「建設業許可を取りたいが、何から始めればいいか分からない」——建設業許可の取り方について、こうしたご相談を多くの事業者様からいただいています。建設業許可の申請は、ポイントを押さえれば決して難しいものではありません。

建設業許可とは、建設業法第3条に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要な許可です。具体的には、500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負う場合、建設業許可が必要になります。

この記事では、建設業許可の取り方について、申請の流れ・許可要件・必要書類・費用・取得期間まで、初めて申請する方が全体像を把握できるよう包括的に解説します。各項目の詳細は専門記事へのリンクも掲載していますので、サイト内を回遊しながら理解を深めてください。

※令和6年(2024年)12月13日施行の改正建設業法により、「専任技術者」の法律上の名称は「営業所技術者等」に変更されました。本記事では、検索される方のわかりやすさを考慮し、旧名称も併記しています。

この記事でわかること:

  • 建設業許可の申請に必要な5つの要件(建設業法第7条・第8条・第15条)
  • 申請の流れと具体的な手続きステップ
  • 必要書類の一覧と準備のポイント
  • 費用(申請手数料9万円)と取得期間(30〜120日)の目安
  • 初めて許可を取得した事業者の実例

建設業許可とは?許可が必要になるケース

建設業許可は、建設業法第3条に基づく許可制度です。建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護することを目的としています。詳細は国土交通省「建設業の許可とは」をご確認ください。

以下の金額を超える工事を請け負う場合、建設業許可が必要です。

工事の種類 許可が必要になる金額
建築一式工事 1,500万円以上(または延べ面積150平方メートル以上の木造住宅)
その他の建設工事 500万円以上

これらの金額未満の工事は「軽微な建設工事」として許可なしで請け負えますが、元請会社から許可の取得を求められるケースが増えており、事業拡大を目指す事業者にとって建設業許可の取得は不可欠です。

一般建設業許可と特定建設業許可の違い

建設業許可には「一般建設業許可」「特定建設業許可」の2種類があります(建設業法第3条第1項)。

許可の種類 必要となるケース
一般建設業許可 建設工事を請け負う場合(下記の特定に該当しない場合)
特定建設業許可 元請として下請代金の合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)の下請契約を締結する場合

初めて許可を取得する事業者の多くは一般建設業許可を申請します。特定建設業許可については特定建設業許可の詳細をご確認ください。

建設業許可の取り方|5つの許可要件

建設業許可を取得するには、建設業法第7条(一般建設業)および第15条(特定建設業)に定められた5つの要件をすべて満たす必要があります。各要件の詳細は建設業許可の要件を徹底解説もあわせてご参照ください。

要件1:経営業務の管理責任者がいること

建設業の経営業務を総合的に管理する責任者(常勤役員等)が必要です(建設業法第7条第1号)。主な要件は以下のとおりです。

  • 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
  • 常勤役員等+補佐者(財務管理・労務管理・業務運営の各分野で5年以上の経験者)の組織体制でも可

令和2年の法改正により、経験は「建設業全般」で認められるようになり、以前より要件が緩和されています。個人事業主の建設業許可取得ガイドも参考にしてください。

要件2:営業所技術者等(旧:専任技術者)がいること

建設業許可の取得で最大のハードルとなるのが、営業所技術者等の確保です(建設業法第7条第2号・第15条第2号)。営業所ごとに、許可を受けようとする業種に対応した技術者を常勤で配置しなければなりません。

許可区分 営業所技術者等の要件
一般建設業 ・該当業種の国家資格を保有
・該当業種の実務経験10年以上
・指定学科卒業+実務経験(大卒3年、高卒5年)
特定建設業 ・該当業種の1級国家資格を保有
・一般の要件+指導監督的実務経験2年以上
・国土交通大臣特別認定

令和6年12月の改正建設業法により、一定の要件を満たせば営業所技術者等が1億円未満(建築一式は2億円未満)の工事現場の監理技術者等を兼務できるようになりました。

要件3:誠実性があること

法人・役員等・支店長等(個人の場合は本人・支配人)が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが求められます(建設業法第7条第3号)。通常の事業者であれば問題になることは少ない要件です。

要件4:財産的基礎があること

建設業を営むにあたって十分な財産的基礎が必要です(建設業法第7条第4号・第15条第3号)。

許可区分 財産的基礎の要件
一般建設業 以下のいずれかを満たすこと
・自己資本が500万円以上
・500万円以上の資金調達能力がある(残高証明書で証明)
特定建設業 以下のすべてを満たすこと
・欠損の額が資本金の20%を超えていない
・流動比率が75%以上
・資本金が2,000万円以上
・自己資本が4,000万円以上

費用面の詳細は建設業許可の費用の詳細をご覧ください。

要件5:欠格要件に該当しないこと

欠格要件(法律上、許可を受けることができない事由)に該当しないことが必要です(建設業法第8条)。主な欠格要件は以下のとおりです。

  • 破産者で復権を得ない者
  • 建設業許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行終了から5年を経過しない者
  • 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

建設業許可の申請の流れ|5つのステップ

建設業許可の申請方法は、以下の5ステップで進めます。事前準備をしっかり行うことで、スムーズに許可取得まで進められます。

ステップ1:許可要件の確認

まず、上記5つの許可要件を満たしているかを確認します。特に営業所技術者等(旧:専任技術者)となれる人材がいるかどうかが最重要です。社内の人材の資格・実務経験を棚卸ししましょう。

ステップ2:必要書類の準備

建設業許可の必要書類は多岐にわたります。主な書類は以下のとおりです。

書類名 備考
建設業許可申請書(様式第一号) 申請区分「新規」を選択
工事経歴書(様式第二号) 直前の事業年度の工事実績
直前3年の各事業年度の工事施工金額 様式第三号
経営業務の管理責任者証明書 常勤役員等の経験を証明
営業所技術者等証明書(様式第八号) 旧:専任技術者証明書
資格証明書の写し/実務経験証明書 技術者の資格・経験を証明
財務諸表(法人)/収支計算書(個人) 直前の決算期のもの
登記事項証明書(法人の場合) 発行から3か月以内
納税証明書 法人税または所得税の納税証明書
定款の写し(法人の場合) 事業目的に建設業の記載があること
身分証明書・登記されていないことの証明書 役員全員分(欠格要件の確認)
残高証明書(500万円以上) 自己資本500万円未満の場合

※都道府県により求められる書類が異なる場合があります。埼玉県の建設業許可申請ガイドなど、各地域の情報もご確認ください。

ステップ3:申請書の作成・提出

書類が揃ったら、許可行政庁の窓口に申請書を提出します。知事許可は都道府県の建設業許可担当窓口、大臣許可は地方整備局が申請先です。近年は一部の自治体で電子申請(JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)にも対応しています。

ステップ4:審査

申請後、行政庁による審査が行われます。建設業許可の取得期間の目安は以下のとおりです。

許可の種類 審査期間の目安
知事許可 約30日〜45日
大臣許可 約120日

書類の準備期間を含めると、トータルで2〜4か月程度を見込んでおきましょう。書類に不備があると補正が求められ、さらに期間が延びます。

ステップ5:許可通知書の受領

審査を通過すると許可通知書が郵送されます。許可通知書は再発行されませんので、大切に保管してください。許可の有効期間は5年間で、期間満了の30日前までに更新手続きが必要です。更新手続きの詳細は建設業許可の更新手続きをご覧ください。

建設業許可の費用

建設業許可の申請にかかる費用は以下のとおりです。

費用項目 知事許可 大臣許可
申請手数料(新規) 9万円 15万円
更新手数料 5万円 5万円
業種追加手数料 5万円 5万円

上記は行政庁に納める手数料のみの金額です。このほかに、登記事項証明書の取得費用(600円)、身分証明書の取得費用(300円程度)、残高証明書の発行手数料などの実費がかかります。行政書士に申請代行を依頼する場合は、別途報酬が発生します。費用の詳しい内訳は建設業許可の費用の詳細をご確認ください。

【実例】内装工事業の個人事業主が建設業許可を取得したケース

ここでは、実際に建設業許可を取得した事業者の事例をご紹介します。

Aさん(個人事業主・内装仕上工事業)は、独立して8年目。これまで軽微な工事(500万円未満)のみを請け負っていましたが、取引先の元請会社から「今後は建設業許可がないと発注できない」と通告を受け、許可取得を決意しました。

課題と対応:

  • 経営業務の管理責任者:個人事業主として8年の経営経験があり、確定申告書の控えで5年以上の経験を証明 → 要件クリア
  • 営業所技術者等:2級建築施工管理技士の資格を保有しており、内装仕上工事業の技術者要件を満たす → 要件クリア
  • 財産的基礎:預金残高が500万円に満たなかったため、一時的に資金を集めて500万円以上の残高証明書を取得 → 要件クリア

結果:書類準備に約3週間、申請から許可通知書の受領まで約35日。トータル約2か月で埼玉県知事許可(一般・内装仕上工事業)を取得できました。費用は申請手数料9万円に加え、各種証明書の取得費用として約5,000円でした。

行政書士からのポイント:Aさんのケースでは、確定申告書の控えを5年分すべて保管していたため、経営業務管理責任者の経験証明がスムーズに進みました。個人事業主の方は、毎年の確定申告書の控えを必ず保管しておくことをお勧めします。

建設業許可の申請でよくある失敗と対策

建設業許可の申請では、事前の準備不足により申請が戻されるケースが少なくありません。行政書士の実務経験に基づき、特に多い失敗パターンと対策をご紹介します。

失敗1:実務経験の証明書類が不足する

営業所技術者等や経営業務管理責任者の経験を証明するには、確定申告書の控え・工事契約書・注文書・請求書などの書類が必要です。しかし、過去の書類を保管しておらず、申請が受理されないケースが多発しています。

対策:申請を検討し始めたら、まず証明に使える資料を棚卸ししましょう。確定申告書の控え(税務署の受付印があるもの)、工事の契約書・注文書・請書は最低5年分以上を確認してください。不足がある場合は、税務署で所得証明書を取得するなどの代替手段も検討できます。

失敗2:営業所の要件を見落とす

建設業許可の営業所として認められるには、独立した事務スペース・固定電話・事務机・書庫など、一定の設備要件を満たす必要があります。自宅兼事務所の場合、居住スペースと事務スペースが明確に区分されていないと、営業所として認められないことがあります。

対策:自宅兼事務所で申請する場合は、事務専用の部屋を確保し、間取り図で居住部分と事務部分を明確に区分けしてください。玄関から事務所に直接入れる動線があることが望ましいです。事前に管轄の行政庁に相談することをお勧めします。

失敗3:社会保険の未加入

令和2年(2020年)10月の建設業法改正により、適切な社会保険への加入が建設業許可の要件として明確化されました。健康保険・厚生年金保険・雇用保険のうち、加入義務があるものに未加入の場合、申請が受理されません。

対策:法人は原則として健康保険・厚生年金保険への加入が必須です。個人事業主でも従業員が5人以上いる場合は加入義務があります。申請前に、自社の社会保険加入状況を必ず確認し、未加入の場合は速やかに加入手続きを行ってください。

許可取得後に必要な手続き

建設業許可を取得した後も、以下の手続きが義務付けられています。

  • 決算変更届(事業年度終了届):毎事業年度終了後4か月以内に提出が必要です。詳しくは決算変更届(事業年度終了届)の詳細をご確認ください。
  • 許可の更新:許可の有効期間は5年間。期間満了の30日前までに更新手続きが必要です。
  • 変更届:役員の変更、営業所の移転、営業所技術者等の変更など、届出事項に変更があった場合は所定の期間内に届出が必要です。
  • 業種追加:新たに別の業種の許可が必要になった場合は、建設業許可の業種追加を申請します。

また、公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査(経審)(建設業者の経営状況や技術力等を客観的に審査する制度)の受審が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 建設業許可の取得にはどのくらいの期間がかかりますか?

知事許可の場合、申請から許可通知書の受領まで約30〜45日が目安です。大臣許可は約120日かかります。書類の準備期間を含めると、トータルで2〜4か月程度を見込んでおきましょう。

Q. 建設業許可は個人事業主でも取得できますか?

はい、個人事業主でも建設業許可を取得できます。法人と同じ5つの要件を満たせば許可が下ります。詳しくは個人事業主の建設業許可取得ガイドをご覧ください。

Q. 建設業許可の申請手数料はいくらですか?

新規申請の手数料は、知事許可が9万円、大臣許可が15万円です。更新や業種追加の場合はそれぞれ5万円です。行政庁に納める手数料のほか、各種証明書の取得費用が別途かかります。

Q. 営業所技術者等(専任技術者)がいない場合はどうすればよいですか?

営業所技術者等の配置は必須要件です。自社に該当する資格者・経験者がいない場合は、資格を持つ人材の新規採用または既存社員の資格取得支援を検討してください。採用の場合は、常勤性の確認(社会保険の加入等)が求められます。

Q. 電気工事業の建設業許可を取得するには特別な手続きが必要ですか?

電気工事業は建設業許可に加えて、電気工事業法に基づく届出・登録が必要な場合があります。詳しくは電気工事業の建設業許可をご確認ください。

まとめ:建設業許可の取り方は「要件確認」から始めよう

建設業許可の取り方のポイントを整理します。

  • 500万円以上の工事を請け負うには建設業許可が必要(建設業法第3条)
  • 許可要件は5つ:経営業務管理責任者・営業所技術者等・誠実性・財産的基礎・欠格要件(建設業法第7条・第8条・第15条)
  • 最大のハードルは営業所技術者等(旧:専任技術者)の確保
  • 申請手数料は知事許可9万円、大臣許可15万円
  • 取得期間は知事許可で約30〜45日、大臣許可で約120日
  • 許可取得後も決算変更届の提出や5年ごとの更新が必要

建設業許可の申請は、要件の確認から書類の準備まで専門的な知識が求められます。特に営業所技術者等の資格・実務経験の確認は判断が難しいケースも多く、申請先の行政庁によって運用が異なる場合もあります。

「自社で要件を満たせるか分からない」「手続きに不安がある」という方は、建設業許可の専門家である行政書士にご相談ください。要件の確認から申請書類の作成・提出まで、トータルでサポートいたします。

まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

※本記事は2026年4月時点の法令に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な申請手続きについては、管轄の行政庁または行政書士等の専門家にご相談ください。

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