最終更新日:2026年5月27日|中小企業庁・事業承継引継ぎ支援センターの最新公表情報および2026年5月時点の専門家報酬相場に基づく

「建設業の事業承継を考え始めたが、税理士・行政書士・M&A仲介のどこに相談すればいいのか分からない」——後継者問題に直面した建設業の経営者から、最も多く寄せられるのがこの相談先選びの悩みです。

結論から言うと、建設業の事業承継はまず行政書士に「建設業許可を切らさずに承継できるか」を確認するのが起点です。許可承継・経審の継続は建設業に特有の最重要論点で、ここを外すと許可が一度切れて入札参加資格まで失います。そのうえで、株価・税務は税理士、買い手探しはM&A仲介、無料の入口相談は事業承継・引継ぎ支援センターと役割を分けるのが、後戻りのない進め方です。

この記事では、建設業の事業承継の相談先を4類型に整理し、それぞれの役割分担・費用相場・選び方を、地元で許可と承継を扱う行政書士の視点で解説します。「誰に・何を・いくらで・どの順番で」相談すれば損をしないかが判断できる構成です。

この記事でわかること:

  • なぜ建設業の事業承継は「相談先選び」でつまずくのか(許可・経審という特有論点)
  • 相談先4類型(行政書士・税理士・M&A仲介・公的支援)の役割分担
  • 相談先別の費用相場(初回相談〜実務まで)
  • 建設業で「最初に」相談すべき順番と理由
  • 相談先選びでよくある3つの失敗

なぜ建設業の事業承継は「相談先選び」でつまずくのか

建設業の事業承継が一般的な中小企業の承継と決定的に違うのは、「建設業許可」と「経営事項審査(経審)」という行政上の資格を、途切れさせずに引き継がなければならない点です。株式や資産を承継しても、許可や経審が切れてしまえば、公共工事の入札参加資格を失い、元請からの受注も止まります。

特に注意が必要なのが、事業譲渡・合併・会社分割・相続によって許可を引き継ぐ場合の承継認可です。建設業法第17条の2・第17条の3に基づき、原則として譲渡等の効力発生日の30日前までに認可申請を行わないと、許可に空白期間が生じます。この30日前ルールを知らずにM&Aや相続の話を先に進めてしまい、許可承継の段取りが間に合わないケースが後を絶ちません。詳しくは建設業許可の事業承継認可とは?30日前申請が必須の譲渡・合併・分割・相続を解説で整理しています。

つまり、建設業の事業承継では「株価や税金の話(税理士の領域)」「買い手探しの話(M&A仲介の領域)」と並行して、「許可・経審を切らさない手続き(行政書士の領域)」を必ず動かす必要があります。相談先を一つに絞れないことこそが、建設業の事業承継の本質的な難しさです。

建設業の事業承継の相談先4類型と役割分担

建設業の事業承継で相談できる窓口は、大きく4つに分かれます。それぞれ独占業務・得意領域・費用感が異なるため、自社の課題に合わせた使い分けが重要です。

相談先 主な役割(独占・得意領域) 建設業での出番
行政書士 建設業許可の承継認可・経審の継続・経管/専技の引き継ぎ手続き 許可と入札資格を切らさない(建設業の必須論点)
税理士 自社株評価・贈与/相続の税務・事業承継税制の特例適用 株価が高い・税負担が重い同族会社の承継
M&A仲介会社・FA 第三者(買い手)探し・条件交渉・基本合意の取りまとめ 親族・社内に後継者がいない第三者承継
公的支援機関 無料の入口相談・後継者マッチング・専門家紹介 「何から始めればいいか分からない」段階

1. 行政書士|許可・経審を切らさない手続きの専門家

行政書士は建設業許可・経営事項審査・各種認可申請を独占業務とする国家資格者です。建設業の事業承継では、承継認可申請(譲渡・合併・分割・相続)、経審スコアの継続、経営業務管理責任者・専任技術者(営業所技術者等)の後任確保といった、許可と入札資格に直結する手続きを担います。これらは建設業に固有の論点で、税理士やM&A仲介の標準業務には含まれません。経管・専技の引き継ぎ実務は事業承継で経営業務管理責任者・専任技術者を引き継ぐには?認可要件と落とし穴を参照してください。

2. 税理士|自社株評価と税務の専門家

税理士は税務の独占資格者で、自社株評価・株式贈与や相続の税負担シミュレーション・事業承継税制(特例承継計画)の適用を担います。建設業は内部留保が厚く株価が高くなりがちで、後継者の買取資金・贈与税が承継の壁になることが多い業種です。株価対策は事業承継で株価が高すぎる問題|株式評価3方式と買取資金リスク、税制は建設業者のための事業承継税制 完全ガイドで詳しく解説しています。

3. M&A仲介会社・FA|買い手探しと交渉の専門家

親族や社内に後継者がいない場合、第三者への売却(M&A)が選択肢になります。M&A仲介会社やFA(フィナンシャル・アドバイザー)は、買い手候補の探索・企業価値評価・条件交渉・基本合意の取りまとめを担います。ただし建設業のM&Aでは、買い手は建設業許可・経審の評点・主要技術者の残留可否を重視します。スキームの違いと許可承継への影響は建設業のM&A完全ガイド|株式譲渡・事業譲渡・会社分割の違いで整理しています。

4. 公的支援機関|無料で使える入口窓口

事業承継・引継ぎ支援センター中小企業庁が各都道府県に設置する公的機関で、親族内承継・第三者承継双方の無料相談と後継者マッチングに対応します(運営情報は独立行政法人中小企業基盤整備機構のポータルを参照)。よろず支援拠点・商工会議所・取引金融機関も入口相談に使えます。いずれも許可承継申請の代行は行わないため、方向性を整理したうえで行政書士・税理士に橋渡しする使い方が現実的です。

建設業の事業承継の相談先別・費用相場

相談先ごとの費用の目安は以下のとおりです。初回相談は多くが無料〜1万円程度で、実務に入ってから費用が発生します。※金額は2026年5月時点の一般的な相場であり、案件規模・地域・事務所によって異なります。正確な費用は各相談先の見積でご確認ください。

相談先 初回相談 実務の費用目安
行政書士(承継認可・経審) 無料〜1万円 承継認可申請の代行10〜30万円
税理士(株価評価・承継税制) 無料〜1万円 自社株評価・税制対応30〜100万円超
M&A仲介・FA 無料 成功報酬(レーマン方式、譲渡額の5%前後・最低手数料500万円前後の設定が多い)
事業承継・引継ぎ支援センター等 無料 相談・マッチングは原則無料

なお、第三者承継(M&A含む)にかかる専門家費用の一部は事業承継・引継ぎ補助金の対象になり得ます。補助金の活用は建設業の事業承継・引継ぎ補助金|申請の流れ・対象経費・活用ポイントで解説しています。

建設業で「最初に」相談すべきはどこか

相談先が複数に分かれる以上、「どの順番で当たるか」が費用と時間を大きく左右します。当事務所は、建設業の事業承継では許可・経審を起点に逆算する進め方を推奨しています。

  1. 行政書士で「許可を切らさず承継できるか」を確認(承継認可の可否・30日前ルール・経管/専技の後任の見通し)
  2. 承継の型を決める(親族内・親族外・M&A・廃業)。判断軸は後継者問題と事業承継の選択肢、3類型の比較は親族内・親族外・MBOの比較を参照
  3. 税理士で株価・税務を固める(自社株評価・贈与/相続・承継税制)
  4. 第三者承継ならM&A仲介で買い手を探す(許可・経審の見立てを携えて交渉に臨む)

建設業界は人手不足とIT化の遅れが同時に進む業界であり、事業承継は「気力で乗り切る」ものではなく「許可・経審・税務・後継者の段取りを仕組みとして組む」ものです。承継は5年〜10年がかりの設計になることも多く、早く起点を押さえた経営者ほど選択肢が広く残ります。年次の進め方は建設業の事業承継 完全ロードマップが参考になります。

相談先選びでよくある3つの失敗

失敗1:M&A仲介に先に行き、許可承継を見落とす

売却ありきでM&A仲介に直行した結果、建設業許可の承継認可や経審スコアの継続が後回しになり、基本合意後に「許可が引き継げない」「経審が一度ゼロに戻る」と判明するケースです。買い手にとって許可・経審は買収価値そのものなので、先に行政書士で許可・経審の引き継ぎ可否を整理しておくと交渉が崩れません。

失敗2:税理士だけに任せ、許可・入札資格の論点が抜ける

顧問税理士に株価・税務を相談して安心してしまい、承継認可の30日前ルールや経管・専技の後任確保という許可側の論点が抜け落ちるパターンです。税務と許可は別領域のため、許可・経審は行政書士に並行で確認する体制が必要です。

失敗3:「無料相談」だけで止まり、実務に着手しないまま時間が過ぎる

公的機関の無料相談で方向性は見えたものの、実際の手続きに踏み出せないまま数年が過ぎ、後継者の高齢化や経営者の体調変化で選択肢が狭まるケースです。無料相談は「入口」であり、期限を切って実務担当(行政書士・税理士)に橋渡しすることが肝心です。廃業も含めた出口の比較は建設業の出口戦略|廃業・事業承継・M&Aの選び方で解説しています。

建設業の事業承継の相談に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 建設業の事業承継は最初に誰に相談すべきですか?

まず建設業許可の承継が可能かを行政書士に確認するのが起点です。事業承継・合併・事業譲渡・相続では承継認可の事前申請(原則として効力発生日の30日前まで)が必要で、ここを外すと許可が一度切れて経審スコアや入札参加資格を失うためです。許可の見通しを立ててから、税理士・M&A仲介・公的機関へ広げます。

Q2. 建設業の事業承継で行政書士と税理士はどう使い分けますか?

行政書士は建設業許可の承継認可・経審の継続・経管/専技の引き継ぎを担い、税理士は自社株評価・贈与/相続の税務・事業承継税制を担います。建設業の承継は両者の論点が同時並行で動くため、許可に強い行政書士と税務に強い税理士が連携できる体制が理想です。

Q3. 建設業の事業承継の相談費用はいくらかかりますか?

初回相談はいずれも無料〜1万円程度が一般的です。実務では行政書士の承継認可申請代行が10〜30万円、税理士の株価評価・承継税制対応が30〜100万円超、M&A仲介の成功報酬がレーマン方式で譲渡額の5%前後(最低手数料500万円前後の設定が多い)です。公的機関の相談・マッチングは原則無料です。

Q4. 事業承継・引継ぎ支援センターは建設業でも使えますか?

使えます。中小企業庁が各都道府県に設置する公的機関で、親族内・第三者承継双方の無料相談と後継者マッチングに対応し、建設業者も利用できます。ただし許可承継申請の代行は行わないため、方向性を整理したうえで行政書士・税理士に橋渡しする使い方が実務的です。

Q5. M&A仲介会社にいきなり相談しても大丈夫ですか?

第三者売却を前提に動くなら有効ですが、建設業ではいきなり仲介に進むと許可承継や経審継続の確認が後回しになりがちです。許可・経審の評点は買収価値を左右するため、先に行政書士で引き継ぎ可否を整理してから交渉に臨むと、価格の見立てが正確になり後戻りを防げます。

まとめ:建設業の事業承継は「許可を起点に」相談先を組み合わせる

建設業の事業承継の相談先は、行政書士・税理士・M&A仲介・公的支援の4類型に分かれ、それぞれ役割が異なります。本記事のポイントをまとめます。

  • 建設業は「許可・経審を切らさない」という特有論点があり、相談先を一つに絞れない
  • 許可承継・経審の継続・経管/専技の引き継ぎは行政書士の領域
  • 自社株評価・税務・承継税制は税理士、買い手探しはM&A仲介の領域
  • 無料の入口は事業承継・引継ぎ支援センターなど公的機関
  • 最初に行政書士で「許可を切らさず承継できるか」を確認するのが、後戻りしない順番

事業承継は「いつかやる」と先送りしているうちに、後継者の高齢化や経営者の体調で選択肢が一つずつ消えていく分野です。建設業界はIT化が遅れている分、許可・経審・税務・後継者の段取りを早く仕組みに落とした経営者から確実に有利になります。「実はこれ、知らないと損する」を地で行くのが、許可承継の30日前ルールです。

建設業の事業承継のご相談

当事務所は、建設業許可の承継認可申請・経営事項審査の継続・経営業務管理責任者/専任技術者の引き継ぎを起点に、税理士・M&A仲介・事業承継引継ぎ支援センターとの連携まで含めて、建設業の事業承継をワンストップで支援しています。「何から相談すればいいか分からない」段階からのご相談を歓迎します。

初回相談は無料です。まずは「自社の許可を切らさずに承継できるか」を一緒に確認しましょう。お気軽にお問い合わせください。

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