「建設業許可の有効期限が近づいてきたけれど、更新の手続きはどうすればいい?」——建設業許可を取得して数年が経ち、初めての更新を迎える事業者から、このようなご相談を数多くいただきます。
建設業許可の有効期間は5年間です。許可を維持するには、期間満了の日の30日前までに更新申請を行わなければなりません。更新を怠ると許可が失効し、500万円以上の工事を受注できなくなるなど、事業に深刻な影響を及ぼします。
この記事では、建設業許可の更新について、手続きの流れ・必要書類・費用・注意点まで、初めての更新でも迷わないよう実務に必要な情報をわかりやすく解説します。令和6年(2024年)12月施行の改正建設業法にも対応しています。
この記事でわかること:
- 建設業許可の更新の基礎知識と有効期間
- 更新申請の期限と手続きの流れ
- 更新に必要な書類一覧
- 更新手数料と費用の内訳
- 更新前に必須の決算変更届(事業年度終了届)との関係
- 更新を忘れた場合のリスクと対処法
建設業許可の更新とは?基本ルールを確認
建設業許可の更新とは、有効期間が満了する許可を引き続き維持するために行う手続きです(建設業法第3条第3項)。建設業許可には有効期限があり、更新しなければ許可は自動的に失効します。
まず、更新に関する基本ルールを押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有効期間 | 許可のあった日から5年間(知事許可・大臣許可とも共通) |
| 更新申請の期限 | 有効期間満了日の30日前までに申請 |
| 申請受付開始 | 有効期間満了日の6ヶ月前から(※行政庁により異なる場合あり) |
| 更新手数料 | 5万円(知事許可・大臣許可とも共通) |
| 許可番号 | 更新後も同じ許可番号を引き継ぐ |
重要なのは、更新申請は「期間満了日の30日前まで」が期限という点です。たとえば許可の有効期間が2026年9月30日までであれば、2026年9月1日(30日前)までに更新申請を完了させる必要があります。
なお、更新申請が受理されていれば、審査中に有効期間が満了しても許可の効力は審査結果が出るまで継続します(建設業法第3条第4項)。ただし、これはあくまで申請が受理された場合の措置であり、申請自体を期限までに行わなければ救済されません。
更新と新規申請の違い
更新と新規申請は手続きの位置づけが異なります。混同しやすいポイントを整理します。
| 比較項目 | 更新 | 新規申請 |
|---|---|---|
| 対象 | 既に許可を持つ事業者 | 許可を持っていない事業者 |
| 許可番号 | 同じ番号を継続 | 新規に付与 |
| 手数料 | 5万円 | 知事許可9万円 / 大臣許可15万円 |
| 審査期間 | 知事許可:約30日 / 大臣許可:約90〜120日 | 知事許可:約30〜45日 / 大臣許可:約90〜120日 |
| 財産的基礎 | 一般建設業:5年間の営業実績で充足可 | 自己資本500万円以上等が必要 |
更新は新規申請に比べて手数料が安く、書類も少ないのが特徴です。ただし、許可要件を引き続き満たしていることが前提であり、要件を欠いた場合は更新が認められません。
建設業許可の更新に必要な5つの要件
建設業許可を更新するには、新規取得時と同じ5つの許可要件を引き続き満たしている必要があります。更新申請の前に、必ず確認しておきましょう。
要件1:経営業務の管理責任者がいること
建設業の経営について総合的に管理する常勤の役員等が引き続き在籍していることが必要です。代表者の交代や役員変更があった場合は、後任者が要件を満たしているか確認してください。
なお、経営業務の管理責任者に変更があった場合は、変更届(変更後2週間以内)を事前に提出しておく必要があります。
要件2:営業所技術者等(旧:専任技術者)がいること
許可を受けた業種ごとに、営業所に常勤の技術者が配置されていることが必要です。退職や異動により技術者が不在になっていると更新が認められません。
※令和6年(2024年)12月13日施行の改正建設業法により、「専任技術者」は「営業所技術者等」に名称変更されています。
要件3:誠実性があること
法人・役員等・支店長等が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことが引き続き求められます。
要件4:欠格要件に該当しないこと
役員や事業主が、破産・禁錮刑・暴力団関係等の欠格事由に該当していないことが必要です。許可取得後に該当してしまった場合は、更新できないだけでなく許可取消の対象となります。
要件5:財産的基礎があること
一般建設業の更新の場合、許可を受けて継続して5年以上の営業実績があれば財産的基礎の要件は自動的に充足されます。初回更新であれば、この条件を満たしていることになります。
特定建設業の更新の場合は、直前の決算で以下のすべてを満たす必要があります。
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上であること
- 自己資本が4,000万円以上であること
特定建設業の事業者は、決算内容が更新の可否に直結するため、決算期の段階から財務状況を意識した経営判断が重要です。
更新手続きの流れ【5つのステップ】
建設業許可の更新手続きは、以下の5つのステップで進めます。余裕を持って準備すれば、スムーズに進めることができます。
ステップ1:許可の有効期間を確認する
まず、現在の許可の有効期間満了日を確認します。許可通知書や許可証明書に記載されています。
理想的なスケジュールは以下のとおりです。
| 時期 | やるべきこと |
|---|---|
| 満了6ヶ月前 | 更新準備を開始。決算変更届の提出状況を確認 |
| 満了4〜5ヶ月前 | 必要書類の収集・作成を開始 |
| 満了2〜3ヶ月前 | 申請書類を完成させ、行政庁に提出 |
| 満了30日前(期限) | この日までに申請が受理されていること(必須) |
更新手続きには書類の準備に時間がかかるため、満了の6ヶ月前から準備を始めることをおすすめします。
ステップ2:決算変更届(事業年度終了届)の提出状況を確認する
更新申請において最も見落としやすいのが、決算変更届(事業年度終了届)の未提出です。当事務所にご相談いただく事業者様のうち、およそ3割の方が決算変更届の未提出を抱えたまま更新時期を迎えています。
建設業法では、毎事業年度の終了後4ヶ月以内に決算変更届を提出することが義務付けられています(建設業法第11条第2項)。この届出が許可取得後のすべての事業年度について提出されていなければ、更新申請は受理されません。
たとえば5年間の許可期間中に決算変更届を1度も提出していなかった場合、更新申請の前に5期分の決算変更届をまとめて提出する必要があります。この作業には相当な時間がかかるため、毎年度きちんと提出しておくことが重要です。
ステップ3:必要書類を準備する
更新に必要な書類を収集・作成します。主な更新申請の必要書類は次のセクションで詳しく解説します。
ステップ4:申請書を提出する
書類が整ったら、許可行政庁の窓口に提出します。
- 知事許可:都道府県の建設業許可担当窓口
- 大臣許可:地方整備局等
近年は一部の行政庁で電子申請(JCIP:建設業許可・経営事項審査電子申請システム)にも対応しています。利用可能かどうかは申請先にご確認ください。建設業許可制度の最新情報は、国土交通省の建設業許可制度ページでも確認できます。
ステップ5:審査・許可通知の受領
申請後、行政庁による審査が行われます。審査期間の目安は以下のとおりです。
| 許可区分 | 審査期間の目安 |
|---|---|
| 知事許可 | 約30日 |
| 大臣許可 | 約90〜120日 |
審査完了後、許可通知書が送付されます。更新後の有効期間は、従前の許可の有効期間満了日の翌日から起算して5年間です。
更新申請に必要な書類一覧
建設業許可の更新に必要な書類は以下のとおりです。新規申請と比べると提出書類は少なくなりますが、漏れがないよう事前に確認しましょう。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 建設業許可申請書(様式第一号) | 申請区分「更新」を選択 |
| 役員等の一覧表(様式第一号 別紙一) | 法人の場合 |
| 営業所一覧表(様式第一号 別紙二) | 既存の営業所を記載 |
| 誓約書(様式第六号) | 欠格要件に該当しないことの誓約 |
| 経営業務の管理責任者証明書(様式第七号) | 変更がなければ省略可能な場合あり |
| 営業所技術者等証明書(様式第八号) | 変更がなければ省略可能な場合あり |
| 登記事項証明書 | 法人の場合(発行から3ヶ月以内) |
| 納税証明書 | 法人税(法人)または所得税(個人)の証明書 |
| 健康保険等の加入状況 | 社会保険の加入を確認 |
| 定款の写し(法人の場合) | 変更がある場合に提出 |
※都道府県によって必要書類が異なる場合があります。必ず申請先の行政庁が公開している手引きを確認してください。
省略できる可能性がある書類として、経営業務の管理責任者や営業所技術者等に変更がない場合、一部の証明書類の提出が不要になることがあります。これは行政庁ごとに運用が異なるため、事前に確認するのが確実です。
更新にかかる費用
建設業許可の更新費用は、主に以下の3つで構成されます。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 更新手数料(収入印紙) | 5万円 | 知事許可・大臣許可とも同額。法定費用のため値引き不可 |
| 各種証明書の取得費用 | 約2,000〜5,000円 | 登記事項証明書600円、納税証明書400円など |
| 行政書士への報酬(依頼する場合) | 約5万〜10万円 | 事務所や業務内容により異なる |
自分で申請する場合の費用は、更新手数料5万円+証明書取得費用で合計約5万2,000〜5万5,000円が目安です。
行政書士に依頼する場合は、報酬を含めて合計約10万〜15万円が一般的な相場です。書類作成から申請代行まで一括で依頼でき、不備による差し戻しのリスクを軽減できます。
なお、複数の業種を一括で更新する場合でも、更新手数料は5万円で変わりません。許可の有効期限が異なる業種がある場合は、有効期間の一本化を検討すると、次回以降の更新手続きをまとめられて効率的です。
更新前に必須!決算変更届(事業年度終了届)との関係
建設業許可の更新で最も多いトラブルが、決算変更届の未提出です。ここでは決算変更届と更新の関係を詳しく解説します。
決算変更届とは
決算変更届(事業年度終了届)とは、建設業許可業者が毎事業年度終了後4ヶ月以内に提出する届出書です。決算報告書・工事経歴書・直前3年の各事業年度における工事施工金額などを行政庁に報告します。
なぜ未提出だと更新できないのか
行政庁は更新審査の際に、許可業者の経営状況や工事実績を決算変更届で確認します。5年間の営業実績を確認するためには、すべての事業年度の届出が必要です。1期でも未提出の年度があれば、更新申請は受理されません。
未提出がある場合の対処法
過去の決算変更届が未提出の場合は、更新申請の前にすべての未提出分を提出する必要があります。5期分をまとめて作成・提出するには時間がかかるため、早めに着手してください。
決算変更届の詳しい手続きについては、建設業許可の事業年度終了届(決算変更届)の手続きもあわせてご参照ください。
更新を忘れた場合のリスク
建設業許可の更新を忘れ、有効期間が満了してしまった場合、以下の深刻なリスクが発生します。
許可が失効する
有効期間満了日までに更新申請が受理されなければ、許可は自動的に失効します。失効後は「許可を持っていない事業者」と同じ扱いになり、500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負えなくなります。
実際に当事務所へ相談に来られた内装仕上工事業の事業者様のケースでは、決算変更届の未提出に気づかないまま更新期限の1ヶ月前になってしまい、急いで5期分の届出を準備することになりました。書類の作成だけで3週間以上かかり、更新期限ギリギリの対応となったことがあります。このように、決算変更届の未提出は更新手続き全体を危うくする大きなリスクです。
新規申請が必要になる
許可が失効した場合、再度許可を取得するには改めて新規申請を行う必要があります。新規申請は更新に比べて手数料が高く(知事許可9万円、大臣許可15万円)、審査にも時間がかかります。さらに、許可番号が変わるため、取引先への通知や各種届出の変更作業も発生します。
別の相談事例では、とび・土工工事業の事業者様が更新期限を過ぎてしまい、許可が失効。進行中だった元請との契約が一時中断となり、新規申請で許可を再取得するまでの約2ヶ月間、500万円以上の工事を受注できない状態が続きました。更新忘れの影響は想像以上に大きいのです。
進行中の工事に影響が出る
許可が失効すると、進行中の工事についても影響が生じます。元請からの契約解除や、入札参加資格の喪失など、事業への打撃は計り知れません。
このような事態を避けるためにも、許可の有効期限は確実に管理し、余裕を持って更新手続きを進めてください。更新忘れが心配な方は、建設業許可の届出を忘れた場合の対処法もご確認ください。
建設業許可の更新に関するよくある質問
Q1. 更新申請はいつから受け付けてもらえますか?
多くの行政庁では、有効期間満了日の6ヶ月前から更新申請を受け付けています。ただし、行政庁によって受付開始時期が異なる場合がありますので、事前に申請先へご確認ください。余裕を持って3〜4ヶ月前までに申請を完了させるのが理想です。
Q2. 更新と同時に業種追加はできますか?
はい、更新と業種追加を同時に申請することは可能です。ただし、それぞれ別の申請書が必要であり、業種追加分の手数料(5万円)が別途かかります。同時申請の場合は書類の整合性に注意が必要なため、行政書士への相談をおすすめします。詳しくは建設業許可と入札参加資格もご参照ください。
Q3. 複数の業種の有効期限がバラバラです。一本化できますか?
はい、許可の一本化(許可の有効期間の調整)が可能です。有効期限が最も早い業種の更新時に、他の業種も同時に更新申請を行うことで、すべての業種の有効期間を揃えることができます。一本化すると次回以降の更新を1回で済ませられるため、手間と費用の削減になります。
Q4. 更新審査中に許可の有効期間が切れたらどうなりますか?
期限内に更新申請が受理されていれば、審査結果が出るまで従前の許可が有効です(建設業法第3条第4項)。審査中に工事を受注しても問題ありません。ただし、申請が受理される前に有効期間が満了した場合は許可が失効しますので、必ず余裕を持って申請してください。
Q5. 個人事業主でも更新手続きは同じですか?
基本的な手続きの流れは法人・個人事業主とも同じです。ただし、提出書類に一部違いがあります。個人事業主の場合は登記事項証明書の代わりに身分証明書・登記されていないことの証明書が必要になるなど、必要書類を確認のうえ準備してください。
まとめ:建設業許可の更新は早めの準備が成功のカギ
建設業許可の更新は、許可を維持して事業を継続するために欠かせない重要な手続きです。最後に、更新のポイントを整理します。
- 建設業許可の有効期間は5年間、更新期限は満了日の30日前まで
- 更新手数料は5万円(知事許可・大臣許可とも共通)
- 更新の前提として、すべての事業年度の決算変更届が提出済みであること
- 5つの許可要件を引き続き満たしていること
- 更新を忘れると許可が失効し、新規申請からやり直しになる
- 準備は6ヶ月前から開始するのが理想
「初めての更新で何から手をつけていいかわからない」「決算変更届の提出状況が不安」という方は、建設業許可の専門家に早めにご相談ください。当事務所では建設業許可の更新手続きについて、無料相談を承っております。お気軽にお問い合わせページからご連絡ください。