最終更新日:2026年5月10日|令和2年10月1日施行 改正建設業法(許可承継制度)/ 令和6年12月13日施行 改正建設業法(営業所技術者等)対応済み
「子会社に建設部門だけ切り出して譲渡したい」「同業者から事業の一部を買い取る話が出ているが、許可はどうなるのか」——建設業の経営者の高齢化と後継者不足が深刻化するなか、株式譲渡だけでなく事業譲渡を選択肢に検討する経営者が確実に増えています。しかし事業譲渡は株式譲渡と違い、建設業許可がそのまま自動承継されないため、設計を誤ると「事業を譲り受けたのに無許可状態で500万円以上の工事が請け負えない」という致命的な事故が起こります。
建設業の事業譲渡で許可を引き継ぐためには、令和2年10月1日施行の改正建設業法で整備された譲渡承継認可(建設業法第17条の2)を活用するのが最短ルートです。譲渡日の30日前までに認可を取得すれば、許可番号を引き継いだまま事業譲渡を実行でき、空白期間を作らずに工事を継続できます。逆にこの制度を知らずに「廃業届+新規申請」の旧スキームで進めると、申請から許可取得まで2〜4か月の空白期間が発生し、その間の工事受注に重大な支障をきたします。
この記事では、建設業の事業譲渡における許可の取り扱いについて、株式譲渡との違いから始めて、譲渡承継認可の要件・30日特例の実務フロー・必要書類・費用・落とし穴まで、現場で本当に必要な情報を行政書士の視点でまとめます。事業譲渡を検討中の経営者・後継者、買い手側企業の担当者がスムーズに許可を引き継げるよう、関連シリーズへも都度リンクしていきます。
この記事でわかること:
- 事業譲渡と株式譲渡で建設業許可の扱いがどう違うか
- 譲渡承継認可(建設業法第17条の2)の制度概要と「30日特例」の正しい意味
- 譲受側が満たすべき経管・営業所技術者等・財産的基礎などの要件
- 申請の必要書類と無料の手数料/行政書士報酬の相場
- 経審・入札参加資格・CCUSなど許可以外の引継ぎ論点
- 事業譲渡か株式譲渡かを選ぶ判断軸(建設業特有の視点)
目次
1. 事業譲渡で建設業許可は引き継げるのか — 令和2年改正建設業法の基本
結論から言えば、事業譲渡でも建設業許可を引き継ぐことは可能ですが、自動的に承継されるわけではなく、事前に「譲渡承継認可」を取得する必要があります。これは令和2年10月1日に施行された改正建設業法で整備された制度で、それ以前は事業譲渡では許可が引き継げないのが原則でした。
1-1. 令和2年10月の改正で何が変わったか
改正前は、事業譲渡で建設業を引き受ける場合、譲渡側が廃業届を出し、譲受側があらためて新規許可を取得する必要がありました。新規許可の審査には知事許可で30日、大臣許可で約120日かかるため、その間の無許可期間が発生し、500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請け負うことができませんでした。M&Aや事業譲渡の実務では、この空白期間が最大の障害となっていたのが実情です。
令和2年改正建設業法では、建設業法第17条の2(譲渡及び譲受け)と第17条の3(合併及び分割)が新設され、事前に認可を受ければ、譲渡日の翌日から譲受側が許可を引き継げる仕組みになりました。これは建設業の事業承継・M&A実務における制度的なブレークスルーであり、知らずに旧スキームで進めるのは「実はこれ、知らないと損する」最たる例と言えます。
1-2. 旧制度(廃業届+新規申請)との比較
| 比較項目 | 旧制度(〜2020年9月) | 譲渡承継認可制度(2020年10月〜) |
|---|---|---|
| 許可の引継ぎ | 不可(譲受側が新規取得) | 可能(許可番号を引き継ぎ) |
| 無許可期間 | 2〜4か月発生 | 原則ゼロ |
| 手数料 | 新規申請手数料が必要 | 無料 |
| 申請タイミング | 譲渡後に廃業+新規 | 譲渡前に事前認可 |
| 許可番号 | 新番号(許可年月日リセット) | 譲渡側の番号と年数を継続 |
特に重要なのが「許可番号と許可年数を引き継げる」点です。経営事項審査(経審)の評価では許可継続年数が加点項目となるため、譲渡側が長年積み上げた許可履歴を活かせるかどうかは、譲受側の事業価値に直結します。
2. 事業譲渡と株式譲渡の違い — 建設業許可の承継観点で比較
建設業のM&Aを検討する際、もっとも基本的な選択肢が事業譲渡と株式譲渡のどちらを選ぶかです。法務・税務上の違いは多岐にわたりますが、建設業許可の承継のしやすさという観点で見ると両者には決定的な差があります。
2-1. 株式譲渡では許可は原則そのまま継続する
株式譲渡は法人格が同一のまま株主が入れ替わる取引です。会社そのものに紐づく建設業許可はそのまま継続し、原則として変更届の提出だけで済みます。役員変更・株主変更・経管交代などが伴う場合は所定の変更届を提出しますが、許可番号も許可年数もそのまま引き継がれます。
ただし株式譲渡でも要注意の点があります。経管または営業所技術者等が譲渡側のオーナー個人に依存していた場合、株式譲渡を機にその人が退任すると、要件を欠いて許可取消(廃業)になりかねません。中小建設業のM&Aでは、株式譲渡当日に経管・営業所技術者等の後任が常勤として既に確保されているかが、最重要のデューデリジェンス項目です。
2-2. 事業譲渡は譲渡承継認可が必須
事業譲渡は事業(建設部門)を譲受側の別法人に移す取引のため、譲受側に新たに許可が必要です。譲渡承継認可制度を使えば許可を引き継げますが、譲渡日の前に認可を取得しておく必要があり、申請から認可までのリードタイムを工程に組み込まないと事業譲渡そのものが動きません。
| 論点 | 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
| 建設業許可の承継 | 原則そのまま継続 | 譲渡承継認可が必要 |
| 必要な行政手続 | 変更届 | 事前認可申請 |
| 許可番号 | 同じ番号が継続 | 譲渡側の番号を引き継ぎ |
| 簿外債務リスク | 原則引継ぎ | 切り離し可能 |
| 従業員の雇用 | そのまま継続 | 個別同意で転籍 |
| 取引契約 | そのまま継続 | 個別同意で承継 |
| 税務(譲渡側) | 株主の譲渡所得課税 | 法人課税+消費税 |
許可承継だけを見れば株式譲渡が圧倒的に楽ですが、簿外債務(過去の工事クレーム、未払残業代、税務リスク)を切り離したい場合や、事業の一部だけを譲渡したい場合は事業譲渡が選ばれます。スキーム選択は税務・法務・許可の三方向から検討する必要があり、許可だけを軸に決めるのは危険です。詳細は「建設業のM&Aスキーム比較」(kensetsugyo-ma-scheme)で解説しています。
3. 譲渡承継認可の要件 — 譲受側が満たすべき5要件
譲渡承継認可は、譲受側が新規申請と同等の許可要件を満たしていることが大前提です。「認可だから新規より要件が緩い」という誤解がありますが、要件水準は新規申請とまったく同じです。
3-1. 経営業務の管理責任者(経管)
譲受側に常勤の経管(または経営業務を補佐する者を含む経営体制)が必要です。建設業に関し5年以上の経営経験を有する役員等が、譲受側の常勤役員として在籍している必要があります。譲渡側のオーナーが譲受側に役員として転籍するスキームを取れば、経管要件はクリアしやすくなります。経管要件の詳細は「建設業許可 経営業務の管理責任者の要件」(keiei-gyoumu-kanri-sekininsha)を参照してください。
3-2. 営業所技術者等(旧:専任技術者)
令和6年12月13日施行の改正建設業法により、従来「専任技術者」と呼ばれていた職位は営業所技術者等に名称変更されました。譲受側の各営業所には、申請業種に対応する資格者または10年以上の実務経験者を常勤で配置する必要があります。
事業譲渡では、譲渡側で営業所技術者等を務めていた技術者が譲受側に転籍してくれるかが最大のポイントです。転籍が確定していない段階で譲渡承継認可申請を進めると、認可後に「営業所技術者等の常勤性が確認できない」として要件欠落になりかねません。営業所技術者等の要件は「営業所技術者等の要件」(senninn-gijutsusha-eigyosho-gijutsusha-youken)で詳述しています。
3-3. 財産的基礎(500万円以上)
一般建設業では譲受側の自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(残高証明等)が必要です。特定建設業では資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上などのより厳しい要件が課されます。譲受側を新設する事業譲渡スキームでは、設立直後の資本構成が要件を満たすよう、譲渡対価の設計と連動させる必要があります。詳細は「建設業許可の財産的基礎」(kensetsugyokyoka-zaisanteki-kiso)を参照してください。
3-4. 欠格要件への該当なし
譲受側の役員・株主・使用人が建設業法第8条の欠格要件に該当しないことが必要です。過去の許可取消歴・刑事処分歴・暴力団排除条例違反などが該当します。事業譲渡では譲渡側のオーナーがそのまま譲受側に役員として転籍するケースが多いため、過去の処分歴が再審査の対象になる点に注意が必要です。
3-5. 誠実性
役員・使用人が請負契約に関し不正または不誠実な行為をするおそれがないことが要件です。実務上は欠格要件と重複するため、欠格要件をクリアできれば誠実性も満たせるケースが大半です。
4. 30日特例(事前認可制)の実務フロー
譲渡承継認可で最重要なのが「30日特例」と呼ばれる事前認可ルールです。ただし「30日特例」という呼称はやや誤解を招くため、本来の意味を正しく理解することが重要です。
4-1. 30日とは何の30日か(よくある誤解)
譲渡承継認可における「30日」は、譲渡日の30日前までに認可申請を完了していることが期待される運用上の目安です。一方、相続承継認可(建設業法第17条の3)は「被相続人の死亡から30日以内に申請」する事後認可制で、同じ「30日」でもまったく別物です。
| 区分 | 「30日」の意味 | 事前認可/事後認可 |
|---|---|---|
| 譲渡・合併・分割(17条の2) | 譲渡日の前に認可取得が必要 | 事前認可制 |
| 相続承継(17条の3) | 死亡日から30日以内に申請 | 事後認可制(30日以内) |
事業譲渡では、認可前に事業譲渡を実行しても許可は引き継げないため、事業譲渡契約と認可申請のスケジュールを逆算で設計する必要があります。相続承継については「建設業許可の相続承継」(kensetsugyokyoka-souzoku-shoukei)で詳しく解説しています。
4-2. 申請から認可までのタイムライン
標準的な処理期間は知事許可で30〜60日、大臣許可で90日以上を見込みます。書類準備期間を加えると、事業譲渡契約の検討開始から認可取得まで3〜6か月を確保しておくのが安全です。M&A実務では、事業譲渡契約書の調印日を仮置きしたうえで、認可取得を停止条件として組み込むのが一般的です。
| フェーズ | 期間目安 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 事前相談 | 2〜4週間 | 譲受側の要件充足性チェック、必要書類リスト確定 |
| 書類収集・作成 | 1〜2か月 | 営業所技術者等の経歴証明、財務書類、登記事項等 |
| 認可申請 | 申請日 | 譲渡予定日の60〜90日前を目標に提出 |
| 審査 | 30〜120日 | 知事許可30〜60日、大臣許可90日以上 |
| 認可 | 譲渡日の前日まで | 認可日の翌日に譲渡実行 |
4-3. 認可取得前に事業譲渡を実行できないルール
譲渡承継認可は事前認可制のため、認可日が確定するまで事業譲渡そのものを実行できません。フライング譲渡をすると譲受側が無許可状態となり、譲渡日以降の500万円以上の工事は無許可営業として建設業法違反になります。違反した場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金、加えて建設業許可の取消・営業停止などの行政処分の対象です。詳細は「建設業許可の罰則」(kensetsugyokyoka-batusoku)で確認できます。
5. 必要書類と費用
5-1. 譲渡承継認可申請の必要書類一覧
譲渡承継認可の必要書類は、新規申請の必要書類に加えて、譲渡を証明する書類が追加で求められます。実務上の主要書類は以下のとおりです。
- 認可申請書(建設業法施行規則別記様式第22号の5等)
- 事業譲渡契約書の写し(譲渡日・譲渡対象事業の範囲が明記されたもの)
- 譲渡側・譲受側の登記事項証明書
- 譲受側の経管を証明する書類(経歴書、登記事項証明書、健康保険被保険者証等)
- 営業所技術者等を証明する書類(資格証、実務経験証明書、常勤性証明書)
- 財産的基礎を証明する書類(直前期決算書または500万円以上の残高証明)
- 定款・株主総会議事録(事業譲渡を承認する決議)
- 欠格要件に該当しない旨の誓約書(役員等全員)
- 営業所の使用権原を証明する書類(賃貸借契約書等)
- 社会保険加入を証明する書類
事業譲渡契約書では「事業譲渡の効力発生日は本認可を取得することを停止条件とする」旨の文言を入れておくと、認可不調時のリスクヘッジになります。
5-2. 申請手数料・行政書士報酬の相場
| 費目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 申請手数料(行政庁) | 無料 | 新規申請(知事9万円・大臣15万円)と比較して大幅に有利 |
| 行政書士報酬 | 20万〜50万円 | 業種数・要件複雑性により変動 |
| 登記関連費用 | 3万〜10万円 | 譲受側の定款変更・役員変更登記等 |
| 合計 | 23万〜60万円 | 新規申請より手数料は安いが、要件確認の難度は新規以上 |
譲渡承継認可は手数料こそ無料ですが、譲渡側・譲受側双方の書類を揃え、事業譲渡契約のスケジュールに認可取得を組み込むという設計力が問われます。行政書士報酬は新規申請より高めに設定されるのが一般的で、これは「業務範囲が広い」「タイミング設計のリスクが大きい」「経審・入札参加資格との連動が必要」という3つの理由によります。「建設業許可の行政書士費用を節約する方法」(kensetsugyokyoka-gyoseishoshi-setsuyaku)も合わせて参照してください。
6. 事業譲渡で起こりやすい4つの落とし穴
6-1. 営業所技術者等の確保漏れ
事業譲渡で最大の事故が起きるポイントです。譲渡側で営業所技術者等を務めていた技術者が、事業譲渡を機に退職してしまうケースが少なくありません。譲渡承継認可は譲受側で営業所技術者等が常勤確保されていることを前提とするため、転籍同意書を譲渡契約と同時に取り付けることが必須です。営業所技術者等を譲受側で新規に採用する場合は、認可申請の3か月前には常勤実態を作っておく必要があります。
6-2. 経審・入札参加資格の引継ぎは別手続き
建設業許可は譲渡承継認可で引き継げますが、経営事項審査(経審)の結果や公共工事の入札参加資格は、別途手続きが必要です。これは事業譲渡実務でもっとも見落とされやすい論点で、「許可は引き継いだのに公共工事に入札できない」という空白期間が発生します。経審の引継ぎは「事業承継時の経審の引継ぎ」(jigyou-shoukei-keikan-sengi-hikitsugi)で解説しています。
6-3. CCUSの事業者登録の引継ぎ
建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者ID・現場ID・登録技能者情報も、事業譲渡では自動的には引き継がれません。譲渡側のCCUS事業者IDを譲受側に統合するか、譲受側で新規登録するかをあらかじめ決定し、現場運用の継続性を担保する必要があります。詳細は「CCUSの事業者登録」(ccus-jigyousya-touroku)を参照してください。
6-4. 譲渡日と認可日のズレで生じる空白期間
認可は受けたものの、事業譲渡契約の調印が遅れ、認可日と譲渡実行日に大きなズレが生じるケースがあります。認可は「譲渡日から効力を生じる」前提のため、譲渡日が確定しないと認可の効果も浮動的です。事業譲渡契約のクロージング条件を明確にし、認可取得後速やかに譲渡を実行する段取りが重要です。
7. 事業譲渡と株式譲渡を選ぶ判断軸 — 建設業特有の視点
最後に、建設業のM&Aでスキームを選ぶ際の判断軸をまとめます。建設業界はIT・デジタル化が他業種と比べて遅れているうえ、経営者の高齢化と後継者不在が同時進行しており、事業承継の選択肢としてM&Aが急速に普及しています。中小企業庁の「事業承継ガイドライン」でも、建設業は親族外承継・第三者承継の比率が高い業種として位置づけられています。
| 判断軸 | 事業譲渡が向くケース | 株式譲渡が向くケース |
|---|---|---|
| 事業範囲 | 建設部門だけ切り出したい | 会社全体を譲渡したい |
| 簿外債務リスク | 切り離したい(譲受側) | 引継ぎを許容できる |
| 許可承継のスピード | 3〜6か月の準備期間OK | クロージングまで早く済ませたい |
| 譲渡側の節税 | 会社に資産を残したい | 株主個人に対価を入れたい |
| 取引契約・従業員 | 必要なものだけ承継 | 全部そのまま継続したい |
| 許可番号・経審年数 | 引き継げる(譲渡側の番号) | そのまま継続 |
「許可承継のしやすさ」だけで決めると本質を見誤ります。許可は手段、本来の目的は事業の永続化と従業員の雇用継続であり、税務・法務・許可の3方向から総合判断する必要があります。事業承継の全体像は「建設業の事業承継ロードマップ」(kensetsugyo-jigyou-shoukei-roadmap)で解説しています。資金面では「事業承継・引継ぎ補助金」(jigyou-shoukei-hikitsugi-hojokin)の活用も検討対象です。
FAQ よくある質問
Q1. 事業譲渡承継認可と相続承継認可は何が違いますか?
譲渡承継認可は事前認可制(譲渡日の前に認可取得が必要)、相続承継認可は事後認可制(被相続人死亡から30日以内に申請)です。両者は建設業法第17条の2と第17条の3で別建てに規定されており、申請タイミング・必要書類・想定リスクが異なります。詳細は承継認可一般(kensetsugyokyoka-shoukei-ninka)で総覧的に解説しています。
Q2. 譲渡承継認可が不認可になるケースはありますか?
あります。譲受側の経管・営業所技術者等が確保できていない、財産的基礎を満たさない、欠格要件に該当する役員がいる、などのケースで不認可となります。実務では事前相談で要件確認を行うため、純粋な不認可は少数ですが、補正期間中に譲渡実行日が来てしまうのが最大の事故パターンです。事業譲渡契約のスケジュールに最低60日のバッファを確保することを推奨します。
Q3. 譲渡側に求められる手続きは何ですか?
譲渡承継認可は譲受側が申請主体ですが、譲渡側は株主総会または取締役会の事業譲渡決議、譲渡側の登記事項証明書・決算書類の提供、営業所技術者等の転籍同意、取引先への通知などが必要です。譲渡側が建設業許可を全部譲渡した後は、残余事業に許可業種が含まれない場合は廃業届の提出も必要となるケースがあります。
Q4. 譲渡承継認可と業種追加を同時に申請できますか?
原則として別申請です。まず譲渡承継認可で譲受側に許可を引き継ぎ、その後に業種追加申請を行う流れが標準的です。ただし行政庁によっては併願審査に応じるケースもあるため、事前相談で確認することを推奨します。業種追加の詳細は建設業許可の業種追加(kensetsugyokyoka-gyoshu-tsuika)で解説しています。
Q5. 後継者不在で第三者への事業譲渡を検討していますが、何から始めるべきですか?
まず譲渡側の許可状況・経審スコア・営業所技術者等の継続性を棚卸しし、譲渡可能な事業の範囲を明確化することから始めます。同時に親族内承継の可能性を再検討し、第三者譲渡が最適解かを判断します。建設業の後継者問題の全体像は建設業の後継者問題(kensetsugyo-koukeisha-mondai)で整理しており、選択肢を網羅的に把握できます。
まとめ — 事業譲渡の許可承継は「設計」が9割
建設業の事業譲渡で許可を引き継ぐ最短ルートは、令和2年改正建設業法で整備された譲渡承継認可制度の活用です。手数料は無料で、許可番号・許可年数も引き継げるため、旧制度(廃業届+新規申請)と比べて圧倒的に有利です。
ただし事前認可制であること、譲受側の要件水準は新規申請と同等であること、経審・入札参加資格・CCUSは別途承継が必要であることの3点を押さえないと、認可は取れたのに事業継続に支障が出るという本末転倒な結果になりかねません。事業譲渡の許可承継は「申請」より「設計」が9割です。事業譲渡契約のスケジュール、譲受側の要件充足、許可・経審・入札・CCUSの並行進行の4要素を統合的に設計する力が問われます。
建設業界はIT化と後継者不在が同時進行する局面に入っており、事業譲渡を活用した事業承継は今後さらに増加します。「知らないと損する」制度の代表格が譲渡承継認可です。検討段階から行政書士に相談し、契約スケジュールに認可取得を織り込むことで、空白期間ゼロの事業譲渡が実現できます。
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