建設業許可取得後に必ず行うべきフォローアップ

建設業許可

建設業の許可を取得した後、建設業者としての活動を円滑に進め、法令順守を徹底し、業務の安定を図るためには、いくつかの重要なフォローアップを行う必要があります。本記事では、建設業許可取得後に必ず行うべきフォローアップについて詳しく解説します。

1. 許可の有効期間と更新手続き

建設業許可は、一度取得すれば永久に有効というわけではありません。許可の有効期間は5年間であり、期間満了の前に更新手続きを行う必要があります。

更新手続きは、有効期間が満了する日の30日前までに行うことが推奨されます。更新申請が受理されると、従前の許可は有効期間満了後も処分が行われるまで有効とされます。

更新手続きを忘れると、許可が失効し、建設業の営業ができなくなるため、注意が必要です。

2. 専任技術者の配置

建設業の許可要件の一つとして、営業所ごとに専任技術者を配置する必要があります。専任技術者は、建設業法で定められた一定の資格を持つ者であり、常勤でその営業所に勤務することが求められます。

専任技術者が退職した場合や異動した場合には、速やかに新しい専任技術者を配置し、変更届を提出する必要があります。

3. 経営業務の管理責任者の設置

経営業務の管理責任者は、建設業の経営を実質的に担当する者として、一定の経験と知識を有する必要があります。

経営業務の管理責任者が変更になる場合も、速やかに変更届を提出し、新しい管理責任者を設置する必要があります。

適切な管理責任者を設置することで、事業の安定と信頼性を確保することができます。

4. 建設業の財務管理

建設業の許可を維持するためには、財務管理が非常に重要です。特に、特定建設業の許可を受けている場合は、一定の財務基準を満たす必要があります。

定期的に財務状況を確認し、適切な資金管理を行うことで、健全な経営を維持することが求められます。また、決算期ごとに財務諸表を作成し、必要に応じて監査を受けることも重要です。

5. コンプライアンスの徹底

建設業界では、法令順守(コンプライアンス)が非常に重要です。建設業法や労働基準法、労働安全衛生法など、関連する法令を遵守することはもちろん、環境保護や安全管理にも十分に配慮する必要があります。

コンプライアンス教育を定期的に実施し、従業員全員が法令を理解し、遵守する意識を高めることが求められます。

6. 労働環境の整備

建設業における労働環境の整備も重要なフォローアップ事項です。特に、安全衛生管理については、労働災害を未然に防ぐための対策を講じる必要があります。

定期的な安全教育や安全パトロールを実施し、現場の安全確保に努めることが求められます。また、適切な労働時間の管理や休暇の取得を推奨し、従業員の健康と働きやすい環境を整えることも重要です。

7. 取引先との良好な関係構築

建設業においては、元請業者や下請業者、発注者との良好な関係を築くことが重要です。適正な契約条件のもとで取引を行い、信頼関係を構築することで、安定した受注とスムーズな施工が可能となります。

契約書の内容を明確にし、トラブルが発生した際には迅速に対応することが求められます。

8. 業務改善と技術向上

建設業界は常に進化しており、新しい技術や工法が次々と登場しています。許可取得後も、最新の技術や知識を習得し、業務改善に努めることが重要です。

従業員の技術研修やセミナーへの参加を促進し、会社全体の技術力向上を図ることが求められます。また、IT技術の導入や効率的な業務フローの構築にも取り組むべきです。

9. 適正な情報公開

建設業者としての信頼を高めるためには、適正な情報公開が重要です。ホームページやパンフレットを活用して、会社の実績や技術力、資格保有状況などを明示し、顧客や取引先に安心感を提供することが求められます。

また、環境への配慮や社会貢献活動など、企業の取り組みを積極的にアピールすることも信頼構築につながります。

10. 事業年度終了報告書(決算届)の提出

事業年度終了報告書(決算届)は毎年決算期終了後、4か月以内に提出することが義務づけられています。この届出についても忘れずに提出する必要があります。

この届出を忘れてしまうと建設業許可の更新ができない可能性があります。

まとめ

建設業許可を取得した後のフォローアップは、事業の安定と発展に不可欠な要素です。

許可の更新手続きや専任技術者の配置、経営業務の管理責任者の設置、財務管理、コンプライアンスの徹底、労働環境の整備、取引先との良好な関係構築、業務改善と技術向上、適正な情報公開、定期的な内部監査など、さまざまなフォローアップを適切に行うことで、建設業者としての信頼を高め、持続可能な事業運営を実現することができます。

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