作成・提出まで一括で対応しますので、まずは無料相談をご利用ください。
免責事項:本記事は2026年7月時点の法令・行政庁の公表資料に基づき、一般的な情報提供を目的として作成しています。法律上のアドバイスを構成するものではありません。
営業所技術者等になれる資格・技能検定の細目、実務経験の確認資料、手数料の納付方法は、申請先の都道府県により異なる場合があります。個別の案件については、行政書士等の専門家または管轄の行政庁にご相談ください。
法令は改正される場合がありますので、最新の情報はe-Gov法令検索(建設業法)でご確認ください。
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