建設業許可の料金

サービス 弊所報酬(税込) 法定費用(別途)
新規申請(知事・一般) 110,000円〜 申請手数料 90,000円
新規申請(知事・特定) 165,000円〜 申請手数料 90,000円
新規申請(大臣・一般) 165,000円〜 申請手数料 150,000円
更新申請 55,000円〜 申請手数料 50,000円(知事)
業種追加 55,000円〜 申請手数料 50,000円(知事)
決算変更届 44,000円〜 実費のみ
各種変更届 33,000円〜 実費のみ
経審申請 別途お見積もり 審査手数料(規模により変動)

「建築一式工事業の許可を取れば、大工も内装も屋根もすべて請け負える」——この認識は重大な誤解です。建設業29業種の筆頭に位置する「建築一式工事業」は、ビルや住宅の新築など総合的な企画・指導・調整を要する大規模建築を対象とした許可区分であり、専門工事を単独で請け負うための「万能許可」ではありません。

この記事では、建築一式工事業の建設業許可について、定義・他業種との違い・許可5要件・営業所技術者等の資格要件まで、実務に必要な情報を体系的に解説します。令和6年(2024年)12月13日施行の改正建設業法による「営業所技術者等」への名称変更、および建築一式工事ならではの1,500万円・150㎡の軽微基準にも完全対応しています。

この記事でわかること:

  • 建築一式工事業の定義(建設業法別表第一)
  • 建築一式工事と専門工事(大工・内装・屋根など)の違い
  • 許可が不要な「軽微な建設工事」の基準(1,500万円・150㎡)
  • 建築一式工事業の許可5要件と営業所技術者等の資格
  • 特定建設業許可の追加要件(建築一式は8,000万円以上、その他は5,000万円以上の下請契約)
  • 申請手数料・審査期間の目安
  • 「建築一式があれば何でもできる」という誤解の正しい理解

目次

建築一式工事業とは?建設業法上の定義

建築一式工事業とは、建設業法別表第一および国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」により、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」と定義される許可業種です。建設業法第3条に基づく29業種のうち、土木一式工事と並ぶ「一式工事」の1つに位置付けられています。

ここで重要なのは、建築一式工事は「元請として複数の専門工事を組み合わせて建築物を完成させる」性格を持つ工事だという点です。単に規模が大きい工事、金額が高い工事というだけで建築一式になるわけではありません。

建築一式工事の具体例

建築一式工事に該当する例 建築一式工事に該当しない例
戸建住宅・マンション・ビルの新築工事(元請) 内装仕上工事のみを単独で請け負う工事
建築確認を要する大規模な増改築工事 屋根の葺き替え工事のみ
複数の専門工事を組み合わせた総合リフォーム(元請) 塗装工事のみの外壁塗装
建築物の大規模修繕(構造に及ぶもの) エクステリア・外構工事のみ

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、「原則として元請業者の立場で請け負うもの」と明記されています。下請として単一の工種だけを請け負う場合、それは原則として建築一式工事ではなく、該当する専門工事の範疇に入ります。

建築一式工事と専門工事の違い

建設業29業種は「2種類の一式工事」と「27種類の専門工事」で構成されます。建築一式工事と専門工事の違いを正確に理解することは、適切な許可業種を選定するうえで極めて重要です。

一式工事と専門工事の比較

区分 建築一式工事 専門工事(27業種)
工事の性格 総合的な企画・指導・調整を要する建築物の建設 特定の専門分野の工事
請負の立場 原則として元請 元請・下請いずれも可
代表例 住宅・ビルの新築、大規模修繕 大工、内装、屋根、塗装、電気、管など
軽微な工事の基準 1件1,500万円未満
または
延べ面積150㎡未満の木造住宅
1件500万円未満(税込)
営業所技術者等の資格例 一級建築士、一級建築施工管理技士など 各業種に対応する専門資格

「一式工事でしかできない工事」と「専門工事が必要な工事」の判断基準

実務で最も混乱するのが、「どの許可を取ればよいか」の判断です。判断基準は以下の3段階で整理できます。

  • ステップ1:工事が「建築物の総合的な建設」か、「特定分野のみの工事」かを確認する
  • ステップ2:元請として複数の専門工事を組み合わせるなら建築一式、単一分野なら該当専門工事
  • ステップ3:軽微な工事の基準(建築一式1,500万円、専門工事500万円)未満なら許可不要

たとえば「木造住宅の新築(請負代金3,000万円)」を元請として請け負う場合は建築一式工事業の許可が必要です。一方、同じ住宅の内装仕上工事だけを600万円で下請として請け負うなら、建築一式ではなく内装仕上工事業の許可が必要になります。

建築一式工事業の「軽微な建設工事」基準(1,500万円・150㎡)

建設業法第3条ただし書および建設業法施行令第1条の2により、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は建設業許可が不要です。建築一式工事業の場合、軽微な工事の基準は他の業種と異なる特別な定めがあります。

業種区分 軽微な建設工事の基準(いずれかに該当)
建築一式工事 ・1件の請負代金が1,500万円未満(消費税込)
・請負代金にかかわらず、延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
専門工事(27業種共通) ・1件の請負代金が500万円未満(消費税込)

建築一式工事の軽微基準は専門工事より緩やかに設定されています。これは、戸建住宅の新築など比較的小規模な工事まで許可規制の対象にすると、地域の工務店の事業活動に過度な負担をかけるためです。

ただし、この基準を超える工事(1,500万円以上または150㎡以上の非木造を含む住宅)を請け負うには、必ず建築一式工事業の建設業許可が必要です。無許可で受注すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金(建設業法第47条)に処せられる可能性があります。

なお、建設業許可全般の要件については「建設業許可の要件」で詳しく解説しています。

建築一式工事業の許可5要件

建築一式工事業の建設業許可を取得するには、建設業法第7条(一般建設業)または第15条(特定建設業)に定める5つの要件をすべて満たす必要があります。

要件1:経営業務の管理責任者がいること

建設業の経営業務について総合的に管理する責任者(常勤役員等)の設置が必要です。令和2年(2020年)10月の法改正により要件が緩和され、以下のいずれかで充足できます。

  • 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
  • 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位にあった者
  • 建設業に関し6年以上の経営業務の管理責任者を補佐した経験を有する者
  • 建設業の役員等として2年以上を含む5年以上の役員等経験+財務管理・労務管理・業務運営の補佐者

経験は「建設業全般」で認められるため、専門工事業から建築一式工事業へステップアップする場合も、従前の経営経験を活用できます。

要件2:営業所技術者等(旧:専任技術者)がいること【最重要】

建築一式工事業の許可取得で最大のハードルとなるのが、営業所技術者等の確保です。令和6年(2024年)12月13日施行の改正建設業法により、法律上の名称が「専任技術者」から「営業所技術者等」に変更されました。

建築一式工事業の営業所技術者等として認められる資格・経験は以下のとおりです。

区分 資格・経験の内容
国家資格(建築士系) ・一級建築士
・二級建築士
・木造建築士
国家資格(施工管理系) ・一級建築施工管理技士
・二級建築施工管理技士(建築)
指定学科卒業+実務経験 ・大学(建築学・都市工学科等)卒+実務経験3年以上
・短大・高専(建築学・都市工学科等)卒+実務経験5年以上
・高校(建築学・都市工学科等)卒+実務経験5年以上
実務経験のみ 建築一式工事に関する10年以上の実務経験

専門工事業から建築一式工事業へ業種追加する場合、既存の専門工事の営業所技術者等とは別に、建築一式用の技術者を確保する必要があります(兼任も可能だが要件を満たす場合に限る)。営業所技術者等の詳細は「主任技術者・監理技術者の要件」もご参照ください。

要件3:誠実性があること

法人・役員等・個人事業主本人等が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと。建築士法・宅地建物取引業法等で免許取消処分を受けてから5年を経過しない者は該当します。

要件4:財産的基礎があること

一般建設業の場合、以下のいずれかを満たせばクリアできます。

  • 自己資本が500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力がある
  • 許可申請直前の過去5年間に許可を受けて継続して営業した実績

特定建設業の場合は、より厳格な財務基準(後述)が適用されます。

要件5:欠格要件に該当しないこと

建設業法第8条および第17条に定める欠格要件(破産者で復権を得ない者、許可取消しから5年未経過、禁錮以上の刑から5年未経過、暴力団関係者など)に該当しないことが必要です。

特定建設業許可の追加要件(建築一式工事業)

元請として下請に出す金額が大きい場合、特定建設業許可が必要になります。2023年1月の政令改正により下請代金の基準額が引き上げられ、現在の基準は以下のとおりです。

許可区分 下請契約の基準(元請として発注する下請代金)
一般建設業許可 下請代金の合計が5,000万円未満(建築一式工事は8,000万円未満
特定建設業許可 下請代金の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の場合は必須

監理技術者の配置義務

特定建設業許可を受けて元請として工事を施工する場合、一定金額以上の下請契約を締結するときは、工事現場に監理技術者を配置する必要があります。監理技術者の配置義務が生じる下請代金の基準は以下のとおりです。

  • 建築一式工事:下請代金の合計が8,000万円以上
  • その他の工事:下請代金の合計が4,500万円以上

監理技術者は原則として工事現場ごとに専任で配置する必要があり、一級建築施工管理技士・一級建築士等の国家資格または国土交通大臣認定が求められます。配置義務・資格要件の詳細は「主任技術者・監理技術者の要件」で解説しています。

建築一式工事業の特定建設業:営業所技術者等の要件

特定建設業の営業所技術者等には、一般建設業より厳格な資格要件が課されます。

  • 一級建築士または一級建築施工管理技士の国家資格保有者
  • 一般建設業の要件+元請として請負代金4,500万円以上の工事に関する2年以上の指導監督的実務経験
  • 国土交通大臣による特別認定

特定建設業の財産的基礎要件

特定建設業は以下のすべてを満たす必要があります(一般より厳格)。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上
  • 資本金が2,000万円以上
  • 自己資本が4,000万円以上

特定建設業の詳細は「特定建設業許可」で解説しています。

建築一式工事業の申請手数料・審査期間

建築一式工事業の新規許可申請にかかる手数料と審査期間の目安は以下のとおりです。

許可の種類 新規申請手数料 審査期間
知事許可(一般) 9万円(都道府県収入証紙等) 約30〜45日
知事許可(特定) 9万円 約30〜45日
大臣許可(一般) 15万円(登録免許税) 約90〜120日
大臣許可(特定) 15万円 約90〜120日

書類不備があると補正対応で審査が長引きます。専門的知識が求められるため、行政書士への依頼も検討するとよいでしょう。取得までの流れの詳細は「建設業許可の取り方」、費用全般は「建設業許可の費用」で確認できます。

「建築一式があれば何でもできる」は誤解

建築一式工事業の許可取得を検討する方が最も陥りやすい実務上の重大な誤解が、「建築一式があれば専門工事もすべてカバーできる」というものです。これは明確に誤りです。

建築一式工事業の許可でできないこと

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、「一式工事の許可を受けた者であっても、各専門工事を単独で請け負う場合には、当該専門工事に係る許可を受けなければならない」と明記されています。

ケース 建築一式許可だけで対応可能か
住宅新築工事(元請・3,000万円) ○ 対応可
内装リフォームのみ(600万円) × 内装仕上工事業の許可が必要
屋根葺き替えのみ(800万円) × 屋根工事業の許可が必要
外壁塗装のみ(550万円) × 塗装工事業の許可が必要

このため、専門工事の受注機会が多い事業者は、建築一式と主要な専門工事業をセットで許可取得する戦略が一般的です。業種追加の手続きは「建設業許可の業種追加」で詳しく解説しています。

附帯工事の例外

建設業法第4条では、許可を受けた建設業に附帯する他の建設業に係る建設工事は、付随的に請け負うことができると定められています。たとえば建築一式工事に付随する軽微な専門工事は、建築一式の許可の範囲で施工可能です。ただし主たる目的工事として請け負う場合は、該当専門工事の許可が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 建築一式工事業の許可があれば、500万円以下の専門工事は自由にできますか?

はい、500万円未満(消費税込)の専門工事は「軽微な建設工事」に該当するため、許可なしで請け負えます。ただし、500万円以上の専門工事を単独で請け負うには、建築一式工事業の許可があっても、該当する専門工事業の許可が別途必要です。

Q2. 木造以外の住宅150㎡未満は軽微な工事に該当しますか?

いいえ、延べ面積150㎡未満の軽微基準は「木造住宅」に限定されています(建設業法施行令第1条の2)。非木造(鉄骨造・RC造等)の住宅や、店舗併用住宅で居住部分が1/2未満の建物は対象外です。木造以外は請負代金1,500万円未満でのみ軽微な工事に該当します。

Q3. 建築一式工事業の営業所技術者等に二級建築士でもなれますか?

はい、二級建築士は一般建設業の建築一式工事業の営業所技術者等として認められます。ただし特定建設業の場合は一級建築士または一級建築施工管理技士が必要です。二級建築士の資格保有者がいれば、一般建設業許可取得の大きなアドバンテージになります。

Q4. 実務経験10年で建築一式の営業所技術者等になる場合、どのような証明が必要ですか?

勤務していた会社の実務経験証明書(様式第9号)と、実際にその業務に従事していたことを裏付ける工事請負契約書・注文書・請書の写し等が必要です。許可行政庁によっては、経験期間分の工事履歴を網羅的に求められるため、事前に申請先の手引きを確認してください。

Q5. 個人事業主でも建築一式工事業の許可は取得できますか?

はい、個人事業主でも建築一式工事業の許可は取得可能です。ただし、経営業務の管理責任者と営業所技術者等の要件を本人または従業員で満たす必要があります。個人での許可取得の詳細は「個人事業主の建設業許可」をご参照ください。

Q6. 建築一式工事業の許可は5年ごとに更新が必要ですか?

はい、建設業許可の有効期間は許可日から5年間(建設業法第3条第3項)で、更新申請が必要です。更新申請は有効期間満了日の30日前までに行う必要があります。手続きの詳細は「建設業許可の更新」で解説しています。

まとめ:建築一式工事業の許可取得は戦略的な業種選定から

建築一式工事業の建設業許可は、住宅・ビル等の建築物を元請として建設する事業者にとって必須の資格です。本記事の要点を整理します。

  • 建築一式工事は「総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事」で、原則として元請の立場で請け負う
  • 専門工事(27業種)とは明確に区別され、建築一式許可だけで専門工事を単独受注することはできない
  • 軽微基準は1件1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅(専門工事の500万円より緩やか)
  • 許可5要件のうち最大のハードルは営業所技術者等の確保(一級・二級建築士、施工管理技士、10年実務経験など)
  • 2024年12月改正で専任技術者は「営業所技術者等」に名称変更
  • 特定建設業許可の対象は、下請代金の合計が建築一式工事で8,000万円以上・その他で5,000万円以上の元請工事。営業所技術者等は一級資格者、または請負代金4,500万円以上の工事で指導監督的実務経験2年以上が必要
  • 新規申請手数料は知事許可9万円・大臣許可15万円、審査期間は30〜120日

建築一式と専門工事の使い分けは、建設業許可実務における基本でありながら最も誤解の多い論点です。自社の事業領域を踏まえ、建築一式と主要な専門工事業をセットで取得する戦略を取るケースが多く見られます。

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