建設業許可の料金
| サービス | 弊所報酬(税込) | 法定費用(別途) |
|---|---|---|
| 新規申請(知事・一般) | 110,000円〜 | 申請手数料 90,000円 |
| 新規申請(知事・特定) | 165,000円〜 | 申請手数料 90,000円 |
| 新規申請(大臣・一般) | 165,000円〜 | 申請手数料 150,000円 |
| 更新申請 | 55,000円〜 | 申請手数料 50,000円(知事) |
| 業種追加 | 55,000円〜 | 申請手数料 50,000円(知事) |
| 決算変更届 | 44,000円〜 | 実費のみ |
| 各種変更届 | 33,000円〜 | 実費のみ |
| 経審申請 | 別途お見積もり | 審査手数料(規模により変動) |
結論から言えば、建設業許可を「休眠」させることはできません。会社は休眠会社にできても、許可にはその仕組みがないからです。
建設業法第29条第1項第4号は、引き続いて1年以上営業を休止した場合を取消事由として挙げています。しかも同項の柱書は「取り消すことができる」ではなく「取り消さなければならない」です。
この記事は、「後継者が決まるまで許可を寝かせておけないか」という問いを3ステップで整理します。
①法律上どう扱われるのか、②営業を止めても消えない義務は何か、③現実的にとりうる選択肢は何か——この順に、条文と埼玉県の手引きだけを根拠に見ていきます。
対象読者は、後継者が決まらないまま受注を絞っている経営者、体調や高齢を理由に一時的に営業を止めることを考えている個人事業主です。
この記事でわかること:
- 建設業法に「休眠」の規定がないこと、そして1年の意味
- 営業を止めても続く3つの義務(決算変更届・変更届・更新)
- 届出を怠ったときの罰則の中身
- 経管・営業所技術者が抜けた時点で何が起きるか
- 維持・廃業届・承継という3つの選択肢の判断軸
- 後継者が決まらない場合に、いつから動くべきか
目次
ステップ1|建設業法に「休眠」という制度はない

まず前提の確認です。会社法の世界には休眠会社という概念があり、登記をせずに置いておく状態は一応存在します。しかし建設業許可の側に、それに対応する制度はありません。
建設業法が用意しているのは、許可を受けている状態か、廃業届を出して許可を手放した状態かの二択です。その中間に「休んでいる許可」という区分はありません。
それどころか、営業を止めていること自体が不利益に働きます。第29条第1項第4号を見てください。
許可を受けてから一年以内に営業を開始せず、又は引き続いて一年以上営業を休止した場合
これが許可の取消事由として、正面から書かれています。休むこと自体が想定外の状態として扱われている、ということです。
「取り消さなければならない」という書きぶり
条文の重さは、語尾に出ます。第29条第1項の柱書はこうです。
国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。
一方、同条第2項は「許可を取り消すことができる」と書かれています。第2項は許可に付された条件に違反した場合の規定です。
つまり第1項は必要的取消しであり、行政庁に「今回は見逃す」という裁量が用意されていません。第2項の裁量的取消しと対比すると、この差は明確です。
もっとも、許可行政庁が休止の事実を自動的に把握しているわけではありません。実務上は、届出の状況や決算変更届の内容が端緒になります。だからこそ次のステップが効いてきます。
ステップ2|営業を止めても消えない3つの義務

仕事を受けていない年でも、建設業者としての義務は続きます。ここを止めた瞬間に、休止していることが可視化されます。
| 義務 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 決算変更届(変更届出書・決算報告) | 毎事業年度経過後4か月以内 | 法第11条第2項 |
| 商号・所在地・役員等の変更届 | 変更から30日以内 | 法第11条第1項 |
| 許可の更新 | 5年ごと | 法第3条第3項 |
受注ゼロの年でも決算変更届は必要
最も見落とされるのがこれです。第11条第2項は、毎事業年度終了時の書類を毎事業年度経過後4月以内に提出しなければならないと定めています。工事の受注がなかった年度を除外する規定はありません。
埼玉県の手引き(令和8年4月版)も、毎年必ず、事業年度終了後4か月以内に変更届出書(決算報告)を提出しなければならないと明記しています。提出部数は正本・副本各1部です(電子申請を除く)。
営業していないのだから出さなくてよい、という理屈は通りません。むしろ工事経歴が空欄の届出を毎年出し続けることが、休止していないことの説明にもなります。
更新は待ってくれない
第3条第3項は、許可は5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失うと定めています。
なお第3条第4項により、更新の申請をしていれば、有効期間の満了後も処分がされるまでは従前の許可が効力を有します。第5項では、更新されたときの有効期間は従前の有効期間の満了の日の翌日から起算すると定められています。申請さえ出しておけば、審査中の空白は生じません。
逆に言えば、申請を出さずに満了日を迎えれば、それで終わりです。5年に一度しか来ない手続きだからこそ、休止期間中は特に抜けやすくなります。
ステップ3|出さないと罰則がある

届出を怠ることは、しばしば「事務の遅れ」として扱われます。しかし条文の位置づけは違います。
建設業法第50条第1項第2号は、次のように定めています。
第十一条第一項から第四項まで(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出したとき
これに該当する場合の法定刑は、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。同条第2項により、情状によって拘禁刑と罰金を併科することもできるとされています。
決算変更届は第11条第2項の書類ですから、この罰則の射程に入ります。出さないという選択は、単に放置しているのではなく、罰則付きの義務を履行していない状態です。
さらに第50条第1項第3号は、第11条第5項の届出をしなかったときも同じ罰則の対象としています。第11条第5項は、許可の要件を満たさなくなったときなどの届出です。次に見るとおり、休止期間中に最も起きやすいのがこれです。
人が抜けた時点で終わる|2週間ルールと取消事由

営業を止めている期間に、実務でいちばん多く起きるのが「人が抜ける」ことです。仕事がなければ、技術者は他社へ移ります。
建設業法第11条第5項は、第7条第1号または第2号に掲げる基準を満たさなくなったときは、2週間以内にその旨を書面で届け出なければならないと定めています。第7条第1号は経営業務の管理責任者等、第2号は営業所技術者等に関する基準です。
また第11条第4項は、営業所に置く営業所技術者が置かれなくなった場合において、これに代わるべき者があるときは、2週間以内にその者についての書面を提出しなければならないとしています。
そして代わりがいなければ、話は届出では終わりません。第29条第1項第1号は、一般建設業者にあっては第7条第1号または第2号の基準を満たさなくなった場合を、取消事由として定めています。
埼玉県の手引きも、廃業届を出すべき場合として次を挙げています。
- 常勤役員等または常勤役員等を直接に補佐する者が退職・死亡したが、その者以外で要件を満たす者がいない
- 営業所技術者等が退職・死亡したが、その者以外で要件を満たす者がいない
- 埼玉県内の営業所を廃止した
つまり1年を待たずに、人が抜けた時点で許可は終わり得ます。「1年は大丈夫」と考えるのは危険です。
現実的な3つの選択肢

ここまでを踏まえると、とれる道は3つに整理できます。
| 選択肢 | 成立条件 | 主なコストとリスク |
|---|---|---|
| 1. 許可を維持する | 経管・営業所技術者の常勤を保ち、決算変更届と更新を続け、営業を1年以上止めない | 更新手数料5万円(埼玉県知事許可)+毎年の届出事務。人件費が続く |
| 2. 廃業届を出す | 建設業から撤退する、または要件を維持できない | 30日以内の届出義務。再取得時は新規扱いで手数料9万円。許可番号は欠番になる |
| 3. 承継する | 譲渡・合併・分割・相続のいずれかで引き継ぐ相手がいる | 事前の認可申請が必要。ただし許可・経審の結果ごと引き継げる |
廃業届は「30日以内」の義務でもある
廃業を選ぶ場合も、放っておいてよいわけではありません。第12条は、許可を受けた建設業を廃止したときなど一定の場合に、30日以内に届け出なければならないと定めています。
そして一度すべての許可が効力を失うと、その建設業者の許可番号は欠番になります。長年使ってきた番号は戻りません。再び取得する場合は新規申請となり、埼玉県知事許可なら手数料は9万円です(更新の5万円ではありません)。
維持コストは「手数料」より「人」
許可を維持する場合、目に見える費用は5年に一度の更新手数料5万円です。しかし実際の負担は、経営業務の管理責任者と営業所技術者等を常勤で置き続けることにあります。
受注がない期間にこの体制を維持するのは、人件費の面でも本人の生活の面でも簡単ではありません。だからこそ「休ませる」という発想が出てくるのですが、制度上その受け皿がない、というのがこの記事の要点です。
承継なら、積み上げたものを渡せる
3つ目の道は、許可を手放さずに人を替える方法です。事業譲渡・合併・分割・相続による承継の認可を受ければ、承継先は承継元の建設業者としての地位を引き継ぎます。
この地位には、許可だけでなく経営事項審査の結果も含まれます。廃業して取り直す場合と違い、公共工事の実績の土台が途切れません。
ただし譲渡・合併・分割は、承継の事実が発生する前に認可を受ける必要があります。「営業を止めてから考える」では間に合わない設計です。
後継者が決まらないなら、いつ動くか

結局のところ、判断のタイミングは「営業を止めるかどうか」より前にあります。逆算すると次の順序になります。
- 経管と営業所技術者の後任がいるかを確認する。ここが崩れると、1年を待たずに許可が終わります。
- 次の更新期限を確認する。5年に一度なので、休止を考える時点で残り期間を把握しておきます。
- 決算変更届を止めない。受注ゼロでも毎事業年度経過後4か月以内に出し続けます。
- 1年の営業休止に近づく前に、維持・廃業・承継のどれを選ぶか決める。第29条第1項第4号の期間は待ってくれません。
- 承継を選ぶなら、事実発生の前に認可申請を完了させる。相手探しから逆算すると、着手は年単位で早くなります。
建設業は、書類仕事を後回しにしても現場が回ってしまう業界です。だからこそ、期限が条文で決まっている手続きだけは、人の記憶ではなく仕組みで管理する価値があります。
更新期限と決算期を1枚の表にして事務所に貼る。それだけで、失わなくてよい許可を失う事故はかなり減ります。
建設業許可の休眠に関するよくある質問(FAQ)
Q. 建設業許可を休眠させることはできますか?
建設業法に「休眠」という制度はありません。むしろ第29条第1項第4号は、許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、または引き続いて1年以上営業を休止した場合を取消事由として定めています。
会社を休眠会社にすることはできても、建設業許可を休眠状態にしておく仕組みは用意されていません。
Q. 1年以上営業を休止すると、必ず取り消されるのですか?
第29条第1項の柱書は「許可を取り消さなければならない」と規定しており、同条第2項の「取り消すことができる」と対照的です。第1項は行政庁に裁量の余地がない必要的取消しです。
ただし許可行政庁が休止の事実を把握する必要があるため、実務上は届出や決算変更届の状況が端緒になります。
Q. 営業していない年でも決算変更届は必要ですか?
必要です。第11条第2項は、毎事業年度終了時の書類を毎事業年度経過後4か月以内に提出しなければならないと定めており、受注がなかった年度を除外する規定はありません。
埼玉県の手引きも「毎年必ず、事業年度終了後4か月以内に」提出するよう求めています。
Q. 決算変更届を出さないと罰則はありますか?
あります。第50条第1項第2号は、第11条第1項から第4項までの規定による書類を提出せず、または虚偽の記載をして提出したときは、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。
同条第2項により、情状によって拘禁刑と罰金を併科することもできます。
Q. 経営業務の管理責任者が退職したらどうなりますか?
代わりの人がいれば、第11条第5項により2週間以内に届け出ます。代わりがいなければ、第29条第1項第1号の取消事由に該当します。
埼玉県の手引きも、常勤役員等や営業所技術者等が退職・死亡し、他に要件を満たす者がいない場合を廃業届の対象として挙げています。
Q. 一度廃業届を出したら、許可番号は戻りますか?
戻りません。埼玉県の手引きは、既に受けていたすべての許可が効力を失った場合、当該建設業者の許可番号は欠番となると説明しています。
再取得は新規申請となり、埼玉県知事許可の手数料は9万円です。更新の5万円とは異なります。
Q. 休止していると公共工事の入札参加資格はどうなりますか?
市町村の規程によりますが、許可の更新を受けなかったときや営業を廃止したときを、資格者名簿からの抹消事由としている自治体があります。
許可を失うと、県の許可だけでなく市町村の入札参加資格まで失うことになります。自社が登録している発注者の規程を確認してください。
まとめ:休ませるより、渡すほうが残せる
要点を整理します。
- 建設業法に「休眠」という制度はない。あるのは許可を持つ状態か、廃業届を出した状態かの二択
- 引き続いて1年以上の営業休止は取消事由(法第29条第1項第4号)。しかも必要的取消し
- 受注ゼロでも決算変更届は毎事業年度経過後4か月以内(法第11条第2項)
- 届出を怠れば6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法第50条第1項第2号)
- 経管・営業所技術者が抜けた時点で、1年を待たず取消事由に該当し得る
- 選択肢は維持・廃業届・承継の3つ。承継なら経審の結果ごと引き継げる
「後継者が決まるまで少し休みたい」という相談は、突き詰めると「積み上げたものを失いたくない」という話です。であれば、休ませるより渡すほうが、残せるものは多くなります。
許可も、経審の点数も、取引先との関係も、承継という形なら次に渡せます。逆に1年空転させて取り消されると、渡せるものは何も残りません。
後継者が見つからない、営業を続けるか迷っている、更新期限が近いが判断がつかない——そうした段階でこそ、選択肢を並べる意味があります。建設業許可と経営事項審査を専門とする行政書士に、期限が来る前にご相談ください。
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