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鋼構造物工事業の建設業許可とは?取得要件・必要資格・とび土工/板金工事業との違いを行政書士が解説

最終更新日:2026年6月14日|令和6年改正建設業法(2024年12月13日施行)対応済み

「鉄骨の製作から建て方まで一式で請けるようになったが、建設業許可は必要なのか」「鋼構造物の許可を取りたいが、どんな資格があれば取得できるのか」「鉄骨工事は鋼構造物の許可か、とび・土工の許可か、どちらで取ればいいのか」——鉄骨・橋梁・鉄塔などを手がける事業者の方から、こうしたご相談が数多く寄せられます。鋼構造物工事業は、建築物の鉄骨から橋梁・鉄塔・タンク・水門まで社会基盤を支える重要な専門工事である一方、とび・土工工事業(鉄骨組立)や板金工事業との区分でつまずく事業者が非常に多い業種です。

鋼構造物工事業の建設業許可とは、形鋼・鋼板等の鋼材の加工・組立により工作物を築造する鋼構造物工事を1件500万円以上(税込)の請負金額で受注するために必要な許可です。建設業法第3条に基づき、国土交通大臣または都道府県知事から付与されます。

この記事では、鋼構造物工事業の建設業許可について、対象となる工事の範囲と具体例、取得に必要な5つの要件、特に重要な営業所技術者等(旧:専任技術者)の資格一覧、そして多くの事業者がつまずく「とび・土工工事業(鉄骨組立)・板金工事業との違い」まで、行政書士の視点で包括的に解説します。

※令和6年(2024年)12月13日施行の改正建設業法により、「専任技術者」の法律上の名称は「営業所技術者等」に変更されました。本記事では、検索される方のわかりやすさを考慮し、旧名称の「専任技術者」も併記しています。

この記事でわかること:

  • 鋼構造物工事業の定義と該当する工事の具体例(鉄骨・橋梁・鉄塔・タンク・水門・大型広告塔)
  • 鋼構造物工事業ととび・土工工事業(鉄骨組立)・板金工事業との違い(最重要論点)
  • 建設業許可に必要な5つの要件
  • 営業所技術者等(旧:専任技術者)になれる資格・実務経験の一覧(躯体・土木系ゆえ土木施工管理技士・技術士も対象)
  • 申請手順・費用・審査期間の目安

鋼構造物工事業とは?定義と該当する工事の具体例

鋼構造物工事業とは、建設業法で定められた29業種のうちのひとつで、形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事を行う業種です(建設業法別表第一および国土交通省告示)。鋼材(鉄骨)を加工し、組み立てて構造物そのものをつくる、建築物・橋梁・鉄塔など社会基盤の骨格を担う重要な専門工事です。

国土交通省の例示では、鋼構造物工事業には次のような工事が含まれます。

  • 鉄骨工事(建築物の鉄骨の製作・加工・組立/鉄骨建て方を含む一貫工事)
  • 橋梁工事(鋼橋の製作・架設)
  • 鉄塔工事(送電鉄塔・通信鉄塔の建設)
  • 貯蔵用タンク設置工事(石油・ガス等の鋼製タンクの設置)
  • 屋外広告工事(大型の鋼製広告塔・広告板の設置)
  • 閘門・水門等の門扉設置工事

「鋼構造物=建築の鉄骨」というイメージが強いですが、橋梁・鉄塔・貯蔵タンク・大型広告塔・水門の門扉なども鋼構造物工事業に含まれる点は、意外と知られていない重要なポイントです。鋼材の加工・組立により工作物を築造する工事が広く対象になります。

鋼構造物工事の主な分類

工事の分類 具体例
鉄骨工事 ビル・工場・倉庫等の鉄骨の製作・加工・組立(建て方まで一貫)
橋梁工事 鋼橋(鋼桁・トラス橋等)の製作・架設
鉄塔・タワー工事 送電鉄塔・通信鉄塔・煙突等の鋼構造物の建設
タンク・門扉等 石油・ガス貯蔵タンク、閘門・水門の門扉、大型屋外広告塔の設置

このように鋼構造物工事は対象が多岐にわたり、自社の工事が鋼構造物工事に該当するのか、それともとび・土工(鉄骨組立)や板金など別の業種なのかの判断が難しいケースが少なくありません。次の章で、間違えやすい業種との違いを整理します。

鋼構造物工事業と間違えやすい業種との違い

業種 対象工事 鋼構造物工事業との違い
とび・土工・コンクリート工事業(鉄骨組立工事) すでに加工された鉄骨を現場で組み立てる(建て方) 製作・加工から組立てまで一貫なら鋼構造物。加工済み鉄骨の現場組立てのみならとび・土工(後述の最重要論点)
板金工事業 金属薄板(板金)の加工取付、雨どい・外壁板金・ダクト 厚みのある鋼材の加工組立による構造物の築造は鋼構造物。薄板の加工取付は板金
鉄筋工事業 鉄筋の加工・組立(鉄筋コンクリート造の配筋) 鋼材(鉄骨)で構造物を築造するのは鋼構造物。鉄筋を組むのは鉄筋工事
建築一式工事業 総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設 建築一式は元請として全体をまとめる「総合工事」、鋼構造物は個別の「専門工事」
機械器具設置工事業 機械器具の組立等による設備の設置 鋼材で工作物を築造するのは鋼構造物。機械設備の据付は機械器具設置(複合的な設備は判断に注意)

【最重要】鉄骨工事は「鋼構造物」か「とび・土工(鉄骨組立)」か

鋼構造物工事業で最も判断を誤りやすいのが、鋼構造物工事業ととび・土工工事業(鉄骨組立工事)の切り分けです。同じ鉄骨を扱う工事でも、鉄骨の製作・加工から現場での組立て(建て方)までを一貫して請け負う工事は鋼構造物工事業すでに加工された鉄骨を現場で組み立てることのみを請け負う工事はとび・土工・コンクリート工事業の鉄骨組立工事に区分されます。つまり「製作・加工を含むかどうか」が分かれ目です。自社の鉄骨工事が製作から請けているのか、建て方だけなのかで取るべき許可業種が変わるため、契約書・仕様書の工事内容で切り分け、迷ったら専門家に確認してください。「鉄骨だから鋼構造物」「現場作業だからとび」と思い込んだまま受注すると、必要な業種の許可がないまま500万円以上の工事を請けて無許可営業になっているおそれがあります。鉄骨の建て方・組立側の整理はとび・土工・コンクリート工事業の建設業許可の記事、薄板側の整理は板金工事業の建設業許可の記事もあわせてご覧ください。

鋼構造物工事業で建設業許可が必要になるケース

鋼構造物工事を1件500万円以上(税込)で請け負う場合は、鋼構造物工事業の建設業許可が必要です(建設業法第3条第1項)。この金額基準は、元請・下請の立場に関係なく適用されます。

500万円未満の工事のみを行う場合は許可なしでも請け負えます(軽微な建設工事に該当)。ただし鋼構造物工事は鉄骨建方・橋梁・鉄塔など1件あたりの金額が大きくなりやすく、500万円を超える案件が中心となるため、以下のようなケースで許可取得が実務上求められます。

  • 元請(ゼネコン・鉄骨ファブ・プラント会社)から許可の取得を要請されている:コンプライアンス強化で、鉄骨の製作・建方の下請にも許可を求める元請が増加
  • ビル・工場・倉庫の鉄骨一式や橋梁・鉄塔工事を受注したい:鉄骨製作〜建て方一式で1件500万円を超える案件が中心
  • 公共工事の入札に参加したい:建設業許可がなければ経営事項審査を受けられない(橋梁・水門・公共施設の鉄骨など公共案件は許可が前提)
  • 鉄工所・一人親方から法人化して事業を拡大したい:許可は取引先・元請からの信用を高め、職人の採用にも有利に働く

鋼構造物の業界は、鉄骨ファブ(鉄骨製作工場)・鳶職・溶接工といった専門技能者が支える一方で、慢性的な人手不足と高齢化、デジタル化の遅れに直面しています。一方で、建築の鉄骨需要に加え、老朽インフラの更新(橋梁の架け替え・鉄塔の更新)、物流施設・工場の建設など、鋼構造物工事の需要は中長期で底堅く見込める分野でもあります。だからこそ、許可を取得して受注できる工事の幅を広げ、元請からの信用を「仕組み」として確保しておくことが、次の世代に事業をつなぐうえでも重要になります。許可は気合や人脈ではなく、事業を継続させ、安定需要を取り込むための土台と捉えるのが実務的です。

鋼構造物工事業の建設業許可に必要な5つの要件

鋼構造物工事業の建設業許可を取得するには、他の業種と同様に以下の5つの要件をすべて満たす必要があります(建設業許可の要件の詳細はこちら)。

要件1:経営業務の管理責任者がいること

建設業の経営業務について総合的に管理する常勤の役員等(経営業務の管理責任者)が必要です。以下のいずれかに該当する方が社内にいれば、この要件を満たせます。

  • 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験がある者
  • 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位にあった者
  • 建設業に関し6年以上の補佐経験がある者 など

令和2年(2020年)の法改正により、経験は「建設業全般」で認められます。鋼構造物以外の建設業での経営経験でも要件を充足できます。

要件2:営業所技術者等(旧:専任技術者)がいること【最重要】

鋼構造物工事業の許可取得で最も重要かつハードルとなるのが、営業所技術者等の確保です。対応する国家資格・技能検定または実務経験を持つ技術者を、営業所ごとに常勤で配置する必要があります。

一般建設業の営業所技術者等(鋼構造物工事業)

資格・経験の区分 具体的な内容
国家資格(施工管理技士・建築士) ・1級・2級土木施工管理技士
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士(種別:躯体)
・一級建築士
技術士 建設部門、「鋼構造及びコンクリート」、総合技術監理部門(建設・鋼構造及びコンクリート)
技能検定(職業能力開発促進法) ・1級鉄工(製缶作業・構造物鉄工作業)
・2級鉄工(製缶作業・構造物鉄工作業/+合格後の実務経験3年以上)
実務経験 鋼構造物工事の実務経験が10年以上
指定学科卒業+実務経験 ・大学(建築学・土木工学等の指定学科)卒業後、実務経験3年以上
・高校(同上の学科)卒業後、実務経験5年以上

鋼構造物工事業は橋梁・鉄塔など土木分野にもまたがる躯体・構造系の業種であるため、屋根・板金・塗装といった建築の仕上げ系業種と異なり、土木施工管理技士や技術士も営業所技術者等の資格区分に含まれるのが大きな特徴です。一方、建築施工管理技士は2級の場合「種別:躯体」が対象で、仕上げ系業種で使う「仕上げ」とは区別される点に注意してください。鉄工(製缶・構造物鉄工)の技能検定で要件を満たせるため、鉄骨ファブのたたき上げ技能者が資格を取得するケースもあります。屋根・板金・塗装・防水と鋼構造物を併せて手がける事業者が技術者を選ぶ際は、それぞれ認められる資格区分が異なる点を必ず確認しましょう。

特定建設業の営業所技術者等(鋼構造物工事業)

特定建設業許可は、元請として下請代金5,000万円以上の下請契約を締結する場合に必要です。営業所技術者等の要件はより厳しくなります。

資格・経験の区分 具体的な内容
国家資格 ・1級土木施工管理技士
・1級建築施工管理技士
・一級建築士
・技術士(建設部門・鋼構造及びコンクリート 等)
指導監督的実務経験 一般建設業の営業所技術者等の要件を満たす者で、かつ鋼構造物工事に関し元請として請負代金4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的実務経験がある者

特定建設業では、2級の施工管理技士や鉄工技能士の合格のみでは営業所技術者等になれません。1級の国家資格や技術士・一級建築士が求められます。

なお、令和6年12月施行の改正建設業法により、一定の要件を満たせば営業所技術者等が1億円未満の工事現場の監理技術者等を兼務できるようになりました。鋼構造物は製作工場と現場が分かれることが多いため、技術者の配置計画に活用しやすい制度です。

要件3:誠実性があること

法人の場合は法人自身・役員等・支店長等が、個人の場合は本人・支配人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが求められます。鋼構造物は建物・橋梁の骨格を担い、溶接・接合の品質が構造安全に直結するため、誠実な施工・品質管理の姿勢は許可業者の信用に直結します。

要件4:財産的基礎があること

許可区分 財産的基礎の要件
一般建設業 以下のいずれかを満たすこと
・自己資本が500万円以上
・500万円以上の資金調達能力がある
・許可申請直前の過去5年間に許可を受けて継続して営業した実績がある
特定建設業 以下のすべてを満たすこと
・欠損の額が資本金の20%を超えていない
・流動比率が75%以上
・資本金が2,000万円以上
・自己資本が4,000万円以上

要件5:欠格要件に該当しないこと

以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。

  • 破産者で復権を得ない者
  • 建設業許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行終了から5年を経過しない者
  • 建設業法・建築基準法等の一定の法律に違反して罰金刑に処せられ、刑の執行終了から5年を経過しない者
  • 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

鋼構造物工事業の建設業許可の申請手順

ステップ1:要件の確認

まず、5つの許可要件を満たしているかを確認します。特に営業所技術者等になれる人材が社内にいるかが最重要です。土木・建築施工管理技士、技術士、鉄工技能士などの資格者がいるか、10年以上の実務経験を持つ社員がいるかを確認してください。あわせて、鉄骨の建て方のみ(鉄骨組立)や薄板の板金加工も行っているならとび・土工工事業・板金工事業の許可も併せて必要かを確認しておきましょう。

ステップ2:必要書類の準備

書類名 備考
建設業許可申請書(様式第一号) 申請業種に「鋼構造物工事業」を記載
営業所技術者等証明書(様式第八号) 鋼構造物工事業の技術者を証明
資格証明書の写し 土木・建築施工管理技士・技術士・鉄工技能士・建築士等の資格証の写し
実務経験証明書 資格ではなく実務経験で証明する場合(10年分の裏づけ書類が必要)
経営業務の管理責任者証明書 経営経験を証明する書類
定款の写し(法人の場合) 事業目的に鋼構造物工事業に関する記載があること
登記事項証明書・財務諸表・納税証明書 ほか 法人・個人で必要書類が異なる

※都道府県によって求められる書類が異なる場合がありますので、必ず申請先の行政庁の手引きを確認してください。

ステップ3:申請書の作成・提出

書類が揃ったら、許可行政庁に申請します。知事許可の場合は都道府県の建設業許可担当窓口、大臣許可の場合は地方整備局が申請先です(知事許可と大臣許可の違いはこちら)。一部の自治体では電子申請(JCIP:建設業許可・経営事項審査電子申請システム)にも対応しています。

ステップ4:審査

許可の種類 審査期間の目安
知事許可 約30日
大臣許可 約120日

ステップ5:許可通知書の受領

審査を通過すると許可通知書が郵送されます。許可の有効期間は5年間で、継続するには更新申請が必要です。

鋼構造物工事業の建設業許可にかかる費用

申請区分 知事許可 大臣許可
新規申請 9万円 15万円(登録免許税)
業種追加 5万円 5万円
行政書士報酬(依頼する場合) 10万〜20万円程度 15万〜30万円程度

すでにとび・土工工事業や建築一式工事業など他の業種で建設業許可を持っている事業者が鋼構造物工事業を追加する場合は、業種追加(5万円)で申請できます。費用の全体像や総額の試算は建設業許可の費用建設業許可取得費用の総額シミュレーションもあわせてご確認ください。

鋼構造物工事業の許可取得でよくあるケース

ケース1:1級建築施工管理技士で一般建設業許可を取得

ビル・工場の鉄骨製作・建て方を手がけるA社は、元請のゼネコンから「鉄骨一式は許可業者でなければ発注できない」と告げられ、許可取得を決意。代表者が1級建築施工管理技士を保有していたため、その資格で営業所技術者等の要件を満たし、一般建設業許可を取得しました。許可取得後は500万円を超える鉄骨一式工事を直接受注できるようになり、売上が伸びています。

ケース2:鉄工技能士・実務経験で営業所技術者等の要件を充足

鉄骨ファブ(鉄骨製作)を営むB社は、1級鉄工(構造物鉄工作業)技能士を持つ職長を営業所技術者等として配置し、許可を取得しました。資格者がいない場合でも、代表者が鋼構造物工事の実務経験を10年以上持っていれば、過去の注文書・請求書で実務経験を証明して取得できます。書類集めの負担が大きいため、行政書士のサポートを活用するケースが一般的です。

ケース3:とび・土工工事業に「鋼構造物工事業」を業種追加

これまで鉄骨の建て方(鉄骨組立)を中心に請けてきたC社は、鉄骨の製作・加工から一貫で請け負う案件が増えたため、鋼構造物工事業を業種追加。加工済み鉄骨の組立てのみはとび・土工工事業の鉄骨組立工事に該当する一方、製作・加工を含む一貫工事は鋼構造物工事業に該当することを踏まえ、鋼構造物の技術者要件を満たして許可を取得し、無許可営業のリスクを解消しました。鉄骨は製作と建て方をセットで請ける場面が増えているため、業種追加で両方の許可を揃えるのは合理的な選択です。

鋼構造物工事業の建設業許可取得時の注意点

注意点1:鉄骨は「鋼構造物」と「とび・土工(鉄骨組立)」をまたぐ

本記事で繰り返し触れているとおり、鉄骨の製作・加工から組立てまで一貫なら鋼構造物工事業、加工済み鉄骨の現場組立て(建て方)のみならとび・土工工事業の鉄骨組立工事です。さらに、薄板の板金加工取付は板金工事業であり、いずれも鋼構造物工事業の許可だけでは正しく対応できない場合があります。自社が500万円以上で請け負う工事の実態(製作を含むか・建て方のみか・薄板か)で切り分け、必要な業種の許可を取得してください。許可を受けていない業種の工事を請け負うと無許可営業となり、建設業法違反(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)に問われる可能性があります。

注意点2:高所・溶接作業を見据えた社会保険・CCUSへの対応

鉄骨建て方・橋梁・鉄塔の工事は高所での作業や溶接が中心で、墜落・転落や火災のリスクが高く、労働安全衛生上の管理が特に重要です。あわせて、近年は元請が下請に対して社会保険の加入CCUS(建設キャリアアップシステム)への登録を求める動きが急速に強まっています。鉄骨ファブや一人親方の鳶・溶接工が多い鋼構造物の現場ほど、許可の取得とあわせて社会保険・CCUSの整備を進めておかないと、「許可は取ったのに元請の現場に入れない」という事態になりかねません。許可・社保・CCUSを一体の仕組みとして整え、溶接技能者の資格や経験を「見える化」して受注につなげることが、人手不足の時代に選ばれ続ける事業者になる近道です。

注意点3:個人事業主は法人成りに注意

個人事業主として取得した建設業許可は、法人成りした場合にそのまま引き継ぐことができず、法人として新たに許可を取り直す必要があります(2020年10月施行の承継認可制度を使えば一定の手続きで引継ぎは可能ですが、事前認可が前提です)。鉄工所からの法人化を視野に入れている場合は、最初から法人で許可を取得することも選択肢として検討してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 鋼構造物工事業の建設業許可はいくらかかりますか?

知事許可の新規申請で9万円、大臣許可で15万円の申請手数料がかかります。行政書士に依頼する場合は別途10万〜20万円程度の報酬が目安です。すでにとび・土工工事業や建築一式工事業など他の業種の許可を持っている場合は業種追加(5万円)で申請できます。

Q. 鋼構造物工事業の営業所技術者等(専任技術者)になれる資格は何ですか?

一般建設業許可では、1級・2級土木施工管理技士1級建築施工管理技士2級建築施工管理技士(種別:躯体)一級建築士技術士(建設部門・鋼構造及びコンクリート等)、技能検定の鉄工(製缶・構造物鉄工/2級は+実務経験3年)が該当します。資格がなくても実務経験10年以上で要件を満たせます。鋼構造物工事業は躯体・土木系の業種のため、屋根・板金などの仕上げ系と違い土木施工管理技士・技術士も資格区分に含まれます。特定建設業許可では1級の国家資格や技術士・一級建築士が必要です。

Q. 鉄骨工事は鋼構造物工事業ですか、とび・土工工事業ですか?

鉄骨の製作・加工から現場での組立て(建て方)まで一貫して請け負う工事は「鋼構造物工事業」の鉄骨工事に該当します。一方、すでに加工された鉄骨を現場で組み立てることのみを請け負う工事は「とび・土工・コンクリート工事業」の鉄骨組立工事です。製作・加工を含むかどうかが分かれ目です。詳しくはとび・土工・コンクリート工事業の建設業許可の記事をご覧ください。

Q. 鋼構造物工事業と板金工事業はどう違いますか?

形鋼・鋼板など厚みのある鋼材を加工・組立てして鉄骨・橋梁・鉄塔などの工作物を築造する工事は「鋼構造物工事業」金属の薄板(板金)を加工して取り付ける雨どい・外壁板金・ダクトなどの工事は「板金工事業」です。同じ金属でも、厚板の構造物築造なら鋼構造物、薄板の加工取付なら板金と区分されます。詳しくは板金工事業の建設業許可の記事をご覧ください。

Q. 橋梁工事や鉄塔工事も鋼構造物工事業に含まれますか?

含まれます。鋼構造物工事業には、建築物の鉄骨工事のほか、橋梁(鋼橋)の架設、送電鉄塔・通信鉄塔の建設、石油・ガス等の貯蔵用タンクの設置、大型の屋外広告塔・広告板、閘門・水門等の門扉設置などが含まれます。鋼材の加工・組立により工作物を築造する工事が広く対象です。公共性・専門性が高く、元請から建設業許可・経審・CCUS登録を求められやすい分野です。

まとめ:鋼構造物工事業の許可は「営業所技術者等の確保」と「とび・土工/板金との切り分け」がカギ

鋼構造物工事業の建設業許可は、鉄骨・橋梁・鉄塔・タンクなどの鋼構造物工事を500万円以上の規模で受注するために必要な許可です。本記事のポイントをまとめます。

  • 鋼構造物工事業は鉄骨工事・橋梁・鉄塔・貯蔵タンク・大型広告塔・水門の門扉など、鋼材の加工・組立で工作物を築造する躯体・構造系の専門業種
  • 1件500万円以上(税込)の工事を請け負うには建設業許可が必須
  • 許可取得には5つの要件を満たす必要があり、営業所技術者等(旧:専任技術者)の確保が最大のハードル
  • 躯体・土木系のため、一般建設業は土木・建築施工管理技士・技術士・鉄工技能士10年以上の実務経験で要件充足可能(屋根・板金等の仕上げ系と異なり土木施工管理技士・技術士も対象)
  • 鉄骨は製作・加工〜組立一貫なら鋼構造物、加工済み鉄骨の建て方のみならとび・土工(鉄骨組立)。薄板は板金
  • 申請手数料は新規9万円(知事許可)、業種追加は5万円、審査期間は約30〜120日

鋼構造物工事業の許可取得は、要件の確認と技術者の確保さえできれば手続き自体は決して難しくありません。しかし、土木・建築施工管理技士・技術士・鉄工技能士・実務経験のどれで要件を満たすかの判断、とび・土工(鉄骨組立)・板金工事業との切り分け、社会保険・CCUSへの対応など、専門的な判断が求められる場面も少なくありません。当事務所は朝霞市・志木市・新座市・富士見市・ふじみ野市・三芳町・和光市を中心に、埼玉県の建設業許可申請をサポートしています。

「自社で要件を満たせるか分からない」「鉄骨工事を鋼構造物・とび土工のどちらで取るべきか確認したい」「鋼構造物・板金・とび土工の許可を整理したい」「許可とあわせて社保・CCUSも整えたい」という方は、建設業許可の専門家である行政書士にご相談ください。要件の確認から申請書類の作成・提出まで、トータルでサポートいたします。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。


免責事項:本記事は2026年6月時点の法令に基づき、一般的な情報提供を目的として作成しています。法律上のアドバイスを構成するものではありません。営業所技術者等になれる資格・技能検定の細目や必要書類は申請先の都道府県により異なる場合があります。個別の案件については、行政書士等の専門家または管轄の行政庁にご相談ください。法令は改正される場合がありますので、最新の情報はe-Gov法令検索(建設業法)でご確認ください。

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