建設業許可なしでの営業リスクとその回避策

建設業許可

建設業を営むにあたり、建設業許可は欠かせない法的要件です。

しかし、許可を取得せずに営業を続ける業者も存在します。許可を取る手間や費用を考慮し、一時的な回避策として許可なしで営業を始めることを選ぶ場合がありますが、これには重大なリスクが伴います。

本記事では、建設業許可なしで営業を行うリスクと、その回避策について詳しく解説します。

許可なしでの営業リスク

法的制裁

建設業許可なしで軽微な建設工事以外の営業をすることは建設業法に違反します。建設業許可を受けずに営業を行った場合、罰金刑や営業停止命令が科される可能性があります。特に、違法な営業が発覚した場合、建設業許可の取得が将来的に難しくなるだけでなく、事業そのものの存続が危ぶまれることになります。

軽微な建設工事

[1]建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
●「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
●「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの

[2] 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

※上記金額には取引に係る消費税及び地方消費税の額を含みます。

信用の失墜

建設業許可は、企業の信用を担保する重要な要素です。許可を取得していないということは、顧客や取引先からの信用を大きく損なう可能性があります。

信用が失墜すれば、新規の契約を得ることが難しくなり、既存の顧客からの契約も打ち切られるリスクが高まります。

建設業界は特に信頼が重視される業界であり、許可を持たない業者は「信頼できない業者」と見なされがちです。

資金調達の困難

多くの金融機関や投資家は、建設業許可を持つ企業に対してのみ融資や投資を行います。

許可がない場合、資金調達が難しくなり、事業の拡大や安定的な運営が困難になるでしょう。

特に、許可を持たないことで信用が低下し、金融機関からの信用評価が低くなることは避けられません。

契約上のリスク

建設業において、許可なしで契約を締結することは、契約無効となる可能性があります。

これは、法律的に保護されない取引となり、万が一トラブルが発生した場合、法的に不利な立場に立たされるリスクが高まります。

さらに、契約が無効となれば、報酬の未払いリスクも発生し、経済的な損失を被る可能性もあります。

公共工事への参加不可

建設業許可を持たない業者は、公共工事に参加することができません。公共工事は安定した収入源であり、企業の成長にとって重要な案件です。

許可がないことで、このような案件に参加することができないため、事業機会を大幅に失うことになります。

リスク回避策

許可なしで営業を行うリスクが大きいことを理解した上で、以下の回避策を実践することが重要です。

早期の許可取得

最も確実なリスク回避策は、建設業許可を早期に取得することです。許可を取得することで、法的リスクを回避し、信用を確保することができます。

許可取得には時間と費用がかかりますが、長期的には企業の安定と成長に繋がります。特に、必要な書類を揃え、申請手続きを正確に行うことが重要です。

行政書士のサポートを受けることで、スムーズに許可を取得できるでしょう。

軽微な建設工事に限定

許可を取得するまでの間、法律で定められた「軽微な建設工事」のみに営業を限定するという方法もあります。

建設業法では、軽微な工事については許可が不要とされています。

ただし、この場合も工事の範囲や内容には注意が必要で、法律の枠を超えないよう細心の注意を払うことが求められます。

建設業許可を持つ業者との提携

許可を持たない場合、許可を持つ業者と提携することでリスクを回避することができます。

この方法では、許可を持つ業者の元請けとして仕事を行うことができ、自社の許可がなくても合法的に営業を続けることが可能です。

ただし、この場合も相手業者との契約条件を明確にし、トラブル防止のために法的なアドバイスを受けることが重要です。

建設業許可取得に向けた準備

許可取得には、一定の経営経験や技術者の配置が必要です。事前にこれらの条件を満たすための準備を進めることで、スムーズな許可取得が可能になります。

特に、経験豊富な経営者や技術者を確保し、社内体制を整えることが重要です。これにより、申請時に必要な条件を満たしやすくなります。

リスクマネジメントの強化

許可なしで営業を行う場合でも、リスクマネジメントを強化することで、一定のリスクを軽減することができます。

具体的には、契約書の見直し、顧客との信頼関係の構築、トラブル発生時の対応策の準備などが挙げられます。また、万が一に備えて、弁護士や行政書士と連携し、法的リスクを最小限に抑えるための対策を講じておくことが重要です。

結論

建設業許可なしでの営業には、多くのリスクが伴います。法的制裁、信用の失墜、資金調達の困難、契約上のリスク、公共工事への参加不可など、許可を持たないことがもたらす影響は深刻です。

これらのリスクを回避するためには、早期の許可取得が最善の策であり、その他の回避策も併用することで、より安全に営業を続けることができます。

建設業許可は単なる形式的な要件ではなく、事業の安定と成長に直結する重要な要素であることを忘れず、計画的な対応を心掛けましょう。

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