「経営事項審査は自分でもできる?」「行政書士に頼むと何が違うの?」——公共工事の入札に必要な経営事項審査(経審)について、自分で申請するか行政書士に依頼するかで迷っている建設業者の方は多いのではないでしょうか。

結論からいえば、経審は自分でも申請できます。しかし、書類の複雑さ・P点(総合評定値)の最適化・法改正への対応などを考えると、行政書士に依頼した方が結果的にコストパフォーマンスが高くなるケースがほとんどです。

この記事では、経審を自分で行う場合と行政書士に依頼する場合の違いを徹底比較し、依頼するメリット・費用相場・行政書士の選び方まで詳しく解説します。

この記事でわかること:

  • 経営事項審査(経審)の概要と重要性
  • 自分で経審を行う場合の流れと手間
  • 行政書士に経審を依頼する5つのメリット
  • 経営事項審査の代行費用の相場
  • 失敗しない行政書士の選び方

経営事項審査(経審)とは?なぜ重要なのか

経営事項審査(経審)とは、公共工事を元請として直接請け負おうとする建設業者が、建設業法第27条の23に基づいて必ず受けなければならない審査です。

経審では、建設業者の経営規模・財務状況・技術力・社会性などが総合的に評価され、「総合評定値(P点)」として数値化されます。このP点は公共工事の入札参加資格の格付けに直結するため、P点が高いほど、より大規模な公共工事を受注できる可能性が高まります

つまり経審は、単に「受ければいい」というものではなく、いかに高い点数を取るかが経営上の重要課題なのです。この点数の最適化こそ、行政書士に経審を依頼する最大の理由といえます。

自分で経審を行う場合の流れと手間

まず、経営事項審査を自分で申請する場合の流れを確認しましょう。経審は単独の手続きではなく、複数のステップを順番に進める必要があります

経審申請の全体フロー

ステップ 手続き内容 提出先
1 決算変更届(事業年度終了届)の提出
毎事業年度終了後4か月以内に提出。経審の前提手続きです。
許可行政庁
2 経営状況分析の申請
登録経営状況分析機関に財務諸表を提出し、Y点(経営状況の評点)を取得します。
登録分析機関
3 経営事項審査の申請
経営規模等評価申請書・工事経歴書・技術職員名簿など多数の書類を作成・提出します。
許可行政庁
4 結果通知書の受領
審査完了後、総合評定値通知書が交付されます。

自分で申請する場合に必要な書類の例

経審の申請には、以下のような多数の書類が必要です。

  • 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
  • 工事種類別完成工事高・元請完成工事高
  • 工事経歴書(業種ごとに作成)
  • 技術職員名簿
  • その他の審査項目(社会性等)に関する書類
  • 経営状況分析結果通知書
  • 建設業許可通知書の写し
  • 財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)
  • 消費税確定申告書・納税証明書
  • 各種資格証明書(技術者の資格を証明するもの)

これらの書類を正確に・漏れなく作成するには、相当の知識と時間が必要です。特に工事経歴書の記載方法や技術職員名簿の加点区分など、独特のルールが多く、初めての方がつまずきやすいポイントが数多くあります。

経審を行政書士に依頼する5つのメリット

経営事項審査を行政書士に代行依頼することで、以下のようなメリットが得られます。

メリット1:書類作成の手間と時間を大幅に削減できる

前述のとおり、経審には多数の書類が必要です。行政書士に依頼すれば、書類の作成から提出まで一括で対応してもらえます。

経審の書類作成に慣れていない場合、自分で行うと数日〜数週間かかることもあります。その時間を本業である工事や営業活動に充てられるのは、経営者にとって大きなメリットです。

メリット2:P点(総合評定値)を最大化するアドバイスが受けられる

経審に精通した行政書士は、合法的にP点を引き上げるためのノウハウを持っています。具体的には次のようなアドバイスが期待できます。

  • 技術職員の資格取得の推奨:どの資格を取れば加点されるか
  • 社会性等(W点)の加点項目の活用:建設業退職金共済制度(建退共)への加入、防災協定の締結など
  • 工事経歴書の最適な記載方法:完成工事高の振り分けの戦略
  • 業種の選択と集中:どの業種で審査を受けるかの判断

自分で申請する場合、これらの加点項目を見落としてしまい、本来取れるはずのP点を逃してしまうケースが少なくありません。P点は入札のランクに直結するため、数点の差が受注機会に大きく影響します。

メリット3:記載ミス・書類不備による差し戻しを防げる

経審の申請書類に不備があると、受理されず差し戻しになります。差し戻しが発生すると修正・再提出に時間がかかり、経審の結果通知が遅れることで入札参加のスケジュール全体に影響が出る可能性があります。

行政書士は書類作成のプロです。各行政庁ごとのローカルルールにも精通しているため、スムーズに申請を完了できます。

メリット4:法改正や審査基準の変更に確実に対応できる

経審の制度は定期的に改正されます。近年では社会性等(W点)の評価項目に「ワーク・ライフ・バランス」や「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の活用状況が追加されました。さらに、2026年7月1日施行の改正では「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」が新設され、W点で+5点の加点が可能になるなど、変更が続いています。

行政書士は常に最新の制度改正を把握しているため、新しい加点項目を見落として損をするリスクを避けられます

メリット5:決算変更届から入札参加資格申請まで一括で任せられる

経審に強い行政書士であれば、経審の申請だけでなく、前段階の決算変更届の作成・提出から、経審後の入札参加資格申請まで一貫してサポートしてもらえます。

手続きを一括で依頼することで、各手続き間の整合性が取れ、スケジュール管理も任せられるのは大きな安心材料です。

自分でやる場合のデメリット・リスク

コストを抑えるために自分で経審を行うという選択肢もありますが、以下のリスクがあることを理解しておきましょう。

加点項目の見落としでP点が低くなる

経審の評価項目は多岐にわたります。特にW点(社会性等)の加点項目は数が多く、該当するのに申告していない項目があると、本来よりも低いP点になってしまいます。一度確定した結果を修正することは原則としてできないため、取り返しがつきません。

申請書の不備で再提出が必要になる

書類の記載方法には細かいルールがあり、慣れていないと不備を指摘されて何度も修正・再提出を求められることがあります。そのたびに行政庁に足を運ぶ必要があり、大きな時間ロスとなります。

本業に割く時間が減る

経審の準備には相当な時間がかかります。経営者や事務担当者が書類作成に追われると、工事の管理や営業活動など本業に支障をきたす恐れがあります。行政書士への依頼費用を「時間を買うための投資」と捉える経営者も多くいます。

自分でやる場合と行政書士に依頼する場合の比較

比較項目 自分で申請 行政書士に依頼
費用 申請手数料+分析手数料(約23,000円〜) 8万〜25万円程度(依頼範囲による)
書類作成の手間 すべて自分で対応(数日〜数週間) ほぼお任せ(資料の提供は必要)
P点の最適化 加点項目の見落としリスクあり 専門家の視点で最大化を図れる
書類不備のリスク 差し戻し・再提出の可能性が高い ほぼ一発で受理される
法改正への対応 自分で情報収集が必要 常に最新制度を反映
他の手続きとの連携 個別に対応が必要 決算変更届〜入札申請まで一括対応可
こんな方におすすめ 時間に余裕があり経審の経験がある方 初めての方・P点を上げたい方・忙しい方

経営事項審査の代行費用の相場

行政書士に経審を依頼した場合の費用相場は、依頼する範囲によって異なります。

依頼内容 費用相場(税別)
経審のみ 8万〜15万円程度
決算変更届+経審 12万〜20万円程度
決算変更届+経審+入札参加資格申請 15万〜25万円程度

※費用は地域や行政書士事務所によって異なります。また、審査を受ける業種の数によって追加費用が発生する場合もあります。

一見すると費用がかかるように見えますが、P点の最適化による受注機会の拡大や、本業に集中できる時間の確保を考えれば、十分に回収できる投資といえるでしょう。

失敗しない行政書士の選び方

経審の代行を依頼する行政書士は、誰でもいいわけではありません。以下のポイントを確認して選びましょう。

建設業許可・経審の実績が豊富か

行政書士の業務範囲は幅広いため、建設業分野を専門としているかが重要です。建設業許可や経審の申請実績が豊富な事務所を選びましょう。ホームページに具体的な実績や事例が掲載されているかを確認するのがおすすめです。

P点アップの提案力があるか

単に書類を作成して提出するだけでなく、P点を引き上げるための具体的なアドバイスをしてくれるかどうかが、行政書士を選ぶ大きなポイントです。初回相談時に「P点を上げるにはどうすればよいか」を質問してみて、具体的な提案が返ってくるかを確認しましょう。

対応の速さ・コミュニケーション

経審には結果通知書の有効期間(審査基準日から1年7か月)があり、スケジュール管理が重要です。問い合わせへの返信が早く、進捗報告をこまめにしてくれる行政書士を選ぶと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 経営事項審査は自分でもできますか?

はい、経営事項審査は建設業者自身が申請することも可能です。ただし、書類の作成が複雑で専門知識が必要なため、初めての場合は行政書士への相談をおすすめします。各都道府県の手引きを確認しながら進めることもできますが、P点の最適化まで自力で行うのは難易度が高いといえます。

Q. 経審を行政書士に頼むと費用はいくらかかりますか?

依頼範囲によって異なりますが、経審のみで8万〜15万円、決算変更届とセットで12万〜20万円程度が相場です。入札参加資格申請まで含めると15万〜25万円程度になります。業種数や事務所によって料金は変わりますので、事前に見積もりを取ることをおすすめします。

Q. 行政書士に頼むとP点は上がりますか?

行政書士に依頼すること自体で自動的にP点が上がるわけではありません。しかし、経審に精通した行政書士は加点項目の漏れを防ぎ、合法的にP点を最大化するためのアドバイスをしてくれます。結果として、自分で申請するよりもP点が高くなるケースは多くあります。

Q. 経審の申請時期はいつがベストですか?

経審の結果通知書の有効期間は審査基準日(決算日)から1年7か月です。有効期間が切れると入札参加資格も失効するため、決算後できるだけ早く(遅くとも決算日から5〜6か月以内に)申請するのが理想です。行政書士に依頼すれば、スケジュール管理も含めて対応してもらえます。

Q. 決算変更届と経審はセットで依頼した方がいいですか?

はい、セットで依頼することをおすすめします。決算変更届の内容は経審の申請書類と密接に関連しているため、同じ行政書士に一括で依頼した方が整合性が取れ、手続きもスムーズに進みます。費用面でもセット割引を設けている事務所が多いです。

まとめ:経審は「損しない申請」のために専門家を活用しよう

経営事項審査は自分でも申請できる手続きですが、書類の複雑さ・P点の最適化・法改正への対応を考えると、行政書士に依頼するメリットは非常に大きいといえます。

特に以下に当てはまる方は、行政書士への依頼を強くおすすめします。

  • 経審を初めて受ける方
  • P点を上げて入札ランクを引き上げたい方
  • 本業が忙しく書類作成に時間を割けない方
  • 決算変更届や入札参加資格申請もまとめて任せたい方

「費用がかかるから」と自分で申請して、加点項目を見落としP点が低くなってしまっては本末転倒です。経審は「受けること」がゴールではなく、「最大限の評価を得ること」が目的です。

当事務所では、経営事項審査に関する無料相談を承っております。「自分で申請すべきか迷っている」「P点を上げる方法を知りたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。

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