経審の手続きは何から始めればいい?」「申請の流れがよくわからない…」——経営事項審査の流れは複数の手続きが関わるため、初めて受審する方にとっては全体像がつかみにくいものです。

しかし、経審の手続きは決まったステップを順番に進めるだけです。全体の流れとスケジュール感を事前に把握しておけば、迷うことなく申請を進められます。

この記事では、経営事項審査の申請の流れを6つのステップに分けて、初めての方にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること:

  • 経審の申請手順(6ステップ)と各ステップでやること
  • 3月決算を例にした具体的なスケジュール
  • 経審にかかる費用の目安
  • 手続きで注意すべきポイント

なお、経審の制度そのものについて知りたい方は「経営事項審査(経審)とは?仕組みと評価基準をわかりやすく解説」の記事からお読みください。

まず全体像を把握しよう|経審の手続きフロー

経営事項審査(経審)は、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です(建設業法第27条の23)。審査の結果として総合評定値(P点)が通知され、この点数をもとに入札参加資格の格付けが決まります。

経審のゴールは、P点を取得して入札参加資格を得ることです。そこに至るまでの全体の流れは以下のとおりです。

建設業許可の確認
 ↓
決算変更届の提出
 ↓
経営状況分析の申請
 ↓
経審の申請書類を作成
 ↓
経審を申請(許可行政庁)
 ↓
結果通知書の受領 → 入札参加資格の申請

それでは、各ステップの詳細を見ていきましょう。

【ステップ1】建設業許可の取得・維持を確認する

経審の手続きを始める前に、まず建設業許可を取得しているか(有効な状態か)を確認してください。経審は建設業許可を受けている建設業者のみが申請できます。

確認すべきポイント

確認項目 内容
許可の有効期間 建設業許可の有効期間は5年間。期限切れが近い場合は更新手続きを先に行う
許可業種の確認 経審を受ける業種は、建設業許可を受けている業種でなければならない
許可の区分 知事許可か大臣許可かによって、経審の申請先が異なる

建設業許可をまだ取得していない場合は、まず建設業許可の取得から始めてください。許可を取得し、最初の決算期を迎えた後から経審の申請が可能になります。

【ステップ2】決算変更届(事業年度終了届)を提出する

建設業許可業者は、毎事業年度の終了後4か月以内に「決算変更届(事業年度終了届)」を許可行政庁に提出する義務があります(建設業法第11条)。この届出が経審の前提手続きとなります。

決算変更届で提出する主な書類

  • 建設業財務諸表(貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書・株主資本等変動計算書・注記表)
  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 使用人数
  • その他、変更があった事項の届出書

ここで注意が必要なのは、建設業財務諸表は建設業法で定められた独自の様式で作成する必要がある点です。一般的な会計ソフトで出力した決算書をそのまま使うことはできません。勘定科目の組み替えなど、専門的な知識が求められます。

決算変更届が未提出の場合、経審の申請は受け付けてもらえません。決算が確定したら速やかに作成・提出しましょう。詳細は「建設業許可を失わないために!事業年度終了届(決算変更届)の重要性」をご覧ください。

【ステップ3】経営状況分析を申請する

経営状況分析は、経審とは別の手続きとして登録経営状況分析機関に申請します。財務諸表をもとにY点(経営状況)を算出してもらい、その結果通知書を経審の申請時に添付します。

経営状況分析の申請方法

項目 内容
申請先 登録経営状況分析機関(国土交通大臣の登録を受けた機関)
提出書類 経営状況分析申請書、建設業財務諸表(決算変更届と同じもの)
手数料 約13,800円(機関によって異なる)
申請方法 郵送またはインターネット(電子申請対応の機関あり)
結果通知までの期間 通常2〜3週間(繁忙期はさらにかかる場合あり)

主な登録経営状況分析機関

分析機関は複数ありますが、代表的なものは以下のとおりです。どの機関に申請しても審査内容は同じです。

  • (一財)建設業情報管理センター(CIIC)
  • (株)マネジメント・データ・リサーチ
  • ワイズ公共データシステム(株)
  • (株)九州経営情報分析センター
  • (株)北海道経営情報センター
  • (株)ネットコア
  • (株)経営状況分析センター
  • 経営状況分析センター西日本(株)
  • (株)NKB
  • (株)についてる

結果通知書が届くまでに時間がかかるため、決算変更届の提出が完了したらすぐに経営状況分析を申請することをおすすめします。

【ステップ4】経審の申請書類を作成する

経営状況分析の結果通知書を待つ間に、経審の申請書類の作成を並行して進めましょう。

作成が必要な申請書類

書類名 様式番号 内容
経営規模等評価申請書・総合評定値請求書 様式第25号の11 申請書本体。業種・審査基準日等を記載
工事種類別完成工事高・元請完成工事高 別紙一 X1・Z2の算出に使用する完成工事高を記載
技術職員名簿 別紙二 Z1の算出に使用する技術者の資格情報を記載
その他の審査項目(社会性等) 別紙三 W点の各加点・減点項目の該当状況を記載

これらに加えて、資格証明書の写し・社会保険の加入確認書類・W点の加点に関する証明書類などの添付書類を揃えます。

必要書類の詳細は「経営事項審査に必要な書類一覧と準備のポイント」で網羅的に解説しています。

また、P点の仕組みを理解した上で書類を作成すると、点数アップにつながる記載方法が見えてきます。詳しくは「経営事項審査の点数の仕組み|P点・X・Y・Z・Wの計算方法」をご覧ください。

【ステップ5】許可行政庁に経審を申請する

申請書類が整い、経営状況分析結果通知書が届いたら、許可行政庁に経審を申請します。

申請先と申請方法

許可の区分 申請先
都道府県知事許可 各都道府県の建設業担当課
国土交通大臣許可 主たる営業所を管轄する地方整備局等

申請方法は、窓口持参・郵送・電子申請のいずれかです。自治体によって対応状況が異なるため、事前に確認してください。なお、一部の都道府県では事前予約制を採用しています。

審査手数料

経審の審査手数料は、申請する業種数に応じて以下のとおりです。

申請業種数 手数料
1業種 11,000円
2業種 13,500円(11,000円+2,500円)
3業種 16,000円(11,000円+2,500円×2)
n業種 11,000円+2,500円×(n−1)

手数料は収入印紙で納付するのが一般的です(自治体により異なる場合あり)。

申請から結果通知までの所要期間

申請後、許可行政庁が審査を行い、結果通知書が届くまで通常1〜2か月かかります。ただし、都道府県や時期によって異なり、繁忙期(決算が集中する時期)は2か月以上かかる場合もあります。

【ステップ6】結果通知書を受領し、入札参加資格を申請する

審査が完了すると、許可行政庁から「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が届きます。これが経審の手続きのゴールです。

結果通知書の見方

通知書には、業種ごとの総合評定値(P点)と各評価項目(X1・X2・Y・Z・W)の点数が記載されています。このP点が入札参加資格の格付けに直結するため、想定どおりの点数になっているか確認しましょう。

点数に改善の余地がある場合は「経営事項審査の点数を上げる方法|すぐできる対策5選」を参考に、次回の受審に向けた対策を始めてください。

経審の有効期間

経審の有効期間は、審査基準日(決算日)から1年7か月です。

たとえば、3月決算の会社であれば、審査基準日は3月31日、有効期間は翌年の10月31日までとなります。この有効期間内に次の経審の結果通知を受けなければ、入札参加資格が失効してしまいます。

入札参加資格の申請へ

結果通知書を受領したら、入札に参加したい発注機関(国・都道府県・市区町村など)に対して入札参加資格の申請を行います。発注機関ごとに申請時期や方法が異なるため、ターゲットとする発注機関の情報を確認してください。

入札参加資格の詳細は「建設業許可と入札資格の関係を解説」をご覧ください。

経審のスケジュール|3月決算のモデルケース

経審の流れを具体的にイメージできるように、3月決算の会社を例にしたモデルスケジュールを紹介します。

時期 手続き内容 所要期間の目安
3月 決算(審査基準日=3月31日)
4月〜5月 決算変更届(事業年度終了届)の作成・提出 2〜4週間
5月〜6月 経営状況分析の申請 → 結果通知書の受領 2〜3週間
6月〜7月 経審の申請書類作成・添付書類準備 → 申請 1〜2週間
7月〜9月 審査期間 → 結果通知書の受領 1〜2か月
結果通知後 入札参加資格の申請 発注機関による

有効期間は翌年10月31日まで(審査基準日3月31日+1年7か月)。この期限までに次の経審の結果通知を受けないと、入札参加資格に空白が生じます。

上記はあくまでモデルケースです。各手続きに遅れが生じるとスケジュール全体が後ろ倒しになるため、特に決算変更届と経営状況分析は余裕をもって進めてください。

経審の手続きで注意すべき4つのポイント

1. 有効期間の空白を絶対に作らない

経審の有効期間に空白が生じると、その間は公共工事を請け負うことができません。毎年切れ目なく受審し、前回の有効期間が切れる前に新しい結果通知を受領するスケジュールを組むことが重要です。

決算確定後すぐに手続きを始めれば、通常は有効期間内に次の結果通知を受けられます。後回しにすればするほどリスクが高まるため、決算後の早期着手を習慣化しましょう。

2. 審査基準日(決算日)を正しく認識する

経審の審査基準日は原則として事業年度の終了日(決算日)です。すべての評価は審査基準日時点の状況で判定されます。W点の加点項目も、審査基準日時点で要件を満たしている必要があります。

「決算日までに準備を完了させる」という意識で、年間スケジュールを組むことが大切です。

3. 決算期を変更した場合の取り扱い

決算期を変更した場合、変更後の最初の事業年度は12か月未満になることがあります。この場合でも、その短い事業年度を審査基準日として経審を受審する必要があります。完成工事高が少なくなるためX1に影響が出る可能性がありますが、有効期間の空白を作らないために受審は必須です。

4. 業種追加・許可換え新規があった場合

経審の受審期間中に業種追加許可換え新規(知事許可から大臣許可への変更等)を行った場合、経審の申請にも影響があります。申請先や申請業種が変わる可能性があるため、許可行政庁に事前に相談してください。

経審にかかる費用まとめ

経審の手続きにかかる費用を一覧にまとめます。

費用項目 金額の目安 備考
経営状況分析の手数料 約13,800円 分析機関により異なる
経審の審査手数料 11,000円〜 1業種11,000円+追加1業種ごと2,500円
各種証明書の取得費用 数百円〜数千円 納税証明書、履行証明書等の発行手数料
行政書士への報酬(依頼する場合) 8万円〜15万円程度 業種数・企業規模により異なる。決算変更届の作成を含む場合はさらに加算

たとえば3業種で経審を受審し、行政書士に依頼する場合の費用総額は、おおよそ12万円〜20万円程度(手数料+報酬)が目安です。

よくある質問(FAQ)

経営事項審査の申請から結果通知までどのくらいかかりますか?

経審の申請から結果通知の受領まで、通常1〜2か月かかります。ただし、都道府県によって審査期間は異なり、繁忙期(3月決算の企業が集中する夏頃)は2か月以上かかることもあります。決算変更届の提出や経営状況分析の申請を含めた全体のスケジュールとしては、決算確定から結果通知まで4〜6か月程度を見込んでおくと安心です。

経審は毎年受ける必要がありますか?

公共工事の入札に継続して参加するためには、毎年受審する必要があります。経審の有効期間は審査基準日から1年7か月ですが、前回の結果が切れる前に新しい結果を受領するには、毎年の決算後に速やかに手続きを進める必要があります。有効期間に空白ができると、その間は公共工事を請け負えません。

経審を初めて受ける場合、何から始めればいいですか?

まず建設業許可を取得し、最初の決算期を迎えることが必要です。決算が確定したら、決算変更届を提出し、経営状況分析を申請するという流れで進めます。初めての場合は手続きの全体像をつかむのが大変なため、行政書士に相談しながら進めるのがおすすめです。

経審の有効期間が切れるとどうなりますか?

経審の有効期間が切れると、公共工事を直接請け負うことができなくなります。入札参加資格も失効するため、新たな公共工事の入札に参加できません。有効期間が切れた場合は、再度経審を受審し、結果通知を受領してから入札参加資格を再申請する必要があります。空白期間を作らないよう、毎年計画的に受審することが重要です。

経審の申請は自分でもできますか?行政書士に依頼すべきですか?

自社で申請することは可能です。ただし、建設業財務諸表の作成(勘定科目の組み替え)、技術職員名簿の記載、W点の加点書類の準備など、専門知識が必要な工程が多いのが実情です。書類不備があると補正・再提出で時間をロスするため、特に初めて受審する場合や、忙しくて書類作成に時間を割けない場合は、行政書士への依頼をおすすめします。点数アップのアドバイスも受けられるメリットがあります。

まとめ|経審の流れを把握して計画的に進めよう

経営事項審査の流れは、以下の6ステップで進みます。

ステップ 手続き内容 ポイント
1 建設業許可の取得・維持を確認 有効期間と許可業種を確認
2 決算変更届を提出 決算後4か月以内。経審の前提手続き
3 経営状況分析を申請 結果通知まで2〜3週間。早めに申請
4 経審の申請書類を作成 経営状況分析の結果待ちの間に並行作業
5 許可行政庁に経審を申請 手数料は1業種11,000円〜
6 結果通知を受領 → 入札参加資格を申請 有効期間は審査基準日から1年7か月

最も重要なのは、有効期間に空白を作らないことです。決算が確定したらすぐに手続きを開始し、計画的にスケジュールを進めてください。

経審の手続きが複雑で不安」「本業が忙しくて書類作成に手が回らない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。経験豊富な行政書士が、決算変更届の作成から経審の申請、点数アップのアドバイスまで一括でサポートいたします。

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参考文献・外部リンク:
国土交通省「経営事項審査」
e-Gov法令検索「建設業法第27条の23〜第27条の29」

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