最終更新日:2026年7月17日|改正建設業法(承継認可制度・法第17条の2〜4)および2026年7月時点の制度内容に基づく

この記事の結論(先に要点だけ):加須市の建設業の事業承継は、廃業を決める前に「残す道」(親族内承継・従業員承継〈MBO〉・M&A)を検討することが第一歩です。

そして建設業許可と経審スコアを切らさず引き継ぐ段取りを早めに組むことが要になります。許可の引継ぎには効力発生日の前日までの「承継認可(事前認可)」が必要で(相続は死亡後30日以内)、加須市を所管する埼玉県知事許可の窓口は埼玉県庁 県土整備部 建設管理課です。

埼玉県は「承継の事実発生日の30日前までに申請完了」を手引きで明記しています(持参による受付のみ・県への申請手数料は無料)。直前の駆け込みでは受け付けられません。

東北自動車道の加須インターチェンジ(加須市北篠崎)を降りて北へ進むと、北大桑の加須IC東産業団地の倉庫群が目に入ります。市内には工業団地・産業団地・流通団地が11地区、約416ヘクタールに約260社が集まっています。

この構内の営繕や設備更新、加須IC周辺の物流施設、利根川沿いの治水土木——それを何十年も出入りして支えてきたのが、加須市の地場の建設業者です。

その一社で、社長が70代に入り、後継者が決まっていない。よく出るのは「継ぐ人がいないから畳むしかない」という言葉です。しかし実際は、継ぐ人がいないことと会社を消すことは、まったく別の話です。

もう一つ惜しいのが、半世紀かけて開けてきた元請の取引口座です。工業団地の構内に入れる信用は書類に残らず、廃業届を出した瞬間に元請の名簿から消えます。買い手や後継者が本当に欲しいのは、まさにこの部分です。

この記事では、承継の選択肢・許可承継認可の壁・相談先と費用・着手時期を、加須の地域事情を踏まえて地元行政書士が整理します。

この記事でわかること(先に結論):

  • 加須市の建設業に事業承継の相談が集まる地域的な背景(11地区・約416ha・約260社の工業団地/産業団地、東北道 加須IC・加須IC東産業団地の物流、利根川・渡良瀬遊水地の治水、旧1市3町にまたがる広い市域、そして創業世代の高齢化)
  • 事業承継の4つの選択肢(親族内・親族外/MBO・M&A・廃業)と加須市での選び方
  • 建設業特有の壁=建設業許可の承継認可(譲渡等は効力発生日の前日までに認可が必要な事前認可制度。埼玉県は「承継の事実発生日の30日前までに申請完了」を手引きで明記/相続は死亡後30日以内/持参による受付のみ・県への申請手数料は無料/知事許可か大臣許可かで窓口が変わる)と経審スコアの継続
  • 加須市ならではの承継価値=工業団地・物流・利根川の治水で培った実績・技能と、半世紀かけて開けた元請取引口座
  • 加須市で相談すべき専門家の役割分担と費用の目安(行政書士を起点に)
  • 事業承継は5〜10年前から。早く動くほど選択肢が広がる理由

目次

加須市の建設業に事業承継の相談が集まる背景

加須市の工業団地の広い産業道路と低層倉庫群の風景(早朝)

加須市は、埼玉県北東部の田園・産業都市です。2010年(平成22年)3月23日に、旧加須市・旧騎西町・旧北川辺町・旧大利根町の1市3町が合併して誕生しました(加須市公式「市の歴史」)。

群馬県・栃木県・茨城県の3県と接し、市域を利根川が流れます。北側の北川辺地域は、4県にまたがる渡良瀬遊水地に接しています。大河川と低地を抱える土地だという点が、建設業の性格を決めています。

人口は111,846人・51,993世帯(令和8年〈2026年〉1月1日現在・住民基本台帳/加須市公式)です(基準日により数値は変動します。最新値は加須市公式サイトでご確認ください)。

ものづくりの面では、市内に工業団地・産業団地・流通団地が11地区あり、総面積は約416ヘクタール、立地企業は約260社にのぼります(加須市公式「市内の工業団地」)。旧1市3町の全域に分散立地しているのが特徴です。

交通の軸は東北自動車道の加須インターチェンジ(加須市北篠崎)です。IC至近には加須IC東産業団地(加須市北大桑・17.7ha)が整備され、広域アクセスを活かした製造・物流の拠点になっています。

加須市を全国に知らせてきたのがこいのぼりです。市は第二次世界大戦前に生産量日本一となった産地で、現在も2社の製造会社が「こいのぼりのまち加須」を支えています(加須市公式「こいのぼりのまち加須」)。

つまり加須市の建設業は、「11地区・約416haの工業団地に約260社が集まる製造・物流の集積と、加須ICの物流、利根川・渡良瀬遊水地の治水、旧1市3町にまたがる田園・市街地が同居する県北東部の産業構造」の上に成り立っています。これが承継を考える出発点です。

全国的にも、中小企業経営者の高齢化と後継者不在は深刻です。中小企業庁の事業承継・引継ぎ支援は重点政策に掲げられています。

建設業は特に、経営者の高齢化率が高く、後継者不在による「黒字廃業」が問題視される業種です。国土交通省も建設業の事業承継・許可の承継に関する制度整備を進めており、県北東部の地場建設業者もその最前線にあります。

技術も取引先もあるのに承継先が決まらず、廃業を考える——加須市でもこの形が目立ちます。

一方で、加須市には事業を「残す」価値を支える建設需要が続いています。

  • 工業団地・加須IC周辺の物流が生む構内工事・設備更新:約260社が立地する工業団地の工事は、造成・建替えだけではありません。工場の設備更新、構内土木、営繕、防水・電気・管の改修が、途切れずに地域の建設業を支えています。こうした民間工場・物流施設ほど、発注者・元請が許可・経審・CCUS登録を備えた業者を求める傾向が強い領域です
  • 利根川の治水・防災と、旧1市3町にまたがる広い市域のインフラ:加須市は市域を利根川が流れ、北川辺地域は渡良瀬遊水地に接する低地です。堤防・排水機場・河川・道路の防災土木の維持更新に加え、旧加須・騎西・北川辺・大利根の各地域に広がる田園の農業関連施設・生活道路・公共施設の維持補修も、市の建設業を支える柱です
  • 東北道・東武線で広域のゼネコン現場へ入る専門技能:加須市は東北自動車道と東武伊勢崎線(加須駅・花崎駅)を軸に、都心・北関東方面へつながる交通の要衝です。市内の職人・一人親方・大工・とび・土工の多くは、車や電車を足に都心・北関東方面のゼネコン現場や、工業団地・物流・河川の工事に入っています。長年かけて築いた大手元請との取引口座は、新規参入では一朝一夕に手に入りません

つまり加須市では、「仕事はある、許可も経審も技術者もある、だが継ぐ人がいない」という、最も“もったいない”形の後継者問題が起きやすいのです。

後継者問題の全体像は建設業の後継者問題と事業承継の選択肢でも詳しく整理しています。

加須市の承継価値の核|半世紀かけて開けた元請取引口座は、廃業で消すには惜しい

操業中の工場構内で設備の配管を点検する作業員

加須市の建設業の事業承継を考えるうえで、地元ならではの“強み”として押さえておきたい点があります。「現金や不動産には表れない技能・取引基盤こそが、買い手・後継者の評価の中心になる」ということです。

決算書の利益だけを見て「うちは大した会社ではない」と自己評価を下げてしまう——そんな場面によく出会います。しかし加須市の事業者には次の2つの“見えない資産”があります。

残す価値①|工業団地・物流・治水で培った技能と、半世紀かけた元請取引口座

加須市は、11地区の工業団地に集まる工場の構内工事、加須IC周辺の物流施設、利根川の治水・河川防災、旧1市3町にまたがる道路・農業施設といった仕事が続いてきた土地柄です。

こうした環境のなかで、市内の専門工事会社・職人が、操業中の工場の営繕や物流施設の建設、利根川の公共土木に長年入り続けてきたという歴史があります。

とび・土工・重機・鉄筋・型枠・法面・舗装といった公共土木・産業インフラを扱える技能は、担い手が全国的に減っているだけに希少価値が高いものです。

さらに加須市で決定的なのが、工場や物流施設の構内に入る仕事は「誰でも入れる現場」ではないという点です。発注者の信用審査を通り、安全ルールと操業の事情を理解した業者だけが呼ばれます。

この「呼ばれる関係」=取引口座は、書類に書ける資産ではありません。それでも承継では最も価値のある部分で、廃業届を出せば同時に消えてしまいます。

M&Aの買い手や後継者が評価するのは、会社が今年いくら利益を出したかではありません。「この会社を引き継げば、工業団地・加須IC周辺の元請との取引と、工場・物流・利根川の工事を扱える職人をそのまま使えるか」です。

つまり、赤字だから畳むのではなく、実績・技能と半世紀かけた取引口座、建設業許可・経審という公的資格を“承継”あるいは“現金化”するという発想が、加須市の事業者には現実的な選択肢になります。

続く価値②|工場の設備更新・利根川の治水・広域インフラで途切れない需要

もう一方の柱が、需要が途切れにくいという加須市ならではの強みです。

約260社が立地する工業団地の工場は、操業を続ける限り営繕・設備更新・構内土木が発生します。加須IC周辺の物流施設の建設・改修も、東北道の広域アクセスを持つ加須市ならではの継続需要です。

加えて、旧1市3町にまたがる田園地帯の農業関連施設・生活道路の維持補修、住宅の新築・改修・外構工事も継続的に発生します。市域が広いぶん、地元業者が担うストックの量も多くなります。

近年の豪雨・水害を受けて、利根川流域や渡良瀬遊水地に接する低地の防災・減災の公共工事は、むしろ重みを増しています。暮らしと安全を守る土木・舗装・外構・造園・とびといった専門工事の出番は絶えません。

元請が関わる現場では、許可・経審・CCUS登録を備えた下請に安定した受注機会があります。「工場・物流で続く仕事」と「利根川の治水と広域インフラで続く仕事」の両方を持てるのが加須市の事業者の強みであり、これは後継者・買い手が承継後の事業計画を描きやすい、読みやすい需要基盤になります。

こうした技能・取引口座・受注基盤は、現経営者個人の技量・人脈・信用に属人化していることが多いものです。後継者やM&Aの相手に円滑に引き継ぐには、技能承継と、取引先・元請担当者への“顔つなぎ”を早めに始めることが欠かせません。

これも、5〜10年前から準備を始めるべき理由の一つです。CCUS登録による技能者の「見える化」も、取引基盤を次世代に引き継ぐ土台になります(加須市のCCUS登録については加須市のCCUS登録代行で詳しく解説しています)。

加須市の建設業者がとれる事業承継の4つの選択肢

町工場で番頭格の従業員の肩に手を置く年配の経営者(事業承継の選択肢)

建設業の事業承継には、大きく4つの道があります。加須市の経営者がまず押さえるべきは、「廃業は最後の手段であり、その前に3つの“残す”選択肢がある」という点です。

選択肢 内容 加須市での向き・不向き
親族内承継 子・親族に株式と経営を引き継ぐ 後継者がいれば最有力。経管要件・株価・相続対策・工業団地/物流/治水の技能と取引口座の顔つなぎを5〜10年計画で
親族外承継(MBO/従業員承継) 役員・幹部社員が株式を買い取り承継 工場の構内ルールと元請担当者を知る番頭格・職長がいる加須市の地場業者に向く。買取資金の設計が鍵
M&A(第三者承継) 他社へ株式譲渡・事業譲渡で売却 後継者不在でも事業・雇用を残せる。許可・経審・工業団地/物流/河川の実績・地場取引口座があれば買い手がつきやすい
廃業 許可を抹消し事業を終う 最後の手段。許可抹消・解雇・取引先影響を伴う。決める前に上記3つを検討

どれを選ぶべきかは、後継者の有無・財務状況・経営者の年齢・従業員の状況によって変わります。

3類型の比較は親族内・親族外・MBOの比較、出口戦略全体の選び方は建設業の出口戦略|廃業・事業承継・M&Aの選び方、従業員承継の具体策は建設業の従業員承継(MBO/EBO)、廃業とM&Aの損得比較は建設業の廃業とM&Aはどちらが得かで詳しく解説しています。

加須市の地場建設業者でとりわけ相談が多いのが、親族外承継(MBO)とM&Aです。「子は別の仕事に就いたが、工場の現場と元請を支えてくれた番頭格・職長に継いでほしい」「工業団地・物流・河川の実績や地場の受注基盤を評価した同業他社・異業種からの引き合いがある」といったケースで、許可・経審を切らさずに引き継げるかが論点になります。

M&Aの具体的なスキームは建設業のM&Aスキーム|株式譲渡・事業譲渡・会社分割の比較、事業譲渡による承継は建設業の事業譲渡による承継で整理しています。

建設業ならではの壁|許可承継認可と経審スコアを切らさない

承継認可の申請書類を万年筆で精査する手元(許可承継認可の壁)

加須市の建設業の事業承継が、一般的な事業承継と決定的に違う点があります。「建設業許可」と「経営事項審査(経審)」という公的な資格を引き継がなければならないことです。

ここを軽視すると、株式や経営は引き継げても、肝心の許可が切れて事業が続けられない、という事態になりかねません。

建設業許可の承継認可(申請期限に注意)

2020年10月施行の改正建設業法により、事業譲渡・合併・分割・相続による建設業許可の承継は、事前に許可行政庁の「承継認可」を受ける仕組みになりました(建設業法第17条の2〜4)。

最も重要なのは、譲渡・合併・分割では承継予定日(効力発生日)の前日までに認可を受けていなければならないという点です(事前認可)。相続は被相続人の死亡後30日以内に認可申請をする必要があります。

ここで「30日」という数字が複数出てきますが、すべて別のルールです。混同が事故に直結するため、下の期限表で必ず区別してください。

整理すると、①法定の事前認可=効力発生日の前日までに認可、②埼玉県の運用=事実発生日の30日前までに申請完了、③相続=死亡後30日以内に申請、④更新=有効期限の30日前まで、の4つです。

承継認可の申請受付期限や審査にかかる期間は許可行政庁ごとに異なります。加須市を所管する埼玉県には、県公式の手引きに明記された固有の期限があります。

埼玉県の手引き(令和8年4月版・第12章 許可の承継)は、「遅くとも、承継の事実発生日の30日前までに申請を完了させてください。不足書類がある場合、受付は一切できません」と定めています(埼玉県 建設業許可の手引き 第12章)。

ここが実務上いちばん危ないポイントです。法律上は「効力発生日の前日までに認可」でも、埼玉県では30日前までに申請が完了していなければ受け付けてもらえません。10日前の駆け込み申請は通りません。

参考までに、東京都は効力発生日の2か月前〜25日前まで・審査に25開庁日程度などの運用で、都県によって幅があります。加須市の事業者が従うのは、あくまで埼玉県の期限です。

県の手引きは事前相談も求めています。「事前相談なく承継申請をされた場合、不備の補正等に時間がかかり、承継の事実が発生するまでに認可ができないおそれがあります」として、埼玉県庁 県土整備部 建設管理課の窓口での事前相談を前提としています。

事前認可を受ければ許可の空白期間ゼロで引き継げますが、怠ると一時的に無許可となり、500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請けられなくなります。

具体的な申請期限・標準処理期間は許可行政庁により異なるため、必ず提出先(埼玉県知事許可なら建設管理課)に事前確認してください。承継認可制度の全国共通の手引としては、国土交通省 関東地方整備局の建設業許可案内も参考になります。

加須市ならではの注意点|窓口は埼玉県庁、知事許可か大臣許可かで変わる

加須市内のみに営業所を置く事業者は埼玉県知事許可となり、承継認可・建設業許可・各種届出の提出先は埼玉県庁 県土整備部 建設管理課(さいたま市浦和区高砂3-15-1 第2庁舎3階)です。

建設業許可申請・各種届出は電子申請(JCIP)も利用できます。ただし承継認可はJCIPの電子申請対象に含まれず、埼玉県の手引きは「申請はすべて持参による受付です。郵送及び電子申請による受付は行っておりません」と明記しています。

つまり承継認可は持参による受付のみ(郵送・電子申請は不可)です。申請・相談の受付時間は月〜金曜(祝日・12月29日〜1月3日を除く)の午前9時〜11時、午後1時〜4時15分です(最新の取扱いは建設管理課へご確認ください)。

加須市役所には建設業許可・承継認可の受付窓口はありません。市発注工事の入札・指名願いの相談が加須市役所の契約担当部署になりますが、建設業許可・承継認可そのものは県(埼玉県庁 建設管理課)が窓口です。

取り違えやすい点として、加須市内の県管理河川・道路の工事や占用は県の所管事務所(県土整備事務所)が窓口ですが、これは工事・河川管理の窓口であって、建設業許可・承継認可の受付とは別です。許可・承継認可の受付は本庁の建設管理課で行います。

さらに加須市で重要なのが、承継認可の窓口は「知事許可か大臣許可か」で変わるという点です。

加須市は東北自動車道 加須ICと、群馬・栃木・茨城の3県に接する県境の位置にあり、市内の事業者が県境を越えて近隣県に営業所を構えて元請取引を広げているケースもあります。

本店を加須市に置きつつ他の都道府県にも営業所を構える事業者の場合は国土交通大臣許可となり、承継認可の窓口は埼玉県庁 建設管理課ではなく関東地方整備局に変わります。自社がどちらに該当するかを早めに確認しておくことが、承継認可をスムーズに進めるうえで重要です。

参考までに、埼玉県知事許可の新規申請手数料は9万円、新規許可の標準処理期間はおおむね18日(埼玉県公式。土日祝・年末年始を除く。混雑等により前後する)です。

ただしこれはあくまで新規許可の参考値であり、事業承継の「承継認可」の審査に要する期間はこれとは別です。承継認可の審査期間は許可行政庁ごとに異なり「18日」と断定はできません。

そのため、埼玉県庁 県土整備部 建設管理課に早めに事前相談し、遅くとも承継の事実発生日の30日前までに申請を完了させてください。

承継後の許可期間にも独特の扱いがあります。有効期間の起算点は承継日の翌日となるため(法第17条の2第7項)、承継のあと最初の更新までの許可期間は「5年と1日」になります。

許可番号は原則として承継元のものを使います。承継先も埼玉県知事許可を持つ場合はどちらの番号を使うか選択できますが、一度選択した許可番号は変更できません(埼玉県手引き第12章)。

知事許可と大臣許可の違いは大臣許可と知事許可の違い|営業所の所在地で変わる申請先で詳しく解説しています。承継認可制度そのものの詳細は建設業許可の事業承継認可(譲渡・合併・分割・相続)建設業許可と事業承継の全体像で扱っています。

類型別では、相続による承継は建設業許可の相続による承継(30日以内の認可申請)、合併は建設業の合併と承継認可、会社分割は建設業の会社分割と承継認可、避けたい失敗例は建設業の事業承継 失敗パターン集を参照してください。

承継の類型 認可申請の期限 ポイント
事業譲渡 効力発生日(承継予定日)の前日までに認可 事前認可(法定)。個人事業主の生前の事業承継・法人成りを含む
合併 効力発生日の前日までに認可 事前認可(法定)。消滅会社・存続会社の許可を整理して引継ぎ
分割(会社分割) 効力発生日の前日までに認可 事前認可(法定)。承継対象の事業・許可の範囲を明確に
【埼玉県の運用】譲渡・合併・分割 承継の事実発生日の30日前までに申請を完了 「申請」の期限であって「認可」の期限ではない。埼玉県手引き第12章に明記。不足書類がある場合、受付は一切できない
相続 被相続人の死亡後30日以内に申請 個人事業に限る。相続人が事業を継続する場合。認可までは相続人が許可を承継したものとみなされる
(参考)通常の更新 有効期限の30日前まで 承継とは別。5年ごとの更新を切らさない
手続き 窓口・提出先 加須市での進め方・注意点
建設業許可(埼玉県知事許可) 埼玉県庁 県土整備部 建設管理課(さいたま市浦和区)/電子申請はJCIP 営業所が加須市内(埼玉県内)のみなら知事許可。他県にも営業所があれば大臣許可(関東地方整備局)
承継認可(譲渡・合併・分割・相続) 埼玉県庁 県土整備部 建設管理課(知事許可の場合)/JCIP対象外・持参による受付のみ(郵送・電子申請は不可)/申請手数料は無料 譲渡等は効力発生日の前日までに認可(事前認可)+埼玉県は事実発生日の30日前までに申請完了/相続は死亡後30日以内に申請。事前相談が前提
経営事項審査(経審) 埼玉県(県庁・建設管理課が窓口) 承継で経管・技術者が交代するとP点に影響。CCUS就業履歴でW点を加点
県管理の河川・道路工事 県の所管事務所(県土整備事務所) 県管理道路・県管理河川の工事発注・占用等を所管。許可・承継認可の受付はしない
市発注工事の入札・指名願い 加須市役所 契約担当部署 経審・許可取得済が前提。市役所は許可・承継認可の受付は行わない

経審スコアと経営業務管理責任者(経管)の引継ぎ

公共工事の入札や、加須市発注工事、利根川の治水・防災などの公共案件に参加している事業者にとっては、経審スコア(P点)を途切れさせないことも重要です。

承継のタイミングで経営業務管理責任者(経管)や営業所技術者等が交代すると、許可要件や経審の技術職員点(Z点)に影響します。特に経管は「建設業に関し5年以上の経営経験」が必要なため、後継者の育成には年単位の時間がかかります。

さらに加須市では、CCUS(建設キャリアアップシステム)の就業履歴の蓄積による経審のW点加点が、工業団地や治水の公共案件で効いてくるため、承継後も技能者の登録・運用を継続できる体制づくりが欠かせません。

経審を切らさない実務は事業承継で経審スコアを途切れさせない方法、経管交代の段取りは建設業の経管交代と事業承継、CCUSと経審の連動は加須市のCCUS登録代行を参照してください。

そして、株式譲渡やM&Aが成立した後も、承継後の統合(PMI)で許可の一本化・経審の組み直し・技術者の定着を進める必要があります。「成立したら終わり」ではない点は建設業のPMI(承継後統合)完全ガイドで詳しく整理しています。

加須市で事業承継を相談すべき専門家と費用の目安

面談室で費用や役割分担を説明する女性行政書士と経営者

建設業の事業承継は、1人の専門家では完結しません。領域ごとに担い手が分かれます。建設業では「許可・経審を守りながら承継する」点が起点になるため、まず行政書士に相談し、税理士・社労士・M&A仲介と連携するのが実務的です。

なお、株価評価や相続・贈与税は税理士、M&Aの法務・契約は弁護士、買い手探し・条件交渉はM&A仲介の領域です。行政書士の業務範囲は建設業許可の承継認可と各種変更届です。役割を正しく切り分けて連携することが、過不足のない承継につながります。

専門家 主な役割 費用の目安
行政書士 建設業許可の承継認可、経審の継続設計、各種届出(独占業務) 承継認可で10〜30万円程度(※県への申請手数料は無料。新規許可の9万円とは異なる)
税理士 株価評価、相続・贈与税、退職金設計 株価評価30〜100万円程度
弁護士 M&A契約・法務デューデリジェンス・紛争予防 スポット・タイムチャージ
M&A仲介・支援センター 買い手探し・条件交渉(M&Aの場合) 最低報酬2,000〜2,500万円が一般的

誰に・どの順で相談すべきかは建設業の事業承継は誰に相談すべき?、会社規模・スキーム別の総額の考え方は事業承継の費用総額シミュレーションで詳しく試算しています。

なお、M&A仲介はクロージング(成立)までで関与が終わることが多く、その後の許可・経審の統合は別途、地元で継続支援できる専門家に任せるのが安全です。加須市は事業承継・引継ぎ支援センターなど公的相談窓口も活用でき、行政書士を起点に公的支援を組み合わせやすい地域です。

事業承継は、決算書や株主構成、家族関係といった極めて機微な情報を扱う相談です。だからこそ、顔の見える地元の専門家に継続して相談できる安心感は、加須市の経営者にとって小さくない価値があります。

生成AIで制度の概要は調べられても、運用判断は現場経験のある専門家でなければ代替できません。「この承継で経審のP点がどう動くか」「廃業届と承継認可をどの順で出せば許可が切れないか」「知事許可と大臣許可のどちらで承継認可を申請すべきか」「操業中の工場の構内工事を任される信用をどう後継者に引き継ぐか」といった判断がそれにあたります。

IT化が遅れた業界だからこそ、知識と仕組みで先に動いた事業者から差がつきます。

加須市の建設業の事業承継は「5〜10年前」から動くほど有利

建設現場で並んで前を見据える年配経営者と若手後継者(早めの承継準備)

事業承継でいちばん多い失敗は、「動き出すのが遅れること」です。建設業の承継には、時間をかけなければ解決できない要素が重なっています。

  • 経管要件:後継者が5年以上の経営経験を積む必要がある → 最低5年前から
  • 株価対策:自社株評価の圧縮(役員退職金・利益調整など)は数年がかり
  • 経営者保証の解除:金融機関との交渉に時間を要する
  • 経審スコアの引継ぎ:決算期・技術者配置・CCUS就業履歴の蓄積を計画的に
  • 技能承継と取引口座の引継ぎ:工業団地・物流・利根川の工事を扱える職人の技量や、元請担当者への“顔つなぎ”は一朝一夕にはいかない

経営者が60代に入ったら、まずは現状把握(許可・経審・株価・後継者の有無・取引先の棚卸し)から始めるのが安全です。

準備の年次タスクは建設業の事業承継 完全ロードマップ、親族内承継の3年計画は建設業の親族内承継 完全ロードマップ、避けるべき失敗は建設業の事業承継 失敗パターン集、経営者保証の解除は建設業の経営者保証と事業承継で詳しく解説しています。

「まだ元気だから先でいい」と先送りした結果、経営者の体調悪化や急逝で準備が間に合わず、相続トラブルや黒字廃業に至るケースが後を絶ちません。

承継は、やる気が出てから始めるものではなく、仕組みとして早く着手するものです。創業世代の高齢化が進む県北東部では、この“先送りリスク”がとりわけ大きいだけに、早く動いて事業を整えた会社ほど、承継でも有利になります。

加須市の建設業の事業承継に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 加須市で建設業の事業承継はどこに相談すればよいですか?

建設業の事業承継には、許可・経審を扱う行政書士、株価・税務の税理士、給与・社会保険の社会保険労務士、M&Aを伴う場合のM&A仲介や事業承継・引継ぎ支援センターなど、複数の専門家が関わります。

建設業特有の「許可承継認可」「経審スコアの継続」が成否を左右するため、まず行政書士を起点に相談するのが実務的です。加須市内のみに営業所がある事業者は埼玉県知事許可で、許可・承継認可・各種届出の提出先は埼玉県庁 県土整備部 建設管理課(さいたま市浦和区高砂3-15-1 第2庁舎3階)です。

建設業許可申請・各種届出は電子申請(JCIP)も利用できますが、承継認可はJCIPの対象外で、埼玉県の手引きによれば持参による受付のみ(郵送・電子申請は不可)です。申請・相談の受付時間は月〜金曜(祝日・年末年始を除く)の午前9時〜11時、午後1時〜4時15分です。

加須市役所に建設業許可・承継認可の受付窓口はなく、市発注工事の入札相談のみ市の契約担当部署です。なお承継認可の県への申請手数料は無料です(行政書士報酬は別途)。

市内11地区の工業団地・産業団地の構内工事や設備更新、加須IC周辺の物流施設、利根川の治水・河川防災、騎西・北川辺・大利根を含む広い市域の道路・農業施設の維持更新まで踏まえて、地元の行政書士なら一体で設計できます。

Q2. 加須市の建設業を後継者に継がせるとき、建設業許可はそのまま引き継げますか?

自動では引き継げません。2020年10月施行の改正建設業法による承継認可(法第17条の2〜4)を、譲渡・合併・分割は承継予定日(効力発生日)の前日までに受けておく必要があり(事前認可)、相続は死亡後30日以内に認可申請をする必要があります。

さらに埼玉県では、県の手引きが「遅くとも、承継の事実発生日の30日前までに申請を完了させてください。不足書類がある場合、受付は一切できません」と明記しています。法定の「効力発生日の前日までに認可」とは別に、この申請期限を必ず守る必要があります。

事前認可を受ければ許可の空白期間ゼロで引き継げますが、怠ると一時的に無許可となり、500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請けられなくなります。県の手引きは窓口での事前相談も前提としています。

加須市内のみに営業所がある場合は埼玉県知事許可で、承継認可の提出先は埼玉県庁 県土整備部 建設管理課です(承継認可はJCIP対象外で持参による受付のみ・郵送や電子申請は不可。許可申請・各種届出はJCIPも利用可)。

他の都道府県にも営業所を置く場合は大臣許可となり、窓口は関東地方整備局に変わります。また承継後の許可期間は起算点が承継日の翌日となるため「5年と1日」になり、許可番号は原則として承継元のものを使います。

Q3. 後継者がいない加須市の建設業者は廃業するしかないのですか?

廃業だけが選択肢ではありません。従業員への承継(MBO)や第三者へのM&Aで事業と雇用を残す道があります。

加須市では、11地区・約416haの工業団地に約260社が立地する製造・物流施設の構内工事や設備更新、加須IC周辺の物流施設、利根川の堤防・排水の防災土木、旧加須・騎西・北川辺・大利根の各地域にまたがる道路・農業関連施設の維持補修で建設需要が続いています。

とりわけ操業中の工場や物流施設の構内に入る仕事は、発注者の信用と現場を知る職人で成り立つ属人的な取引で、新規参入では簡単に代替できません。許可・経審・技術者と、半世紀かけて開けた取引口座を備えた会社には買い手がつきやすい環境です。

廃業は許可抹消・解雇・取引先影響を伴い、取引口座も同時に消えます。決める前に承継・M&Aの可能性を専門家に相談することをおすすめします。

Q4. 加須市の建設業の事業承継はいつから準備すべきですか?

親族内承継・従業員承継なら5〜10年前、M&Aでも1〜3年前からが理想です。建設業では経管の後継者が5年以上の経営経験を積む必要があり、これだけで5年前から動く理由になります。

加えて株価対策、経営者保証の解除、経審の引継ぎ、そして工業団地の構内工事や加須IC周辺の物流施設、利根川の治水土木、旧1市3町にまたがる市域の道路・農業施設の元請との取引口座の顔つなぎなど、時間のかかる準備が重なります。

加須市の人口は111,846人・51,993世帯(令和8年1月1日現在・住民基本台帳/加須市公式。最新値は加須市公式で要確認)で、県北東部の製造・物流の集積地として仕事を抱えつつも創業世代の高齢化が進んでおり、後継者不在は他人事ではありません。経営者が60代に入ったら、加須市の建設業者はまず現状把握から始めるのが安全です。

Q5. 加須市の建設業の事業承継にはどれくらい費用がかかりますか?

スキームにより大きく異なります。親族内承継なら株価評価・税理士報酬・許可承継認可で数十万円〜、M&Aを伴う場合はM&A仲介手数料(最低報酬2,000〜2,500万円が一般的)が加わり総額が数百万円規模になることもあります。

建設業許可の承継認可の行政書士報酬は10〜30万円程度が目安です。なお承継認可そのものの県への申請手数料は無料で(埼玉県手引き第12章「手数料はかかりません」)、新規許可の9万円とは扱いが異なります。

詳しくは費用シミュレーション記事で会社規模別に試算しており、加須市の事業者にも初回無料相談で概算をお示しします。

まとめ:加須市の建設業の事業承継は「残す」前提で早めに動く

加須市の建設業の事業承継について、本記事のポイントをまとめます。

  • 加須市は11地区・約416haの工業団地に約260社が集まる製造・物流の集積、東北道 加須IC・加須IC東産業団地の物流、利根川・渡良瀬遊水地の治水、旧1市3町にまたがる田園・市街地のインフラで建設需要が続く=事業を「残す」価値が高い
  • 加須市の承継価値は「工業団地・物流・利根川の治水で培った実績・技能と、半世紀かけて開けた元請取引口座(残す・売れる資産)」と「工場の設備更新・治水・広域インフラで途切れない需要基盤(続く価値)」。とくに操業中の工場の構内に入れる信用は書類に残らず、廃業届と同時に消える
  • 選択肢は親族内承継・親族外承継(MBO)・M&A・廃業の4つ。廃業は最後の手段で、まず3つの“残す”道を検討する
  • 建設業特有の壁は「許可承継認可(譲渡等は効力発生日の前日までに認可が必要な事前認可制度。埼玉県は加えて「承継の事実発生日の30日前までに申請完了」を手引きで明記し、不足書類があれば受付不可。相続は死亡後30日以内。事前相談が前提)」と「経審スコアの継続」。加須市内のみなら埼玉県知事許可で窓口は埼玉県庁 建設管理課(許可申請・届出はJCIP可だが承継認可は持参による受付のみ・郵送や電子申請は不可/県への申請手数料は無料/加須市役所に窓口はない/県管理河川・道路の工事は県の所管事務所〈県土整備事務所〉が窓口だが許可・承継認可の受付はしない)、他県にも営業所があれば大臣許可で関東地方整備局が窓口
  • 承継後の許可は「5年と1日」(有効期間の起算点は承継日の翌日・法第17条の2第7項)。許可番号は原則承継元のものを使い、承継先も埼玉県知事許可を持つ場合はどちらかを選択でき、一度選ぶと変更できない
  • 相談は行政書士を起点に、税理士・弁護士・社労士・M&A仲介と役割を切り分けて連携する
  • 経管要件・株価・経営者保証の解除・技能承継・取引口座の顔つなぎは数年がかり。60代に入ったら現状把握から着手を

建設業の事業承継は、許可・経審・技術者・取引先という“見えない資産”を次世代に引き継ぐ仕事です。加須市では、これに工業団地の構内に入れる信用、利根川の治水で培った実績という地域固有の価値も加わります。

利根川が半世紀かけて土を運び堤を築くように、取引口座も一日では積み上がりません。ただし廃業という一度の決断で、その堤はあっけなく崩れ、二度と同じ形には戻りません。

加須で長い年月をかけて築いた信用は、次の代でこそ値打ちが出ます——畳む算段の前に、残す算段から始めてください。

加須市の建設業|事業承継・許可承継のご相談窓口

当事務所は、加須駅・花崎駅周辺の市街地から東北道 加須IC沿いの工業団地・物流エリア、利根川沿いの田園地帯、騎西・北川辺・大利根の各地域、さらに羽生市・行田市・久喜市までを対応エリアに、建設業の事業承継をワンストップで支援しています。

行政書士の独占業務として、承継認可(譲渡・合併・分割・相続)・経審の継続設計・業種整理や各種届出を担当します。株価や税務は税理士、M&A契約は弁護士、労務は社会保険労務士、買い手探しはM&A仲介と組み、許可と経審を切らさない形を一緒に設計します。

提出先である埼玉県庁 県土整備部 建設管理課の運用(許可申請・届出はJCIP可/承継認可は持参による受付のみ・事実発生日の30日前までに申請完了)にも通じており、知事許可・大臣許可のどちらにも対応します。

「子は継がない」「番頭に任せたい」「同業から声がかかっている」「たたむことも視野に入れている」——どの段階でも構いません。初回相談は無料です。お問い合わせから、いまある取引口座の棚卸しと、残すための選択肢を率直にお伝えします。

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